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第三話 山越え

とあるアパートの一室で


「小玉、悪いけど、これから俺の彼女迎えに行ってくれや」

「迎えにって何処までっすか?」

「千歳空港」

「はぁああ?」

「東京行った帰りの飛行機、着くのガッツリ遅れて、JRに間に合わなかったらしいのよ」

「こっちの飛行場から行かなかったんですか?」

「実家に寄ってから東京行ったのよ。あいつの実家って札幌だし」

「長谷川さんの頼みですから、別にいいですけど……… 長谷川さん、なんか用事でもあって迎えに行けないんですか?」

「いや……用事って………ほどでも……」

「彼女には、俺が迎えに行くって言ってあるんですよね?」

「いや……それは………着いたらお前が言ってくれ。俺の代わりに来たって」

「はい?? それは無いっしょ。俺、長谷川さんの彼女と会ったの一度か二度っすよ。あんた誰? 何しに来たの? って言われちゃいますって。そもそも、なんで長谷川さんが行かないんですか? 用事だって無いんですよね?」

「用事は……無ぇよ」

「だったら………」

「小玉! お前、俺の頼みが聞けないって言うのか?」

「そんなんじゃないけど………理由を言ってください、理由を!」

「理由は………お前……鈍いだろ」

「鈍い? 何がですか!」

「だ〜か〜ら〜、鈍いのが理由だっつうの!」

「意味解んないんすけど」

「………誰にも言うなよ!」

「なっ、何がですか?」

「これから言う事を誰にも言うなよ! いいな、絶対だぞ! ………俺がビビリだって思われちまう……」

「わっ、解りましたから、痛てててて………手ぇ離してくださいって」

「あの峠、夜はヤバイんだ」

「………」

「普通じゃ無ぇんだって! お前、鈍いから今まで気づいたこと無いだろ? ちょっと感じる奴なら夜は絶対に通らん」

「鈍くて悪かったすね」

「冗談言ってんじゃ無ぇんだから、ふざけんな!」

「マジで言ってんすか? その〜 ヤバイって件。それってオバケ?」

「そんなもんどころじゃ無ぇ! 何台かで連んであの峠超えた時、陽落ちやがって、真っ暗よ。そのうち在りもしねぇ滝が現れやがって、それも下から上に流れてんのよ。そんでハンドルはクソ重たくなるし、エンジンは全然ふけんくなるし、急にフロント曇り始めて、エアコンは効かんわ、デフは止まるわ、窓開けてもダメよ。 窓から顔出して死ぬ思いで運転したわ。峠下りた所にパーキングあるだろ? そこで先走ってた奴ら待っててくれたんだけど、俺の車見た瞬間に地べたに腰落としやがった。………なんでって? 腰抜かしたのよ。フロントウィンドにびっしり人の手形ついてた」

「………だっ、だったら………高速通って行けば……」

「バカか! 同んなじ山越えてんだぞ! 峠は頂上通って、高速はその山に掘ったトンネル通ってるだけだろ。お前、あの高速のトンネルで事故多いのなんでって考えた事ないのか?」

「そう言えば多いかも……」

「まったく………鈍いの通り越してなんて言うんだ? ………とにかく 俺は見たんだ。前にダチと三人で俺が助手席に乗ってあの高速通ったのよ。そしたら、トンネルの中にいた」

「いたって………」

「ヒト」

「それって、事故か故障で……」

「違う! なんキロも続く長いトンネルの真ん中で停まってる車なんて一台も無かった。………ワンピース着た女……ずっとこっち見てやがった」

「運転してた友達にも見えたんすか?」

「いや、運転してた奴はお前と同んなじで鈍いのよ。ただ、後ろに乗ってた奴は、光が走ったの見たか? って大騒ぎしてた。それで俺にも解ったんだ。俺みたいに人の姿で見える奴もいれば、鈍い奴は何も見えない。だけどな、光が走ったように見える奴もいて、それってビックリするだろ。人だろうが光だろうがトンネルの中で急に現れたら。それで事故っちまう奴が多いんだ、あのトンネルわ」

「長谷川さん………彼女、実家に泊まってもらいましょう。それが無理なら飛行場で一晩明かすってのは?」

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