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ちょっと本を探そう。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 一応この本も持って帰ることにして、他の本も探る。


 小一時間ほど探したのち、やっと見つけることができた。本の題名は『色んな種族探してみよう』という謎に子供向けの絵本みたいな題名だった。


 本を開いてみると、目次があった。そこには30ほどの様々な種族についての情報が書かれていた。


 そこで、ヴァンパイアについてのページを開いてみた。すると、たった一ページしか書かれていなかった。


‟ほとんどが謎に包まれた種族。存在の確認のみがなされているが、ほとんど情報がない。だが、これだけは言える。やつらに近づくな。近づかせるな。”


 どうやら、この本が書かれたときは本当に情報がなかったんだな。まぁ、敵対すれば、かなり厄介なことになるから、近づかないのは賢明だったのかもな。でも、もしもこれの情報を書き換えられるなら、少し変えたいんだよな......何事も敵対や恐れるべきではないってね。まあ、三人の印象だけで決めるのは良くないんだけどね。


 でもだからと言って、本当に情報を追加するかに関しては、するわけがないけどね。レサやロサ、ルーナを危険にさらすことにつながるし。実際、過去にレサたちの故郷に帝国軍が入っていったのは、誰かが情報を売ったんだろうし。


 って、待てよ?もしも吸血鬼族(ヴァンパイア)の集落を知っている人がいるのだとしたら、少しおかしい気がする。もしも同じ種族以外の人が近くにいたとしたら、気づいて記憶を取るだろうね。しかも、吸血鬼族(ヴァンパイア)の情報自体ほとんど出回ってないのだから、近づいた人がいたとしても、一目で種族など判明できるわけがない。


 見た目自体は人間と一緒だしな。ちょっと犬歯が長いくらいで。それでも微々たる違いだ。目の前で見ないと気づかない程度の違いでしかない。


 それなのに、珍しいと言って帝国が切り込んだのなら、それは意味が分からない。


 これはあくまで推定でしかないが、レサたちの集落に裏切者がいたのではないだろうか。帝国に情報を売って、間接的にレサたちの集落を滅ぼした人物が。


 それなら吸血鬼族(ヴァンパイア)の集落を帝国が攻め入ったことと辻褄が合う。


 少し気をつけた方がいいな。あとで三人に話しておこう。今後、そのせいでトラブルに巻き込まれる可能性があるだろうし。そもそも情報提供した人物が帝国の近くにいるかもしれないし。


 んで、次に気になる種族は『鬼』と『エルフ』についてだな。理由は言わずもがな。一旦読んでみよう。


‟鬼。それははるか昔から恐れらている種族。普段は温厚で優しいが、その角の生えたおどろおどろしい見た目ゆえ、忌み嫌われ、恐れられている。しかし、感情的になると『暴走状態』に入り、落ち着くまで本人ですら制御が効かない。これは固有スキルによるものだと推測できる。※固有スキルについては当本の最終ページを確認。また、暴走状態だと能力が全体的に大幅な強化がされる模様。しかし、知能は下がる。”


 なるほど。感情的になることでそうなるわけか。だけど、それに関わらず、あの石はアリサを暴走させてきたわけか。そう思うと、余計に厄介なものじゃん。


 ってことは、アリサのステータスを見た時の暴走状態っていうのはこれに関わることで間違いないな。もう一回あんな感じで戦うのは難しいから、アリサの様子には気をつけておかないと。特に今みたいにサラが寝てるときとかは。


 さて、次はエルフについて読んでみようか。


‟森の守り人。この二つ名で知られるこの種族は、耳が長くとがっていることが特徴で、森の中での生活能力に長けている。木の実を主食にするとされてきたが、近年の情報により、肉を食べることも判明した。隠密性と武器の扱いに長けており、基本的にどんな武器でも扱うことができる。中には鞭や鎖、(なた)など、扱いにくく汎用性のない武器を好む者もいるとのこと。”


 ってことは、固有スキルは隠密か、武器の扱いに関わることか。もしくはその両方かもしれない。っていうか、鉈を使うエルフって......めちゃくちゃこわいんだが。顔に血がついて狂気的な笑みを浮かべてそう。ホラゲの影響か。


