戦争
「思い出の国」から帰ってくると、そこにはユウナとハレルがいた。
続いて、サトルとハルナがその地下に入ってきた。
「君たちのために祈っていたよ。」
と二人は言った。
「「あれ・・・」」
ユウナとサトルの妻のハルナは目を丸くしてお互いをまじまじと見つめた。
「「あなたと、わたしは、そっくり・・・まさか」」
生き別れた姉妹が再会した瞬間だった。
「姉さん・・・ハルナ姉さん?」
ユウナは驚いた眼をしながら言った。
「ユウナ・・・!」
生き別れた姉妹が再び再会した瞬間だった。
二人は抱き合った。
ハンスは答えた。
「ありがとう。君たちがいなかったら僕は勝てなかっただろう。
だけど、ゆっくりとしている暇はない。
おそらく、まもなく戦争が始まる。西の国と東の国を巻き込んだ大規模な戦いが。」
「逃げたほうがいいね。」
「雲の国を目指してみよう。
しかし、地図もなければ、情報もない。ハルナはもはや自分の故郷をすっかり忘れてしまったというし・・・。」
その時、空が一面に赤く染まった。
夕陽や朝日の美しいそれじゃない・・・。
毒々しい血の色と、すすの色がましったようなおぞましい色の空。
「戦争が始まった・・・。」
「逃げよう!」
「ユウナも・・・来いっ!!」
ふたりはどさくさに紛れて、逃げ出した。
「見つかったら・・・確実に銃殺だな。」
全身から嫌な汗が噴き出すのを感じながら、ハンスはユウナをのせたホウキを全速力で飛ばした。
新婚ほやほやのサトルはハルナを「クルマ」に乗せ、全速力で空を飛ばす。
サトルは言った。
「東の国の都で、仮称<A弾>と呼ばれる新型の兵器が爆発したみたいだ。」
「死者は?」
「いない。」
「だったら、そこまで危険なしろものではないではないか。」
「君は、魔法学と科学の両方を勉強したことがあるから分かると思うが、どうも新型爆弾の<A弾>というものは、魔法力によって科学力を抑制し抑え込むためのもので爆発時には人命には影響はないものの、まずは、電気や磁力、反重力装置と言ったものが使えなくなる。次に、徐々に人体に影響が生じ、細胞を破壊してひどい場合には死に至らしめる危険なものだという・・・影響に関してはまだ予測の段階ではあるので何とも言えないのだがね。
<A弾>の影響か・・・僕のクルマもうまく動かなくなっているのを感じるよ。
このぶんだと・・・首都圏の科学力が壊滅状態になるのも、一年以内かもしれない。」
「・・・それだ・・・。僕の父さんも、その爆弾の開発に従事させられていたんだ!」
しかし・・・今はそんなことよりも、戦争から逃げることが必要なのだ。
四人は、力の限り北の方向へ北の方向へ遠く遠く飛んだ。
「どこに行く?」
「どこって・・・西も東も逃げ場所はない」
「私・・・帰り方を知っています。雲の国への。」
とユウナが言った。
「何!それは本当か!?そこには我々も行けるのか?」とサトル。
「・・・そうだ、『雲の国』・・・そこなら、大丈夫かもしれない。」
そして、クルマが動かなくなるとそれを乗り捨てて、山を駆け上り「駅」にたどり着いた。
西の国と東の国の境目には、巨大な山脈がそびえている。
馬車は、山沿いを北へ北へと向かって行く。
空中では、目立つので、馬車は大きな川の流れる山の間の細い道を進んでいった。




