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第四話 解体

 とある土建会社で


「オヤジ、なんで雄二に行かせたんだよ。社長の俺が取ってきた仕事だぜ。雄二に行かせるにしても俺が指示しなけりゃ社員に対して示しがつかねぇだろーが」

「おお、雄一、朝っぱらから何の騒ぎだ」

「とぼけんなよな。⚪️⚪️町にあるホテルの解体だってよ。オヤジが会長で、名誉会長みたいなもんじゃなくって取締役が付いた会長だって事は百も承知してっけど、社長の俺を飛び越して専務の雄二を動かすのは止めにしてくれや」

「あ〜、その件か………あえてお前を無視した訳じゃねぇが、ちょっと確認してぇ事があってな、そんで雄二を行かせた」

「社長の俺に相談なしでか? それも、さっきも言ったけど俺が取ってきた仕事だぜ」

「ああ、解ってる」

「だったら何でだよ? 訳を聞かせてくれや」

「なんて言ったらいいんだ? 人にはな、それぞれ得意分野っちゅうもんがあんだろ。雄一、お前は組織を束ねる資質があるし、営業力も俺以上だ。雄二じゃ社長は無理だから、すでに別の会社勤めをしていたお前を呼び寄せて継がせた。雄二は死んだ母さんに似て、誰かを支える能力が長けてると俺はみてる。それと、もう一つお前より優れた点があんのよ」

「なんの話してんだよ? それが今回の件とどう関係すんだよ?」

「あのホテルな…… 今までに何度も解体の話あったんだ」

「まさか……… だったら何でまだ建物残ってんだ?」

「最初は20年以上も前だ。解体請負った会社、急に不渡り出して倒れた。その後に請負った会社は、現場に入れた重機、かたっぱしから原因不明の故障が立て続けに起きて、その会社とうとう手ぇ引いた。だけど噂じゃ、機械の故障じゃなくって従業員が現場で何人も意識失って倒れたらしい。それからも忘れた頃に解体の話出るんだけど、とにかくダメよ。あのホテル、ずっと解体できんくて今も廃墟のまんま建ってんだ」

「それってマジか? 」

「ああ、5年前にこっちに戻ってきて社長になったお前が知らんくても無理は無ぇ」

「それでか……… 俺がこの話し切り出した時、うちの奴らみーんな黙り込んじまって………部長なんざ泣きそうな顔で愛想笑いしてやがった。クッソーー、なんでそん時に言ってくれ無ぇんだ!」

「社員が社長のお前ぇに、あそこはヤバイって言えってか? 当然 なんでって聞き返すだろ。そしたら何て答えるのよ? 実は祟りがありまして……… なんて言えるわけ無ぇだろーが」

「………この話し持ってきた元請もソレ知ってんのか?」

「地元で土建やってる人間なら知らん奴いねぇだろ」

「マジかよ…… でもよ、サキだって生まれも育ちも地元だけど、あのホテルの解体請負うかもしれないって話したけど、そうなんだ、でもどうしてずっと廃墟のまんまで残ってたんだろうね、って首傾げてたぞ」

「サキちゃん、お前と一緒になる前からずっとこっちだったか? 学校もか? まぁ、一般の人が知らんくても不思議じゃ無ぇか……。この業界、結構この手の問題にぶち当たる事あるんだけど、あんまり口に出さんからな。暗黙の内に箝口令ひいてんだ。喋っちまったら、その祟りってヤツが自分にもおよぶんじゃねぇかってよ」

「っで、雄二を行かせたって訳か。確かにアイツ、そっちの感度スゲーからな。…………ところで……あのホテルって、極端に古いってもんでもないよな。いったい何があってそんなことになってんのよ? オヤジ知ってんのか? 営業してる時、自殺者でも出したのか?」

「いや、違うんじゃねーか。営業たって、なんも無ぇ川っぷちに新築で建てて、確か10年くらいしか営業してねぇからな」

「なんで辞めたのよ? 倒産か?」

「倒産と似たようなもんだろう。最初の頃は良かったらしい。だけど2〜3年経ったあたりから、どんどん客足減っていって、それでも頑張って営業続けてたらしいけど、営業すればするだけ光熱費だの人件費だのが当たり前に掛かるからな。元々がホテル業の会社じゃなかったって事もあって、会社が倒産した訳じゃねぇけど、ホテル部門を廃業したってことだろ。ああ? なんで客が減ったんだって? ………場所だろうな。あの川………何人の人間飲み込んだか分からん川だからな。………違う違う、そんな最近の話じゃない。北海道の開拓の時代だ」

「まさか………ホテル業続けるの難しくなったのって……客が寄り付かんくなった理由……」

「会長!! あ……社長もいらっしゃったんですね。雄二さん………いや専務が倒れて病院に運ばれたそうです。………いえ交通事故じゃなくって、例のホテルに入るなりぶっ倒れたらしくて………」

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