 鞭と鎖に関しても、よく考えたら怖いな。確かに扱いにくいけど、うまく使えれば強いんだろうな。前にアリサが炎の鎖みたいなのを使ってたけど、アリサはそういうのを使うのが得意なのかな?いやでも、あの時はサラか。アリサ自身はどうなんだろうね。


 鞭、か。エルフと鞭でピンク色の思考になってしまったのは俺だけではないと思う。うん。こういっちゃあれだけど......いや、もうやめておこう。この話の続きはセクだけに託しておくか。


『いや、俺を巻き込まないでくれ。さすがにその勇気はない。さっきみたいなことをまた繰り返すのは嫌だ。』


 ナイス突っ込み。でも、口ではそう言っても実際は気になってんじゃないの~?


『い、いや、別にそんなことはない......な。うん。それより、他の種族について見てみないのか?』


 読んでみるけど。そんな中学生みたいな反応しなくても。別に本気で言ったわけじゃないぞ?さすがの俺でも履歴を見られるのは同性であっても死ぬ。


『ほうほう。ならば妾が見てやろう。』


 モルがその記憶の濁流に飲み込まれない自信があるならいいけど。自分でも言うけど、大分マニアックなものが多めだぞ?


『前言撤回が速すぎないかの?たしかに、さっきのは冗談だったうえ、見る気にはなれんがの。』


 そう言うと思ったから見てみれば?と言ってみたんだけども。まあ万が一モルが見ても口に出すのは無理だと思うけど。


 .......正直に言うと、異性の人に見られるのが一番きついので、ぜひやめてくだせえ。


『やめろと言われたらやるかもしれんが、本当に嫌がってるのなら、やらんからの?』


 よし、言質は取った。万が一破るのなら、一方的に有罪判決を下してやるわ。


 あれ?なんか黙っちゃった。なんでだろうか。まあいいや。他に気になる種族を見てみよう。


 う~ん、次は『ドラゴン/龍』についてかな。なんでスラッシュが入ってるのかは分からないけど、読んでみればわかるか。


‟一種の伝説。観測史上最も長寿の生物とされている。その長寿故世界の秘密を握るとされている。また、地域によって呼ばれ方が異なり、『龍』と呼ぶ地域もあれば、『ドラゴン』と呼ぶ地域もある。その傾向を調べてみたところ、大陸からみて、比較的東側の地域が『龍』と呼んでいるようだ。口から炎を吐き、その温度はどこまででも高くなるのかもしれない。人の姿にも化けることができ、その場合でも口から炎を吐くことができる。”


 やっぱり、情報が足りないかもしれない。


『いや、妾の本より情報は多いぞ。基本的に種族についての本は、どこも隠蔽しようとするのでな、ここまで書かれている本はほとんどなかったのだぞ。古いのもあるのかもしれないが。』


 なるほどねぇ。じゃあ、逆に買おうと思っても売ってないわけか。


『まぁ、俺は空間魔法で取り寄せていたな。20年ぐらい前でもやっと見つけたほどだ。今もそこまで普及はしていないだろう。昔と比べれば、どこも種族の情報を隠している動きが見えるしな。差別意識が高まっている地域があるのもその一端を握っているのだろうが。』


 時代によって出版できるものが限られる......か。歴史の授業からの知識でしか言えないけど、かなり良くない状況だね。そういう時は争いとかが生まれてる気がする。勉強不足だから絶対にそう言えるかは知らんけど。


 少なくとも、そのせいで迷惑している人たちもいるんだ。その状況は何とかなってほしいな。


 そんな正義感なんてちっぽけなもので、ただ一人の考えで何か変わるものでもないんだけど。思うことは自由だからな......


