第五話 ゴミがゴミを呼ぶ
とある喫茶店で
「お前、さっきからずっと窓の外ばっか見てるけど、なんかあんのか?」
「いや………ほら見てみろ、あれ……」
「ああ、レンタルビデオ屋の跡な……」
「まぁ、頑張った方だよな。けっこう長い間続けてたもんな。何年ぐらいやってたっけ?」
「何年かは知らんけど、頑張ったって言える話じゃ無ぇだろ、最初っからだぜ。お前、あそこで借りた事あったのか? 俺は絶対に無理」
「何度かあったけど、行くのは昼間だけな。さすがに夜はちょっとな……」
「昼間でも行ったの? マジ? 昼夜関係無かったらしいぜ。バイトの定着率メッチャ悪くて、今日来たのに一日も持たなかった奴までいて、それで、これ以上やってられなくなったって噂だけど、よく、あんなとこでバイトする気になったヤツいたよな。どうかしてるぜ。………やっぱ、例の殺人事件なんだろうな」
「どうなんだろう………。俺のオヤジはゴミがゴミを呼ぶ法則と同じだろって言ってた」
「なんだそれ?」
「誰かが道の端っこにタバコ投げ捨てたとするだろ。そしたら、別の誰かがそこに空き缶を捨てるようになって、しまいには家から壊れたパソコンやら電子レンジわざわざ持ってきて捨てるヤツが現れるんだって。それって、ゴミが捨てられるのを見た人が、ちょうど偶然にも自分もゴミを持っていて、俺だけじゃないよな、だから俺も捨てちゃえ、ってみたいな人間の心理の問題だけじゃなくって、ゴミがゴミを呼ぶんだ、って言ってた」
「それと同じだって事?…………… 例の殺人事件も、別の何かに呼ばれて………あえてあそこでヤッたって
………呼んだのってなによ?」
「それは知らんけど………あのさ〜、俺の事さっきから窓の外ばっかり見てるって言ったよな、お前」
「ああ、言ったよ。事実そうじゃん」
「今更、もうやってないレンタルビデオ屋しげしげ見たところで意味ないだろ」
「はぁあ? なら何やってたのよ?」
「そっち………店の奥……見たくないから外に目ぇ向けてたの!」
「なに?」
「バカ……振り返るな! 見るなら何気ない感じ装って……」
「分かったけど、いったい何を見たくないのよ?……… って言うより、何があるのよ? 言ってくれ! 頼むってよ!」
「カウンターの中に女の店員いるだろ。さっきカウンターのこっちから見て右端に水置いた」
「え? ……… げっ、誰もいないじゃん……うわ……あるよ……お水……………なにぃぃ? あれってもしかしたらコーヒー? 置いちゃったよ……… 嘘だろ、マジかよ………ヤバイって、出ようぜ?」
「この喫茶店、お金払うとこ、きっとカウンターだぜ。お前、行けるか?」
「嫌だ! ならどうすんだよ」
「居なくなるの待つしかない」
「居なくなるの待つって……… どうやって居なくなったの分かれってよ?」
「カウンターの中の女の人見てれば、きっと分かる」




