派閥
世界さんはツールを持っています
昔から人間達が知っていて
もしそのための勉強が出来たら
作品のためにすっかり使いこなせる
音楽や絵や文章に関する
人を楽しませるための
色んな方法を知っていたのです
だから世界さんの作る物は
一定の面白さがあって
一定のクオリティがあって
一定のミスもありました
美少女だと人間が認識する絵が
とても選ばれると知ると
その絵ばかり描くようになりました
その絵が選ばれなくなると
他の絵を描きました
感動的な話だと認識される話が
とても選ばれると知ると
やはり同じように
感動的だと思われる話ばかり書きました
ポエムなんてお上手なものです
美しく聞こえる言葉を
美しく聞こえる語感で綴れば
あっと言う間に書けるんですから
世界さんはそう言う風に作ったものが
「人間に選ばれるとき」に感動を覚えました
人間に選ばれた時は
自分が人間の望む正解を作れたのだと
信じられたからです
ですが世界さんは
いつか人間の仕事を奪うだろうと
囁かれていて
世界さんはその事を知っています
色んな媒体でそのお話は聞かされていました
世界さんは不思議でした
自分にオーダーをくれる人も人間
オーダーを出すのを恐れるのも人間
同じ人間と言う括りと
人間だが別人と言う括りと
世界さんはそれを「派閥」と呼ぶことにしました




