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それはあの時のものと似ていて

「名前で呼べ」

「嫌です、先輩です」

「そうゆうのは嫌いだ」

「俺も嫌です」

「そもそも、なんで今更入部したんですか?うちの学校は部活の所属は強制ではないですよね、3年生は受験もあるしわざわざ受験勉強の時間を割かなくてもいいんじゃないですか」

「・・・」


俺が2度の失言をしてから数日、一応彼女とは打ち解けられていると俺は判断した、なぜなら、退学しなかったからだ。

しかし、疑問は残る、3年生なのにわざわざ可もなく不可もないような部活に入る必要はないのではということだ。

まあ、人にはそれぞれ考えがあって、それを他人が強制することはできないし、する必要もない。

俺は理解できないだけだから彼女はこの部に所属しようが正直関係ないことだ。


俺の質問が気に障ったのか回答をしない。

変な間を作っても仕方がないので俺から切り出した。


「まあ、何でもいいですけど、俺は先輩と呼びますからね」



「あなた、また先輩をいじめているの?」

口うるさい大神が来た、黙っていればかわいいのに。

「いじめていない、俺は強要されていることを断っているだけだ」

「あなたに拒否権なんか存在するのかしら」

「お前に決められる筋合いはない」

「あらそう、じゃあ私の独り言だけど2度の失言をしたうえに、先輩の胸をコソコソ見ていたのはどこの誰だったかしら」

「なっ・・・」

なぜそれを知っている・・・俺は気づかれないように見ただけだ、いや目に入っただけだ。

ぐうの音も出ないほどに言い返せない。


「俺より成績下のくせに」

ボソリと反論する。


「なっ・・・その成績優秀者が学年代表の演説を誰かさんに押し付けて逃げたのは誰でしたっけ?」


あーもーなんもいえねー!


「くっ・・・」


悔しい気持ちをこぶしにため込む。


「あらあらにぎやかですね、どうされましたか」

天使の白鳥が来た。


「佐野くんに犯されたの」

唐突な先輩のパワハラ到来。


白鳥は顔を青ざめて俺を見ている・・・やめて、あなたにだけはそんな印象持たれたくない。


「佐野くん・・・小風先輩をそんな風に見てはいけませんよ、代わりと言ってはなんですが、私にその視線を注いでくれてもかまわなくてですよ」

「ヒッ」

白鳥は俺の体にピタリとくっついて俺の耳元に息を吹きかけるように話してくる。

俺はそうゆうのに免疫がないんだ、頼むから勘弁してくれ、いやこのままでもいいんだけど、いやいやだめだ流されるな俺。


「うわっ」


後ろから押されるように俺は吹っ飛んだ、間違いなく大神が蹴り飛ばしたのだ。


「ってーな」

「はなのした伸ばして気持ち悪い、そんなもの見るために私はここにいるんじゃないわよ」

「あらあら、大丈夫ですか?」


俺は不可抗力だろ!白鳥が勝手に俺にくっついてきたんじゃないか。

まあ、拒否はしなかったけど。


『ガラッ』


「あら、帝さんお疲れ様です」

「うっす」


いつもベストなタイミングで空気をかえてくれるいい奴だ。


「では、今日もお茶しましょう」


家庭科部というかお茶会になっている気がするが、勉強もできるし、読書もできるし割と助かっている。

大神は勉強はできる奴だ、正直一緒にやった方が助かるときもある。

白鳥さんの入れてくれるお茶もうまいし俺は高校生活1人でやっていくとか考えていたが、中学とは違ってそれぞれの自主性があるのは俺にはいい環境だったと自分の努力に感謝した。



「あ、ごめん、今日は俺先に帰るわ」

「あら、委員会?なら私も」

「いや、担任が手伝ってほしいって言われてるだけだから委員会じゃないよ」

「では、また明日ですね」

「ああ、じゃあ」


俺は先生に資料を運ぶように頼まれていた、なぜ俺かというとまあ、言いやすいのだろう、委員会に入って入れば教師の要求には答えますと言っているようなものだ。

正直めんどくさい。


俺は資料倉庫になっている空き部屋に荷物を運びに来た。

ここの隣にある生徒指導室は嫌な空気を放っている。

俺はこの学校でここだけは好きではない。

指導というか怒鳴り散らして終了する場所にしか見えない。

個人を呼び出して誰も助けのいない空間で言いたい放題言われて自分の言い分は言えないのだろう、警察の牢獄のようだ。


俺は荷物を強めに抱えて足早に生徒指導室を通り過ぎようとした。


『ガラッ』


うわ・・・誰かいたのかよ、めを合わせるな・・・。

と思ったら目が合うどころか視線が釘づけになってしまった。


いつもは遠くから見ていた水口が出てきた。

彼女を見ると胸が締め付けられて周りの空気がキラキラと純白のシルクに包まれている感覚になる。


「あ・・ごめ・・・えと・・・資料を置きに来ただけだから」

俺は意味不明に言い訳をしてパニックになる。


彼女は涙を流した後だろうか、元気のない表情だった。


「あの、何かあった? あ、えっと、俺、一年代表になってる佐野なんだけど、水口さんだよね、もし何かあれば聞くけど・・・」

ばかか俺は、初対面でそんな話するわけねーだろ。

しかも彼女の名前知ってますって言ってどうするストーカーだと思われたらどうする。


彼女は会釈して俺の前から去っていった。


そりゃそうだ、初対面の奴となんかしゃべりたくないだろう。


あれ、ちょっと待った、俺は何か違和感に気が付いた。

昔女の子にプレゼントしたネックレスに似ていた、というか同じだった。


もしかしたら俺は彼女と昔にあったことがあるのだろうか。

でもこれが違っていただもう気持ち悪い変な男確定の印を押されてしまう。


彼女は部活をやっているが、今日は運動部は校庭のメンテナンスで使えない、作業者も入るから部活は休みになっているはずだ、なら下駄箱に行けば彼女がいるかもしれない


俺は資料を急いでおいて、彼女のあとを追いかけた。

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