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心霊警察24時

作者: ダメ人間

友人の為にテキトーに造ったヤツです。

何かのご縁で目を通していただけたのであれば

テキトーに読んでください。

 ぴんぽーん。

 間延びした音が薄暗い室内に響く。

 時計は真夜中の二時。

 イライラする。

 毎晩毎晩同じ時間にチャイムが鳴る。

 しばらく我慢し続けているとそれは変わる。

 まるで両手で扉を叩いているような激しい音。

 アパート中に響いているんじゃないかと思うくらいの音が部屋中に響く。

 しかし今現在、三階のフロアには自分と隣に家族が一組。

 しばらく前に引越してきて、それこそ毎晩のように夫婦喧嘩をし、小さな女の子が泣き喚いていた。

 そういえば少し前からそんな声はぱったりと途絶えた。

 これで静かに夜を眠れると思ったが、そうはいかなかった。

 夫婦喧嘩が無くなったと同時期に、今度はこの騒動だ。

 いい加減にしてくれ。

 

 もう限界だ。

 我慢ができない。

 

 静かにさせよう。


 あの夫婦と同じように。


 そう思い、魚眼レンズからドアを叩いている人物を除き見る。

 おかしい。

 誰もいない。

 

 とたんに静まり返った室内がやけに寒く感じる。

 まぁ、鳴り止んだならそれでいいか。

 そう思い、俺は手にした包丁をキッチンに置く。

 まったく。

 静かな室内でようやく作業に没頭できる。

 ごりごりと鈍い音が室内に響く。

 切断。

 作業が一区切り終えたところでまたあの音がした。

 ドンドンと激しくドアを叩く音。

 キッチンに置いた包丁を手に、ドアの向こう側を除き見る。

 

 誰も居ない。


 さすがに不振に思った俺は、チェーンを掛けたままカギを開ける。

 がちゃりとロックが外れた瞬間、


 勢い良く扉が開かれた。



 おかしい。

 扉の向こうには誰も居なかったはずじゃないか。

 なのに、なぜ?

 開いた隙間から小さな手が出てくる。

 その手は、小さな女の子の手だ。

 

 俺は、


 扉を思いっきり閉めた。


 その後。


 流石に毎晩の騒音に悩まされた俺は警察に相談する事にした。

 色々な課をたらい回しにされたが、どうやら心霊課の刑事が話しを聞いてくれるらしい。

 名前は、何と言ったか。

 記憶には無いが、くたびれたコートを着た中年男性だった事は記憶している。

 その風貌から刑事コロンボを思わせるようなやる気の無さが印象的だった。

 刑事が取り合えず一晩、状況を確認したいから俺の部屋に泊めてくれと申し出てきた。

 俺はまずいと思った。

 アレを人に見られるわけにはいかない。

 早急にアレを押入れに仕舞う。


 さて。

 いつもの時間だ。

 未だ明けずの深夜二時。


 ピンポーンと音が響く。

 来た。

 そう思った。

 いい加減ノイローゼになりそうで、音がする度に耳を塞ぐ。

 そしてしばらくすると、扉を激しく叩く音に変わる。

 刑事は耳を覆いたくなるような音を出している扉の前に飄々と進んでいく。

 怖くないのだろうか。

 不気味ではないのだろうか。


 先日の俺同様、扉のロックを外す。

 チェーンは、


 掛けていない。


 扉がバン!と勢い良く開かれる。


 そこには、


 左手に包帯を巻いた、少女が立っていた。

 真っ赤なフードを被った少女がそこに立っていた。

 この少女には見覚えがある。

 この少女は確か……。


「はい、お嬢ちゃん。ここはキミのお家かなぁ?」

「え?違いますけど……」

「おじさんの事、判るかな?警察だよ。判るよね。何でおじさんがここに居るか。この部屋のお兄ちゃんがね、毎晩毎晩、お嬢ちゃんの出す大きな音で困っているだって。ちょっと署まで行こうか?」

「え?いや、わたしは……」

「うん、話なら後でゆーっくり聞いてあげるからねぇ」


 そんな。助けてという表情で俺を見つめられても、俺の方が困る。


「わたしは、あの、そのお化けという存在で……」

「後でちゃんとお話聞いて上げるからね」


 そういって有無を言わさず連行される少女。

 

 ポツンと取り残される俺。


 あの子は確か、隣の部屋の女の子だ。

 夫婦喧嘩がうるさいから怒鳴り込んだ時に助けた少女。


 自分の事をお化けと言った。


 そうか。死んでしまったのか。

 何だか、とても切ない気持ちになった。


 とはいえ、問題は解決した。

 趣味の美少女フィギアの作成に取り掛かろう。


 そう思った時、ぴんぽーんとチャイムが鳴った。

 誰だ、と思い魚眼レンズを除き見る。


 そこには、あの心霊刑事がやる気の無い顔で立っていた。

 忘れ物か?

 そう思い、扉を開ける。

 そして人懐こい笑顔でこう言った。


「お兄さんもね、早く成仏した方がいいですよ」

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