夢の夢はやっぱり夢
気がついたら知らない場所にいた。
知らない天じょ(ry
上下左右前後、まさに四方八方真っ白でお先真っ暗。
はい爆笑。会場が高まって来ましたわ。
何を言(ry
そんな感じのテンプレを一通りやってたら、突如出現した長くて立派な白いひげを生やした爺さんに
「こちらのミスd(ry」
うんたらかんたら言われ。
そんなこんなでなんかすごい能力を貰っていざ異世界へ出陣だ!
「…という夢を見たわけなんだが」
「夢かよ」
「そうそう夢。だってここ異世界じゃねぇし」
「まぁ普通に学校来てるし」
「そうなんだよ」
「で、結論出てるのになんで難しい顔してるん?」
「使えるんだよ」
「何が」
「能力」
「は?」
ボウ、と上に向けた掌の5センチほど上に浮かぶ火の玉。
「…は?」
「つまりはこういう事だ」
呆然としているそいつの目の前で、自分の仮説を披露する。
「これは異世界転生ではなく、現代異能ファンタジーだ」
「という夢を見た」
「はぁ?」
怪しい人物を見つけた時のような変な目を向けてくるそいつは、道端に落ちていた糞を子供が遊ぶような感じで木の棒の先で突いてくる。
割と容赦ない力加減で。
「いてぇよ!」
「あんたが変なこと言うから!」
「夢は変なものだろ」
「当たり前」
「じゃぁなんで突くんだよ。てかいい加減やめれ」
「で、なんでそんな変な顔してんの?」
「顔は生まれつきじゃい」
「いいからさっさと言う!」
「いたいいたいいたいわかりました言います!」
さらに激しさを増した攻撃から逃れつつ、言い訳を考える。
と言うか事実を言うしかないんだけど。
「使えるんだよ」
「何が」
「能力」
「は?」
「だから!」
ボウ、と掌から炎のを出して、そいつの目の前に差し出す。
「貰った能力が使えるの!」
「そのくらいの魔法、あたしも使えるし!」
「そう、魔法! …魔法?」
「魔法!」
そう言うと、そいつも掌に炎を浮かべた。
「…なんで?」
「そりゃ、冒険者なんだから、これくらいならほとんどが使えるわよ」
「え、そうなん?」
「そうよ」
「………」
「なに、まだなんかあんの」
「…俺、冒険者だったのか」
「…あんた、ついにボケたね」
そいつのよると、俺と一緒に冒険者を始めたのが今から2年前で、今はギルドの依頼を遂行中らしい。
言われて、そう言えばそうだったなと段々思い出してくる。
「じゃ、私は寝るから。朝までよろしくね」
「…おう」
今は丁度見張り交代の時間。2人で夜営しているので、俺が初めに寝て、三時間で交代。次はあいつが寝る番。
あいつがテントに入ったのを確認したら、思わず呟きが漏れた。
「…あいつの名前、なんだっけ」
Fin