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家庭科部へようこそ

「あらあら、殿方2名いらっしゃってくださいますとは驚きです」

「ああ、うん、なんか成り行きで・・・」

会話がなくて冗談交じりに言ったのが本気にされてしまい仕方なくとは言えない。


「ここではなく、中へどうぞ」


部屋の中は家庭科室なのにおしゃれなカフェに来た気分になる。


前よりも部員は少ない気がする。


「この部は何人いるの?」

「そうですね、まだ確定はしておりませんが、私含めて4名は入部届出てますよ」

「ところで、そちらのクールな男性はどなたでしょう?」

「あ、俺と同じクラスメイトの・・・」

俺が帝の紹介をしようとしたら、声を遮られてしまった。

「あー!影之さんですね」

帝は恥ずかしそうにそっぽを向いている。

「初めまして・・ですよね、私は白鳥七花と申します、一応部長候補です、宜しくお願いしますね。」

「オッオイ・・・」

「あらあら恥ずかしがり屋さんなんですね」

帝の脇腹を肘で押すが固まって反応がない・・・。


こいつ・・・なんで家庭科部に入部希望なんかしたんだよ、今からでも冗談だったんでって逃げるか?


俺が十惑っている横で帝が椅子からぶっ飛んだ、正確には椅子ごと何者かに蹴り飛ばされて顔面を床に打ち付けた。

「大丈夫か?」

「大丈夫も何も挨拶できない人間はこの部には必要ないわ」

この声はもう覚えた、大神だ、あいつは礼儀がなってない人間は大嫌いだ、わからなくもないが蹴り飛ばす必要はないだろ。


「はいはい、そこまでだよ!じゃあ何か作ってもらおうよ!それで入部を決めるの!」

「え、なんで夏目さん!?」

「なんでって失礼なー!」

むぅっとした顔で俺をしたから覗き込んでくる。

やめてくれ、女子に免疫はない・・・。

「掛け持ちだよ、やっぱり女子は裁縫に料理ができなくちゃね!」

「そうなんだ」

「あー!興味なさそうだね、まあいいさ、君たちは試験に合格しないと入部はできませんからね!」

「そんな勝手な・・」

とはいえ、別に入りたいわけじゃなかったので、ここで適当に試験に不合格になればいいのではと悪魔のささやきと親友になりかける。


「ああ、わかったよ」

「まあまあ、そんなことしなくてもいいのに」

白鳥は困った表情になってしまった。

「では、食材もないので、簡単にハンカチ作りましょう」

俺にとってはハンカチはその辺で買うものだ、そもそも買った事すらない物体だ、そんなものが作れるのか・・不安だ、やはり俺には帰宅部がお似合いだ。


用意されたのはカーゼと手縫いセット、部活自体の正式な活動は6月からになるから使用できるものが限られているようだ。

白鳥が説明してくれるが、美人のオーラがまぶしすぎてそろそろ胃が痛い。

なんかいい匂いする・・。

「うわっ!!」

俺の椅子がいきなり消え去った、と同時に俺も吹っ飛んだ。

「あらごめんなさい、なんかイラっとしたので」

「なんだよそれ」

理不尽な対応に腹立つが、その一蹴りがなかったら危なかったからまあいいとしよう、よくはないけどな。

「もう、大神さん、暴力はだめですよ」

「正当防衛よ」

おいおい、お前には何もしてないだろ。と突っ込みたいところだが先にハンカチを作って終わりたい。




***



ハンカチに申し訳ない出来になってしまった。


「帝はできたか?」


自分のことに集中しすぎて帝の存在を忘れていた。が、彼はキラキラした目でこちらを見ていた。


「あら素敵!」


前髪で見えにくい顔からキラキラしたオーラが見えてくる。

ハンカチに花柄の刺繍まで綺麗に入っていた。

おいおいおい、お前の特技はこれだったのか。


「これは入るしかないわね、あなたはおまけね」

「いいのよ、おもてなしできる人も必要ですよ」

「私は掛け持ちだからたまにしか来ないけどよろしくね!」


試験というか、ただの遊びだったのか、真面目に考えていた俺が馬鹿に見えるじゃないか学年トップもなめられたもんだ。


「・・・」


静かに読書している女子が1人いるのに存在を忘れてしまっていた、挨拶だけはしておかないとと彼女に近づいてみた。


彼女は本で顔を隠しながら俺を避けている、しかし、俺は挨拶をきっちりしたい派だ、多分、今は、気分的に?



「あの、よろし・・・・・・・・・・・・・あーーーー!!!!! しりもち少女!!!!」



本で顔を隠しながら眼だけこちらを見た彼女は紛れもなく朝に跳ね飛ばされてしりもちついていた女の子だった。


結局流れに任せるままに俺は家庭科部に入部した。

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