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生に名誉を死に栄光を  作者: ジィロウ
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人生のエピローグ、転生のプロローグ

 俺は今思えば、どうしようも無い程のクズ野郎だった。

 

 母子家庭で育った俺は、夢の為と、周りの反対を押しきり、奨学金を借りて私立高校に入学、名門に入ったは良いものの、校風が合わないと途中で逃げ出し、高校を中退。


 それからはパートで働く母の脛をかじりにかじって、紐生活を約三年。

 自室はフィギュアとエロゲで溢れ返っていた。


 そんな堕落を続けるある日、母が職場で突然倒れた、原因は過労による心疾患。

 手術には600万必要だと言っていた、既に数百万の借金を抱えていた母だったが、それでもどうにか生きようとした、生きていればいつか、幸せに成れると信じて。


 頼れる親戚の居なかった母は、どうにかこうにか手術費を工面すべく、闇金融を無心に回った。

 あろうことか俺はその金に目をつけた、母親が命の為にと集めた金を、半分持って、インドに行った。


 その頃の俺は、自分の状況に絶望し、どうにかして現状を変えなくてはと思っていた。

 いや、ずっと前からそんな様な事を思っていた。

 それでも、何もしなかったのは、チャンスが無かったから、社会が俺を拒んだから、母子家庭に生まれて運が無かったから。


 そんな言い訳を幾つも垂れていた、ただ失敗が怖いのを隠したくて。

 そんな自分を認めたくなくて、どうしようもなく認めたくなくて、それでも行動しなきゃ変わらないと思っていた矢先、おふくろが大金を持って、帰ってきた。


 その時俺は思った、この金で、海外に行って自分を変えてやる。この頃の行動に整合性は必要なかった、目先の自分だけに都合のいい理由があれば行動するのに十分だった。


 思い立ってからは早かった、直ぐにネットでインド行きの飛行機に席を取り、寝込みを狙って金を踏んだくった。


 どうしてかその時、可哀想だと思って、持って行くのを半分の300万にした、それは母の命と同義なのに。


 道中はやけに頭が冴えている気がした、ヨガについてのガイドブックを空港で買い、それを読んだだけで、悟りの一端に触れたような気でいたからだろう、今思えば本当に愚かだった。

 

 それからチケットを発券し、中学校の修学旅行用に作った無効直前のパスポートを握り締めて、飛行機に乗り込んだ。


 着の身着のまま出てきた俺は、飛行機のなかで着替えが無いことに気づいた。


 でも些細な事だろうと思っていた、俺には金があるし、昔インドは物価が安いと聞いたことがあったから、どうにでもなるだろうと思った。

 

 事実向こうの物価は日本とは比べ物に成らないほどだった、だが同様に治安も比べ物に成らないほどに悪かった。


 飛行機を降りて直ぐに俺は両替所にむかった。

 その時俺は何故か得意気に、リュック一杯に入れた金を、受け付けに出し、キメ顔で「全て宜しく」と言った。


 思えばこれが不味かった、バカな観光客のがきが金を持ってる。

 それだけでこの国では命すら狙われる。

 俺は空港を出てタクシーを拾い、どうにか地図を指さして首都のニューデリーへ向かうように頼んだ。一時間ほどして、タクシーが止まると俺は運転手に引きずり降ろされた。そこは四方が地平線まで見渡せる荒野で、あたりにあるのはタクシーと黒いバンが一台だった。


 タクシーから降ろされると、バンから数人の黒ずくめが現れ、身ぐるみを剥がされた。更に手足を縛られ、袋を顔にかぶせられるとバンに押し込まれた。 しばらくして袋がとられると、そこは大きな洞窟の前だった。そのころには日が暮れていて、目が霞むことは無かったが、月光が明るかったのを覚えている。


 辺りを見ると、バンからさらに二人降りてきた。二人も手を縛られているところを見ると、同じような境遇だろうと思った。

 

