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答えがないと正しいか不安になる

「これは2人でやることじゃないだろ」

「まあ、仕方ないわね、でもあなた、できてるじゃない」

「しょうがないだろ、やらなきゃ終わらないんだから」

「先生に提出して終了ね」


全部活を2人で見て報告書を作ったが、これはいわゆる”活動報告”を兼ねた確認だと途中から気が付いたが、俺達が騒いだところで何も変わらないし、誰かに負債が回るだけなので腹の底に収めて作業だけをした。


職員室に入り、先生に渡し終えたが、きっとあの書類は適当に回されておわるのだろう、効率がいいのか悪いのか。


とはいえ、活動をしていない部活は即廃部となる。

実態を確認するには”新入生の見学”はいい機会となるのだろう、生徒会内でも口外しないように指令が出ていた。


いくつかは廃部となるだろう、活動したものの人が集まらなくて解散ってところだろう。

そもそも帰宅部が認められているのだから無理に作る必要もないだろう。


「私は家庭科部によるけど、あなたはどうするの?」

「あー俺はいいや、今日は用事があるんだ」

「そう、じゃあ、さようなら」


大神と別れて俺は帰宅した。

特に用事はないが、家で1人になりたい時間が俺には必要だ。


なんだかんだクラスの人とは会話できるようになってきてが、仲のいい友人はいない、俺にしてはまあまあなんじゃないかと思う。


思ったことをそのまま言ったり、相手に合わせた会話で嘘を言ったり、自分自身が分からなくなる事もあったり、自分を整理するのに時間がかかってしまう子供のころを思い出す。


「もう、ああはなりたくない」


ベッドにあおむけになって自分の理性を整頓する。



***



毎日の日課になっている登校を上から眺める朝、本を読みながら歩いている女子が他の生徒にぶつかったりしているのが見えた。

小柄なのに跳ね飛ばされたら転ぶだろうと思いつつ。

と思ってたら少女はしりもちをついた、相手は気が付いていないようだ。

”あぶねーな”と思いつつ、どっちもお互いが見ていないのだから俺が助ける必要もないすまない小さな少女よ。



ガタッ


俺の隣の席・・・そういえば挨拶すらしていなかったな、というか誰だっけ・・・。

「あ、お、おはよう」

相手の顔色をうかがうことなく挨拶してしまった。

まずい・・・

「・・・・ッす」


長い前髪でやっと見えた目と軽い会釈を返されほっとした。

あまり明るいタイプじゃないな、俺もその方が楽だ。

確か名前は影之・・・委員会の時にもらった資料で名前だけは把握している。


「えっと、影之君は部活決まった?」

「・・・」

首を振って返された、そうか、会話しないタイプか・・・。


「俺、家庭科部に誘われてるんだけどさ、一緒に入る?」

心の中で『入るわけねーだろー!!』と突っ込み入れつつ口が勝手に動く、昨日は考えないで勝手にしゃべらない理性を整理したばかりだっつーの俺のバカー!!!


軽蔑のまなざしでも向けられて今後は会話すらできないお隣さんになりかねない・・・恐る恐る彼を見上げると表情変えないでこっちを見ている。

「えっと・・・あ、やだよね・・・・」

「いいよ」

俺の言い訳を遮るように声をかぶせてきた。

「え?」

「家庭科部、入ってもいいよ。」

「え?」

「家庭科部、入る。」

「そうなの?」

思った返しが違いすぎて若干放心状態の俺の質問にコクリと頭を縦に振った

正直冗談交じりの会話つなぎだったのだが、彼が入るというならば俺は入らないわけにはいかない


「あ、ああ、じゃあ今日行く?」

「いいよ」


これは・・仲良くなる兆候か??


「で、あんたの名前なに?」


おっと、俺の認識なかった


「あ、ごめん、佐野だよ、佐野八羽」

「そう、よろしく佐野」

「お、おう、よろしく、えっと・・・」

「帝でいいよ」

「あ、う、うん帝」


おい、ちょっとまて、俺は名字であいつは俺を名前で呼ぶのか、いいのか?

変な関係だか友人になれそうなタイプでよかった。

最初は無視されるんじゃないかと焦ったじゃないか帝君


部活の選択で人生が左右されるかもしれないのに俺の一言で彼は選択をしてしまっていいのだろうか、不安になりつつも俺たちは放課後に家庭科部に向かった。

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