第一話 東京カジノ構想
「先輩。東京にカジノができるらしいっすよ~」
「ほえ~、すごい」
「げ、あんな法案通ったんかい・・・」
「だはは、東京はどんどん面白い街になっていくなあ」
――20XX年 日本にカジノができる。
そんなことを普通の人間が聞けば、どういう反応をするだろうか。
ギャンブルを知らぬ人間は無関心だろうか。
あるいは一発逆転、見果てぬ野望に心を躍らせるか。
近年、もうひとつ、日本には目前に迫った国民的な行司があったが
スポンサーからの金集めが目的の、税金で無駄なスタジアムを建てるだけで
実際のところゼネコンくらいしか喜ばないスポーツの祭典など、いまや国民はほとんど無関心だろう。
他人がもらう金泊のメダルがなんだ、他人がもらう金泊のカップがなんだ、他人事じゃないか。
かつてほどの祭典に魅力がなくなってしまったのは、自然の摂理だろうか。
現金主義。物欲のまま生きる現代人。 金がなければ同姓にも異性にも相手にされない。
かつての日本と今の日本は違う。
素朴な疑問だが 金とは一体何者なんだろうか。
人は金の呪縛から逃れられないのだろうか。
例えばあなたの無二の親友がおおよそ100年働いても返せない額の借金を背負ったら
その友情はそれからも続くのだろうか?