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自然
岩だらけの山奥を流れる川の上流。
流れに逆らうようにして、山脈の崖っぷちを馬車は隠れるようにして北に北に進んでいく。
自然の美しさは心を動かす。
なぜかと考えうるに、大自然は我々の深いところに近いものがあるからだ。
「ユウナ・・・」
「ええ。」
窓を開ける。さわやかな空気が流れ込んでくる。
ハンスたちは、馬車の窓を開けながら、山の谷間にある清らかな木々や水が呼吸をしていることを感じ取った。
ついさっきまで、僕たちは地平線を覆う高層ビル群のうちにいた。
それも確かに人間のもつ生命力の偉大さを見せつけた。
だが、それは宇宙から見たらアリの巣と何が変わりないのだろう。
都会には、人間が生成発展しながら入れ替わっていく巨大なエネルギーが渦巻いており、それは自然を壊しながら、自然の一部である人間自身が生み出し続ける環境である。
愛の喜びを感じていた。
宇宙の一切は愛によって祝福されていた。
僕たちは追い込まれていた。
だけど、どこまでも幸せで幸せで仕方がなかった。
だれも、僕たちからこの幸せを奪い取るものはいない。




