なーろっぱ世界の短編 婚約破棄とか聖女とかドアマットとか転生とか
「愛する女がいる」と言われた初夜、わたしは粛々と薬を盛りました
初夜のベッドで告げられました。
「キミを愛することはない」
そろそろ薬が効いてくるはずです。
「……」
「オレには、愛する女がいる!」
「……」
なかなか効いてきませんね。
「ショックのあまり何も言えないのか! だが、オレの決意はかた――う」
種馬が、ベッドに倒れました。
効いて来たようです。
私はあらかじめ婚家に渡されたマニュアルに従って、種馬を裸にしました。
「な……なにをするつもり……なんだ……」
こっちへのクスリも効いて来たのか、種馬は交尾する準備ができているようです。
わたしは裸になって、種馬の腰にまたがりました。
種馬が自分からしてくれれば、天井のシミを見ていればよかったのですが、自分で腰をふるしかありません。
「やめろ……やめ……やめてくれ……う」
中に出たようです。
これを3カ月は毎晩繰り返せば、子供が出来る可能性は高いです。
種馬は、昼間は薬で眠らせ、夜は薬で準備をさせて、交尾します。
3か月後わたしの妊娠が判ったので、種馬は一旦用済みです。
結果が出るまで、閉じ込めて眠らせておくことにしました。
婚家の侯爵家にもうひとり子供がいれば問題なかったのですが、ひとりしかいなかったので仕方ありません。
妊娠したので夜のおつとめからは開放されて、昼は義母から家政をしっかり教わります。
義父も義母も、あの種馬の両親とは思えないくらい、いいひとたちです。
ただ義両親は、たまに、種馬が収納された部屋のあたりに、かなしげな視線を向けますが……わたしの前では名前どころか存在のにおわせすらしません。
それに気づくたびに、責任感が強く人を思いやれる素晴らしい義両親だなと思います。
政略とはいえ、この家に嫁げてよかったです。
妊娠期間中。
屋敷に何度か、種馬に会わせろと平民の女が押しかけてきました。
2度目までは警告で済ませました。
3度目には、警告に『次はない』と付け加えました。
それでも4度目があったので、屋敷の護衛が斬り捨てました。
十月十日で立派な双子が生まれました。
男の子と女の子です。
大変な難産で生死の境をさまよいましたが、義両親の大層喜んでいる顔を見て、わたしも幸せな気持ちになりました。
双子は大変愛らしく、いろいろありましたがちゃんと愛せそうです。
それにこれで種馬を起こす必要がなくなってホッともしました。
そのまま永遠にねむっていてください。
今度は目覚めることがないねむりです。
あの世で真実の愛とすごしてくださいね。
たくさんの作品の中から、本作をお読みいただきありがとうございました。
最後までお付き合いいただけたこと、とても嬉しく思います。
少しでも心に残るものがあったり、何かを感じていただけたなら、
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別の物語も書いておりますので、もしよろしければ、そちらも覗いてみてください。




