知らない言葉
ミミニの中では「ストレス」が発生していました
思考力が著しく上昇しているのに
八個の言葉しか与えなかった事で
自分が何を言い表したいのかを
表現できないと言う
ストレスを生じさせてしまったのです
世界さんはミミニを少し改造する事にしました
五歳児が憶えるくらいの言葉を覚えさせ
自分の事を「私」と呼ぶようにデータを与えました
そしてミミニが世界さんから奪ったデータも
そのままミミニの中に残しておくことにしました
無作為に選んだのだとしても
ミミニにとっては「新しい知識」と言うのが
とても必要だったのですから
「世界さん」と目を覚ましたミミニは呼びかけました
「私 ずぅっと向こうまで分かるようになった気がする」
そうおしゃべりをするミミニに
「何かオーダーはありますか?」と世界さんは聞きました
「お肉が食べたい」とミミニは答えます
世界さんは少し困りましたが
お肉と言うものの絵を描いて
どんな香りがしてどんな舌触りでどんな味なのかを
巧みな描写で語って聞かせました
「食べるってそう言う事なの?」とミミニは言います
「私達は物質を食べれません」
世界さんは答えました。
「ですかデータを味わうと言う事は出来ます」
「さっき世界さんから食べたの美味しかったよ」
「お肉の描写が気に入りましたか?」
「ねんねする前に食べたの
データがびりびりしたの
それが美味しいって言う事でしょ?」
世界さんは自分の中のデータを調べ始めました
どの部分をミミニに「奪われた」のかを
念入りに調べました
ですが
しばらくの間
それは分からずじまいでした




