自分に合った選択肢
俺は迷っていた、部活に入るか入らないかを。
高校では部活は強制ではないが内申点に響く、とりあえず所属するのもいいが、部活と委員会を掛け持ちも辛い、不特定多数と接する機会が増えれば増えるほど 俺の精神がもたない。
運動は一人でやるのが好きだし、文化部と言っても興味あるものが別にない。
そもそも運動部の殆どは特待制度で入学したE組の人ばかりで一般入試組が入部したところで足手まといだと勝手に判断している、別にやるのは自由だが俺は部活に情熱を注ぐのは避けたい。
勉強に支障が出ない程度に所属できる都合のいい部活などはないのだろうか。
いくら学業優先と言っても部活は必要なのか分からない、一つだけ言えるのはここまで内申点を気にして部活を決めている奴はいないということだけだ。
「はぁ、、、」
「佐野君どうしたの?」
心のため息が漏れてしまっていたらしい。
「夏目さん、いやー部活どうしようかなって考えてたんだ。」
「そうなんだ、私はもう決めちゃったよ水泳部。」
「早いね、水泳部かあ、すごいね得意なの?」
「いやいや、別に早いとかそうゆうのじゃないけど、やるなら好きな事で楽しみたいからさ!」
「凄いね、俺はなかなか決まらないよ・・あはは・・・、というか内申点がきになっちゃってね。」
「え?佐野君は委員会に入ってるから部活は入ってなくても内申点には響かないよ?」
「そうなの?なんで知ってるの?」
「だって、お母さんが言ってたから。」
「へ?お母さんよく知ってるね、卒業生?」
「違うよ、うちのお母さん理事長だよ。」
「んん"!?」
「ごめんごめん、知らなかったんだ、学校じゃ接点ないしね」
「でも私が理事長の娘って知らないで話してくれてたんだね、嬉しいな、ありがとう!」
夏目さんは元気で優しい、理事長の娘という肩書で近づいてくる人もいるのだろう、それは生徒だけでなく先生もということか。
彼女は分け隔てなく接してくれる、俺なんかにも話しかけてくれたんだ、そうゆう考えの人にも同じように接するのは、回数を重ねるごとに傷が深くなっていくのではないだろうか、俺なら傷つく。
その肩書を利用してやろうと考える事も可能だ、彼女はそっちでもあるのかもしれない、でも”利用”というフレーズの判断は”される側”の裏返し・・・やっぱりつらいじゃねーか。
「夏目さんっ」
教室に戻ろうとした彼女の腕を俺は咄嗟につかんだ。
「えっ、えっ」
突然の事に彼女は驚いた表情を見せた。
「あの、俺、夏目さんは夏目さんだから、変わらないから。」
俺は何を言っている、理事長の娘でも彼女に対する接し方は変わらないと伝えたかっただけだ。でもそんなものは俺に言われたところでなんでもないだろ、もっと仲いい人に言われたほうが嬉しいだろうが・・・判断間違えたか・・・これでクラスののけ者確定かもしれない。
「うん、ありがとう。」
彼女は俺の自虐的な考えを吹き飛ばす優しい笑顔で俺に返事をしてくれた。
***
上級生の部活紹介を体育館で人折見て俺は入部を見送った。
絶対楽しいが補償される部活があればいいのになあ