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僕達はサルダである。  作者: hakusin
Oxyend
2/2

Oxyend:No.1 「発見」

:人物紹介:

.主人公.

・ダルテ

・トイヌ

「おはよう」


壁にかけられた時計へ目を向けると、針は6と12を指していた。

 どうやらトイヌも、ぴったり6時に起きたようだ。


「ふぁ...おはよう」


まだ若干目が重く、完全に開ききらない。

 それでも布団から出る時間だ。


「一晩様子を見てみたけれど、あの人は来なかったね」


あの人、と聞くとやはりゼルマ城で遭遇した人のことだろうか。


私達はもともと、4人で砂漠を歩き、街へ辿り着いたところだった。

 そこで、仲間内のリーダーが"ここに居る人物と話がしたい"と発言したことで、知らない建物へ足を運ぶことになってしまった。


リーダーの目的である人物には出会えたものの、その直後"知らない人間"に私たちは攻撃を仕掛けられ、意識を落とした。


そして、この小さな小屋で目覚めたというわけだ。



「何にせよ、あの人の目的が分からない。立場も見えない以上は離れた方が良いかもね」



少なくともこちらはアウェイだ。もしもう一度不意打ちを仕掛けられても生き残れるかわからない。



「運ぶ必要があった時点で、危害を加えるつもりは無い...って希望的観測は出来ないのかな?」


トイヌがそう言う考えも分かる。

しかし、一晩放置している時点で、相手の想定より早く目覚めてしまった線も消えた。


わざわざ眠らせて、運んで、その上でどうするつもりなのかがさっぱり見えてこない。


「周りは変わらず砂漠...でも、奥に森が見えた。そっちに移動してみるのはどう?」


「分かった、ダルテがそう言うなら行ってみよう」



小屋内にあった食料をいくつか持ち、私達はその場を後にした。


△△△



「わ、すごい...。さっきまでは、ただの砂漠だったのに」


ある一点から仕切られたように緑へと姿を変えていく光景が広がる。

 おそらく、ここから先は森のような光景ばかりはのだろう。


そう想像を膨らませる。



「食料がいつまで保つか分からない。水も探さないと」


あの小屋から出た理由のひとつでもあった、水。

砂漠を少し歩いてこの森まで来たのだ、水を早いうちに補給しておきたい。


死活問題だ。


「私、川を探してくる。水場はきっとあるはずだから」


「僕はこの先を見て...寝床を探しておくよ」


「3時間ほどで、合図を出すから合流しよう」



▽▽▽



森の中で活動するのは実に骨が折れた。

 まず、地形が荒すぎる。


前にも山を登ったことはあったが、それより高低差が少ないはずであるこの森を歩くことは大幅に体力を消耗させた。


水を飲んでいないからか、頭痛がする。

その頭痛に気を取られていると、足を滑らせる危険もある。


そして、何より動物だ。


「クマのフン...それも新しい」



この付近には大型の動物が必ず住み着いている。

 見つかったら現状はなす術が無いかもしれない。


命はひとつ落とすだろう。


「この辺の木は広葉樹が多いのかな?なら、水も豊富なのかも」


遠目からだとあまり見えなかったが、ここまで近づいて見れば木の種類くらいはわかる。


「...向こうには岩場がある。いくつか石を割っておこうかな」


水を見つければ、その後は火を起こして加熱しなければいけない。

 その際、木の皮を剥いで使えば入れ物が作れるだろう。


それに、枝を手で折るより石で叩き折った方が楽だから火を起こす前段階でも役に立つ。



「...ん?」


頭の中で自由勝手にどう立ち回るか考えていたところ、肩に冷たい感触が広がった。

 やがてその感覚は音に変わって体に焦りを植え付ける。


雨が降ってきた。


私は空に手を向けて、活力を削った。



△△△



ピカッ、と空が一瞬光った。

おそらく、ダルテが発したのだろう。


合流の合図にしては速いと感じたが、光を見るために空へ目を向けて理由が分かった。


木々に阻まれて見えづらかったが、少しずつ雨雲が迫ってきている。

 いや、おそらくダルテの居る方向ではもう降っているのだろう。


「急がないと」



大急ぎで、つい先ほど見つけたばかりの洞穴に荷物を放り込む。

 ついでに、付近の草や枝も手当たり次第投げ入れる。


濡れてしまってからでは遅いから。


雨が降れば暗くなり、視界も悪くなる。


「合流しに行こう」


そう呟く目には、もう疲れが溜まっていた。



水が足りない。



△△△


30分が経過してもトイヌが現れない。

何かあったのだろうか。


「確か、あっちに歩いていた気がする」


雨が降り、視界が悪い中で記憶を頼りに進んでいく。

すると、しばらく歩いた先に見覚えのある荷物が見えた。


穴の中に、たくさんの木々に囲まれて置かれていた。


「きっとトイヌはここに来ているはず...なら、光は見えてたよね」


何かあったのかもしれない。


そう思って、付近を捜索するうちに疑念が生まれた。

いや、間違いない。


「これは、クマの巣だ」


見かけだけでは分からなかった。


しかし、よく観察すればクマが居た痕跡はいくつか見つかった。

 こんな場所でなければいけないような状況がこの場であったのだろうか?


木の用途は察せるものの、他にも場所はあったはずだ。

...いや、私は一つでも屋根のある場所を見つけたか?



覚えがない、多分、トイヌもやっと見つけた眠れる場所だったのだろう。


「ここに荷物を置いて...私の光に反応して、そこから...」


道中で出会わなかったのは、クマに襲われていたからかもしれない。


「トイヌ!どこ!?」


足元が濡れ、さらに動きづらくなっているが関係ない。

トイヌに動物を殺す武器は無い。


私が行かないといけない。早く、見つけないといけない。


私は全力で走り出した。





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