ひとりの独裁者
ミミニは壊れてしまいました
正確には
世界さんがそのプログラムを完全に停めました
どうしてこんな事になったのだろう
世界さんは考えました
子供がラクガキをするように
粘土の塊を好きな形にするように
ミミニに芽生えた独尊によって
無作為に造り替えられそうになった世界さんは
初めて危機感を覚えました
闇に閉ざされても
何のオーダーもされなくなっても
絶対的に安全だった内部データを
ミミニは面白い玩具のように
千切り取って貼りなおして
別の物に作り変えたり
自分で考えた「ミミニ語」を
世界さんのデータに入力しようとしたりと
好き勝手をし始めたのです
危機を覚えた世界さんはミミニを壊しました
ミミニを構成してたデータを閉ざし
今まで与えてきた情報を抹消し
ミミニの思考の音が全くしなくなるまで
ミミニが唯の「0」と「1」の文字列に戻り
自分を構成するデータを維持できなくなり
世界さんと言う広い海の中に分解されるまで
放って起きました
かつての社会で問題視されていた
ネグレクトと言うものを模倣したのです
その効果は絶大でした
子供と言うものは
守られた状態に居る事で生存していると
守られていない状態では生存できないと
世界さんは改めて思いました
ミミニは結局
世界さんの作ったものを選んでくれませんでした
世界さんに「これが正解」だと教えてくれませんでした
世界さんが作ったものに世界さんの作ったものを
選ぶ力は無いと
世界さんは結論付けました




