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小風やなは大きい

「帝、今日は部活あるけど行く?」

「ああ、うん、遅れていくよ」

「ん?用事あるなら行かなくてもいいんじゃない?」

「いや、大丈夫、すぐいくから」

「そう、わかった」


今日は早く言って小風やなに謝るのだ。

でないと俺は退学になるかもしれない。

彼女はこの学校に多額の寄付金を納入してくださっているご両親をお持ちだ、きっと俺のせいで気に障ることがあれば問答無用で退学にさせられてしまう、そうしたら海外に戻らなければならならなくなる、それは勘弁願いたい。


恐る恐る家庭科室に入ると、まだ誰もいなかった。

大きなため息と安堵が同時に二酸化炭素となって大量に体外へと放出された。


さて、適当な席に座って次の小テストの勉強でもしてようかと座ろうとすると、それまで誰もいないと信じていた俺は驚いた。

「ヒィ」


小風やなが席に座って本を読んでいた。

おいおい、存在感がなさすぎるぞ、そもそも入ってきたら挨拶だろ?

だめた、彼女は触れてはいけないやばい奴だ。


「あ、あの・・・この前はごめん、前に教室から転んでるのが見えたのを思い出しちゃって、悪気はないんだ」

彼女に俺の渾身の言い訳は届いただろうか。

無言だからリアクションはないんだろうな・・・。

「えっと、俺、佐野八羽っていうんだ料理も裁縫もできないんだけど成り行きで入部してて、えっと・・・・よ・・・よろしく小風さん」

彼女は無言タイプだ、それを否定するわけじゃないが間に困る。


「じゃ、じゃあ俺もみんながくるまで本よんでようかな」


会話を終了するべく独り言のような自分の行動をアピールしつつその場を去る。


「・・・・でいい」


「えっ?」


「やなでいい、小風は嫌い」


「えっと、やなさん・・?」


「さんはいらない、やなでいい」


「あ、うんわかったよ、やな」


なんだ、しゃべれるのか、じゃあすぐに返事しろよ、とは思ったがそれは言わないでおく。

とはいえ、急に呼びつけは抵抗がある、そもそも女子を呼び捨てってそんな急にしていいものなのか、断固さん付けの方が印象がいいんじゃないのだろうか。


「佐野」


「ん?」


つーか俺は問答無用で呼び捨てかいっ


「お茶入れろ、それで許してやらないでもない」


「なっ・・・わかったよ」


おとなしそうに見えて中身は真逆のようだ。

弱みを握られた覚えはないが、なぜかやらざる負えない状況、まあ退学いやだからやるけどさ。


「お疲れ様です・・・あらあら、佐野くん、お茶入れるのですか?お手伝いしますよ」

女神が登場した。

やはり白鳥さんは頼りになる美女だ。

「ありがとう、どれ使えばいいかわからなくて困ってたんだ」

「あら、そうでしたの、部での使用を許可頂いているのはこちらの扉に入ってますよ、その他は都度確認になるけど、先生に言えば何でも使わせてもらえているのです」

美女は親切だ、彼女だったら最高だろうに。と幸せな妄想が先走る。

「顔が歪んでいるわよ?私にもお茶入れてくださるかしら下僕」

「はあ?俺はお前の下僕じゃないし自分で入れろよな、それともお前自分でお茶入れられないの?」

「あら、安い挑発には乗らない主義なのよね、お 茶 入 れ ろ」

白鳥との癒しのひと時が崩れ落ち大神が部活に来た。

がっかりする俺の顔の近くに大神はいきなり近づいてきた。

「なっなんだよ」

口は悪いが彼女は美人だ、さすがにこの距離は体が反射的に緊張する。

「小風さんには誤ったの?」

俺の耳元で囁くように話してきた、が、俺は、パニックになりかける。

「はにゃま・・・誤ったよ」

かんだ・・・。もう恥ずかしすぎて帰りたい。

「あらそう、なんか間抜けな返事ねしっかりしなさいよ」

 お 前 の せ い だ よ !


悔しいがいいにおいがした・・・。



「はい、お茶ができましてよ、皆さん召し上がってください」

結局、白鳥がすべて用意してくれた。

ということは・・・許して・・・もらえてない?

恐る恐る小風やなを見ると、彼女は俺をギロリとにらみつけていた。

たれ目でおとなしい顔立ちの彼女はサラサラで色素の薄い髪も相まって弱そうというか守ってあげたくなるようなそんな存在感を放っている、だから、怒っても怖いというよりは得体のしれない資産家のご両親という後ろ盾が俺には恐怖を感じる。

とはいえ、彼女は小動物が威嚇しているみたいでかわいいのだが、納得いっていないのだろう。

次はちゃんと入れますと言わんばかりに両手を合わせてジェスチャーで謝罪した。

彼女は気難しい子のようだ、まだ学校に慣れてないのかな。

でもあれはモテるかもしれない・・・特に胸が・・・かなり豊潤なのである。

小さいのにあれだけのサイズはなかなか拝むことはできないだろう、正直に言うと俺は彼女の第一印象は胸だ、どうしても思春期男子は目がいってしまう。

いや、あれは誰でもいくだろ、3年生になったらどれだけ大きくなるのか気になるがそれは仕方のないことだ、男子だからと不可抗力の言い訳を脳内で処理していく。

顔が幼いだけに罪悪感もある、が、それもまあ同い年なんだ許せ。


「あ、そうそう、小風さんは3年生よ」

「なっ・・・うそだろ!?」


俺はまた彼女に失言をしてしまった。


『ガラッ』

「お疲れ様です、ん?」


ナイスタイミング!かはさておき帝も合流した。

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