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考え事が多いときは忙しい方がいい

「お・・・おじゃまします・・・」

「いらっしゃい~、遠慮しないで入って~」


大神姉に誘われて指定の住所へたどり着いたが、白鳥の家が普通に見えそうなくらいのご豪邸だった、家自体も大きいが、広大な土地に高い塀で囲まれている、門も大きいのかと思ったが、そうではなく、車のシャッターの横にオートロックのドアがあり、そこから入るものだった、人の出入りはこの方がセキュリティ上はいいのかもしれない。

俺の家だってそこそこ大きいと思っていたが、白鳥の家といい、大神の家といい、俺の周りはなんで金持ちが多いんだ。

どうせ夏目も理事長の娘なんだから金持ちだろ、あの高校の募集要項にご令嬢なんて書いてなかったぞ。


「とりあえず、あそこに座ってて」

「えっ・・・(ソファーが多すぎてどこなのかわからないんですが)」

「好きなところに座っていいわよ」

「あっ、、、はい」


「お茶菓子です、どうぞ」

「あ、あ、ありがとうございます」

メイドまでいるのかよ・・・。

「あら、おいしそうね~、私にもちょうだい」

「かしこまりました」


「そんなに硬くならなくていいわよ、普通の家よ」

”違う!!!”と叫びそうになった。

「なっ・・・なんですか」

大神姉が俺をじっと見てくるが、やめてくれ、その美貌で直視されるとうろたえてしまう。

「あなたって、普通よね?あの子はこうゆう子が好きなんだ~へえ~」

「え、大神さんは俺のことは好きではないかと思いますが」

「え~、私も大神さんだよ~」

彼女がニヤニヤしている、言いたいことは分かっている。

「お・・・織姫さん・・・は俺の事ブッ」

俺の後頭部に何かが落ちてきた・・というか叩かれたというか、スリッパではたいたよね、織姫さん?

「気持ち悪いわね」

だよね、俺が名前を呼ぶのも嫌なほど嫌われていたんですね(涙)

「あら、いいじゃない~佐野君かわいそ~」

「やっやめてください」

胸が!俺の顔の美女の柔らかいそれが・・まるでクッションに顔をうずめるように・・・そんな簡単に・・

「イデッ」

俺の後頭部に再びスリッパが飛んできたが、俺は大神姉の胸の中に更に押し込まれることとなるだけのループにはいってしまった。


やっとの思いで大神姉から抜け出すと俺はすかさず妹の方に言ってやった。

「おっ俺は不可抗力だ!」

「何を偉そうに、よかったわねご満悦の顔じゃない」

「あらあら、熱いわね~、佐野君、妹のことは織姫って呼んでいいからね、これは先輩からの命令~。じゃあ、私は用事があるから出かけるわね、お二人でよろしくやって頂戴~。」


「ちょっ、姉さん!」


嘘だろ、俺は呼ばれてすぐに敵の陣地に頬りだされた歩兵か?


「・・・っと・・・・じゃあ俺は帰るよ」


「姉さんは本当に勝手よ、だから嫌なのよ、私の事なんでも知ってると思っていて不愉快だわ。」

「まあ、大事なんじゃない?あの、俺帰るね・・・」

(とにかく帰りたい)

「なによ、すぐに帰る必要ないでしょ、ここまできたんならゆっくりしていけばいいじゃない」

もうその発言の真意どこにあるかわかんないよ、さっきスリッパではたいたよね君


「いや、でも・・」

「私がいいって言ってんのよ、さっさと始めるわよ」

「へ?何を?」

「は?勉強に決まってるでしょ、あなたがここにいるなら勉強した方が効率がいいじゃない」

あーあ、そうだった、織姫はこうゆう奴だったわ。

「へいへい、・・・あ、でも俺勉強道具なんか持ってきてないよ」

「私のがあるわよ」

「あ、そうですよね・・・お借りします・・・」

「不満がるならいいわよ、帰りなさいよ」

「いや、不満はないってゆーか・・・・ちょっと・・・お・・・織姫さんのお部屋を見てみたいなーとか思ったりしてみたり・・・」

目をそらしながらここまで来たら見てみたい女子の部屋を俺はちょっと口に出してみて・・・ちらっと彼女の顔を見ると、顔が真っ赤だった。

「ななななな・・・な・・・なにを・・・」

「もうその先の想像は分かります、すいません、ちょっと見たかっただけです、やましい事とかじゃなくてもうだいじょうぶですすいません、申し訳ございません!!!」

「くっ・・・じゃあいくわよ、見たら終わりよ」

「へっいいの?」

「うちに来てもらって、何もできないなんて失礼でしょ、義理を通すだけよ」

(おっしゃ!)


とはいったものの、彼女の部屋までずいぶん遠かった

「お前の家、広すぎて逆に疲れない?」

「ここしか知らないのだからわからないわよそんなもの」

「そっか」

大神がたまに見せる孤独な表情は生い立ちも影響しているんだろうなと思った。


「はい、ここが私の部屋よ」

「おおここが・・・って客間?」

「違うわよ、私が子供の頃からここよ、無駄なものは買わないのよ」

「そうなんだ」

部屋を見渡すと掃除はされているが余計なものがない、自分の妹と比較してはいけないが物がない、きちんと整理整頓されているのかもしれないが、インテリアも自分で用意した感じではない。

「あれ、これって・・・」

少し傷がついたキーホルダーが机の近くの壁にぶら下がっていた

「これは、大事なものよ」

「そうなんだ」

「覚えてないの?」

「え、何が?」

「別にいいわ、はい、戻るわよ」

「わかったよっと・・・」

部屋から出ようと向きを変えた瞬間に自分の足に躓いて彼女の方に倒れてしまった、慌てて体制を戻そうとしたら彼女に壁ドンしている状態を作ってしまった。

「あ、あ、あ・・・ごめ・・・」


「ななななな・・・な・・・な!!!!」


バチーーーン


すばらしき不可抗力な対価が豪邸に鳴り響いた

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