その後彼らと洞窟を歩かされた。

 ずっとトイレに行きたかった、日中の平均気温が30度を超える中、いまいち効きの悪い冷房の中で過ごしていた為、タクシーと空港でペットボトル3本分のコーラを平らげていた、猛烈な尿意に襲われつつ悪路を走ってしいたし、バンから降りたときは正直漏れてるんじゃないかと、心配した。幸い降りたときは漏れてなかった。しかし不幸なことに、口元が白息になるこの洞窟ではすでに、膀胱括約筋は限界を目前に控え、そのストレスにより精神を蝕んでいた。

 冷え切った洞窟にも関わらず額から脂汗を流す俺が、諦めかけたその時だった、後ろを歩く黒ずくめが立ち止まりうつむいて何やら言い始めた、俺は、今しかないと思い「トイレッ、トイレッ」と叫んだ。すると黒ずくめがこちらを一瞥し思いっきり腹を蹴ってきた、倒れた先にはあるべきはずの床がなく、そのまま2,3メートルほど落ちた。

 死ぬほど痛かった、それはもう、チビっちゃう位に。初めての激痛に声を失う俺をよそに、黒ずくめは他二人も崖に蹴り落し、悠々と洞窟を後にした。


 俺はスネークに学んだ止血術を駆使して何とか一命はとりとめたが、一緒に来た奴は片方死んだ、小柄な方は打ち処が悪かったみたいだ。

 

 生きてた奴とは少し話をした、中学の時にかじった英語を使って。

 

 二人は兄弟で、金を返せずにここえ連れてこられたみたいだった、他にも彼は色々なことを言っていたが、俺にはいまいち理解できなかった、このとき初めて英語をしっかり習えばよかったと後悔した。


 そのあと少し足掻いてみた、落とされた崖を上ろうとしたり、辺りを流れる水の水源を遡ろうしたり、電話で助けを呼ぼうとしたり。


 でも無駄だった、落とされた崖はネズミ返しのように反りかえり、脱出を拒むし、水源は壁の小さな亀裂の中だった、もとより洞窟に電波なんて飛んでいない、更に電池残量が5パーセントと、おまけつきで不運だった。



 それから2週間と数日がたった頃は、もう殆ど何もしなくなっていた、唯一していたことと言えば、嫁がプリントされた腕時計を頼りに、日数を岩に刻んでいたが、それも辞めた、あまり意味をなさないことに気づいたから、良く見れば当たり一面に同じような後がつけられていた。


 それから更に時間がたった、いい加減、空腹も限界を迎えて何かしら口に入れないと狂ってしまう気がした。


 そんな中俺には二つの選択肢があった、屍を喰うか、己を喰うか。


 正直後者を選ぶ奴は正気とは思えないが。隣の彼は自分の肉を貪っていた、苦痛に顔を歪ませながら、兄弟を喰うか、自分を喰うか、なんとも狂気に満ちた2択だこと。

 俺なら自分を喰うなんて、考えただけでも虫酸が走る。

 だから俺は死んでる奴を喰った、洞窟の温度は冷えきっているし、ハエがいないから、蛆もわいていなかった。


 俺がそいつを口にしたとき、彼は少し悲しそうな目をしたが、何も言わなかった。


 と思ったら死んでた、だから俺は新鮮な肉を喰うことにした。


 そんな生けるゾンビをしていた俺だったが、それからしばらくすると、体がうまく動かなくなって、寝ることしか出来なくなった。


 元から生きてるか怪しい様な日陰人生を送ってきたから、この世に未練は無いけど、それでも死ぬのは怖かった。

 

 

 だから考える事にした、一応俺にも夢があった、オタクなら誰しも憧れる夢。


 剣と魔法の世界で生きてみたい。



 だいたい死なないと叶わないけど、それでも転生出来るなら、それも悪くないと思ってた。


 そこで俺は剣士になりたかった、それで世界に必要とされて、俺が応える。


 で、あわよくばハーレムを築きたい…




そこで意識が途絶えた。

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