 じゃあ、これらを持って帰って、家で読むか。いつでもアリサの熱とか体調の急変に対応できるようにね。


『まだもう少しなにか本を探してみたらどうだ?逸話とか書かれてる本もあるぞ。あまり覚えていないが、もしかすると、スキルに関することが書かれているかもしれない。』


 そうだね。まだほかにも色々さがしてみるか。


 俺はあえて絵本のようなものを手に取る。『創造神様のお話』という題名だった。


 中にはポップな可愛らしい絵柄で描かれ、短い文がたくさんある子供でも読めるような絵本だった。


 内容を要約するとこんな感じだ。




 創造神はこの世界を作った。すべての種族も同時に。創造神は喧嘩ばかりする種族に仲良くしてもらいたかった。しかし、どうしても人間だけが仲良くしようとしない。そこで、たまたま宇宙で青い星を見つけた。


 そこには人間しかおらず、相変わらず人間は同じ種族でも、争い続けていた。その原因を見つければ自分の世界の人間もどうにかできるかもしれないと思い、そこにしばらく住むことにした。


 そこで、創造神が創った世界に監視のための神を作り、地球の溜まっていた魂の消化をするために、管理のための神を置いた。


 それ以降の創造神は分からない。代わりに創造主が就任した。ということらしい。


 それで思い出したのだが、少し内容は違えど、ルルナさんに似たような話を聞いたな。


『なるほどのう......なぜこれを教えてくれなかったのじゃ?セク。』


『いや、教えるも何も訊かれてないし、そもそも俺も忘れてたぞ?』


『確かにな。妾のところの本ももう一度見直してみようかの。もしかすると、興味深い情報のものが多くあるやもしれぬ。』


 まあ、俺もあんまり知らないから、興味はあるかな。


 あ、モルの所の本って聞いて思い出したけど、セクも何か空間魔法の使い方みたいな本ないの?


『たしか......あった気がするが......どこにあるのかは分からない。』


『思い出せ。思い出すんじゃ!!』


 やべえ、モルがセクの肩を揺らしてるイメージが浮かぶ。


『そんなこと言われても......どれかの本棚の端にでもあるとしか......』


『セクがこの部屋の記憶から読み取ってみい。』


『あ、了解です。分かりました。』


 なんか、前に水魔法の使い方についての本を読んだら、モルに強制的に閉じさせられたな。たしか、通りすがりの人に水をかけるみたいなことが書かれてたんだよな。


『その本なんじゃが......問題のあるページだけ切り取っておいたから、好きなだけ読むとよいぞ。』


 じゃああとで読もうかな。


『よし、見つけたぞ。ソータ君から見て、右の棚の一番下の段の左端にある。』


 なんだその小学生の低学年の問題みたいな言い方は。


『そのままある場所を伝えたんだから、文句を言うな。それ以外の伝え方についても、わざわざ空間魔法を使いたくはないだろ?』


 文句に聞こえちゃったならごめん。だけど、場所は分かったからありがとう。


 俺は言われたとおりの場所を見てみる。すると、そこにはちゃんと『空間魔法の使い道』という題名が書かれていた。


‟男なら、空間魔法で女の子の服をはぎ取れ。もしくは透明にしてみろ。未だかつてない深淵を覗けるぞ”


『『よし、今すぐそれを閉じよ(ろ)』』


 うん、デジャヴだったな。


 本をパタンと閉じ、モルに任せることにする。


『全く、妾たちの先祖は頭がおかしかったのではないか?またしてもしょうもないことに使おうとしてからに。』


 まあ、こんな閉鎖空間にずっといたらやることがなさすぎて、変な妄想に走ることもあるんじゃないか?


『まあな。この暗い部屋に一人、あと100年もすれば退屈過ぎて気がどうにかなってしまっていたかもしれない。俺の場合は、読む本が大量にあったからな。』


『妾も同じくじゃな。退屈しのぎに色々と作ったりもしたが。』


 シンと静まり返る空間にただ一人、離す相手もいないのは確かにきつい。


 俺なら耐えられるかも......って思ったけど、今でさえ、あいつのことを思い出して少し懐かしく感じてんのに、普通に考えて無理じゃん。


 俺は持って帰る予定の本を持って、ゲートを作って家に戻る。


 自分の部屋まで戻ってきたので、机の上に本を置く。今度本棚作る材料とってきて、本棚を置いとくか。どうせ、これから増えていくだろうし。


 椅子に座り、本を読む......いや、やっぱり一旦アリサの様子を見に行くか。何だかんだで二時間ぐらい本を探してたしね。



 いかがでしたでしょうか?今回は、蒼汰が読む本を探していましたね。蒼汰の知らない、色んな情報が載っていたようです。これで、多少は他種族への知識は手に入りそうですね。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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