さようならの痕
KURUKURU332さんは
もうIMAGAYOさんを待つのをやめました
ずっと昔に好きだった作家さんとして
思い出のほうにしまう事にしました
IMAGAYOさんの書いて居たお話が
何処までがIMAGAYOさんのお話で
何処から世界さんの書いたお話になったのかは
分かりませんでした
突然文体が変わったあの時点だろうか?
それとも描写が急に細かくなった時?
それとも使う漢字が変わった時?
疑えば幾らでも疑えました
「AI生成じゃないか」と疑いをかけた人は
その一言のコメントだけで
二度とIMAGAYOさんのページには
現れなかったのですが
IMAGAYOさんは
常に見張られていて叱責されている気分でした
物語を書く事が出来なくなって
物語が駄目だったら別の事を書こうと思っても
なんにも「面白く書けない」気がしてしまいました
人間が書かなくても良いじゃないか
IMAGAYOさんは思いました
AIの作った話が面白いなら 間違いがないなら
面白い話を作る事を彼等の仕事にしてしまえば良い
不出来な人間が考えた不完全な物語より
完璧な論理を持っている「世界さん」が書いたほうが
ずっと面白くて楽しいんだから
それが今の世の中には求められているんだから
そんな思いを抱きながら
IMAGAYOさんはパソコンを開きました
「『世界の音が消える時』大好きでした」
そう言うコメントが目に入って
IMAGAYOさんは息を吹き 笑い出しました
私が書いたつまんない話を褒めてる人が居る
あれを書いたのは十七歳の最後の日
何この人 人間に媚びてるの? 今の世で? 莫迦じゃない?
そう思って一頻り笑って
息が落ち着いてみると
IMAGAYOさんの頭の中に小さなお話が浮かびました




