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学校生活に慣れてきた、5月上旬。今白桜院高校では、ゴールデンウィークで休みだ。今までの環境では、休日がなかったから新鮮で楽しい。ゴールデンウィークの7連休のうち1日だけ予定を入れた。それは、ゆなさんとショッピングモールに出かけることだ。
それは先日のこと。
「さて、ゴールデンウィークを楽しんでこいよー」先生の声とチャイムの音が教室に響きクラスメイトは友達の方に行ったり教室を後にする者その中で僕は、隣の席のゆなさんに話しかけた。
「ゆなさん。ゴールデンウィークのどこかで遊びに行かないか?」僕はいつもと変わらぬテンションで聞いてみた。しかし冷静なのは僕だけのようだ。
ゆなさんは、誘われたことにとても驚いたのかソワソワしていた。
「もちろん遊びに行こっ!」心なしかいつもよりテンションが高いように見えた。自惚れすぎか。
そして今日がその約束の日当日。
「さて、そろそろ準備を始めるか」僕は適当にハンガーに掛かっている服を手に取り着た。
少し鏡で髪型などを見た。そこにうつる顔は金髪のウルフカットでアクアマリン色の瞳を持つ少年。顔は整っている方だと自分でも理解している。親が元アイドルと元役者で芸能事務所の社長をしていた。妹も将来アイドルを夢見る可愛くて元気な少女だった。僕が6歳の頃に起きた事故で亡くなるまで....
「思い出すのはここら辺にしよう。思い出したって過去は変わらない」家族の事故の時のことを思い出し、気落ちしながらも約束の時間が迫っている為出掛けるしかなかった。
待ち合わせ場所は、最寄駅前の公園に設置されている時計の前だ。敷地内で遊びに行かないのは、他の生徒に見られると何かとめんどくさいからだ。
僕が約束の場所に着いたのは、時間の10分前だった。それから5分後ゆなさんが到着した。
「ごめんっ!待った?」ゆなさんが手をブンブン振りながらこちらへ小走りで向かってきた。服装は白いワンピースに赤く細いリボンが付いている。
「今来たところだ。それにまだ約束の時間の5分前だ」ゆなさんに行こうかと言い歩み出した。 まず電車で隣町にあるショッピングモールに来た。
「シンジ君は、何か見たいお店とかあるの?」今日ここに誘った目的は、親睦を深める為だ。仮にも学級委員と副学級委員になったんだ。ある程度信頼し合わないといけない。
「アクアに私服のセンスが少しアレだなと言われたのでゆなさんに選んでもらいたい」それっぽい理由を適当につけ目的地を決めた。二人で有名な服屋に向かいながら雑談した。
「実は、こういうショッピングモールとかに来るのって初めてなんだ。」これは本当だ。親が芸能人だった為気安く出かけられない。それなりに名前も売れていた。母さんは伝説のアイドルと言われ、父さんは、今でも名作として残る実写映画に何作品も登場した。その中には主役として抜擢されている作品もあるくらいだ。それに父さんたちは、結婚や子供がいることを公表していなかったから、余計に出かけられなかった。
「そっか私と来るのが初めてかーと」ゆなさんが何故かニヤニヤしながらこちらを見てくる。
そろそろ目的のお店か。ゆなさんが勧めてくれたら服を片っ端から試着した。
「この服シンジ君の雰囲気と合っていて似合ってるよ」試着をしていると似合っているらしい服に辿り着いた。詳しい名称はわからない。スーツにネクタイがなく裾がとても長いって感じの服だ。うん。説明が難しい。
「いい感じだな。これを買ってみることにする。」レジに向かおうとすると突然名前を呼ばれた。僕の名前ではなく、
「ゆな、、?」声を発した人の方を向くと紺色のショートヘアにグリーンエメラルド色の瞳....