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作戦完了!おやすみ!疲れた!寝る!(27日目スタート)

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 どうするつってもなぁ……どうすればアリサを元に戻すことができるのだろうか。


 いや、目の前で考えていても万が一暴走アリサが動いた時が危ねえな。


 しかも、『フェーズ5』を唱えても、もう意味ないし。


 セク、一時的にアリサの動きを止めることはできるか?


『まあ、できると言えばできるが、数秒ぐらいだぞ?固有スキルを使ってるのもあってか、スキルへの抵抗力もなかなかに強いらしいしな。』


 よし、じゃあスタート!!


『よし、抑えたぞ。』


の合図で……待って、もう動き止めてんじゃん。


 一旦距離取らないと。


『無理だ。あと3秒しかもたない』


 流石にそれは短すぎないか!?


『いや、生物に直接使うのが初めてだからだ。』


 俺は全力ダッシュで暴走アリサから距離をとり、物陰に隠れる。


 アリサからは10メートルほどは距離をとれた。


 謎の力に抑え込まれたことで、暴走アリサは怒ったように咆哮をあげ、火球を俺の行った方向に放つ。


 そして、見事、俺が潜んでいた岩に直撃した。


 その破片と熱で何度目かわからない腕に怪我と火傷を負い、この痛みにも少し慣れてきた。


 とりあえず砂が舞い上がっているうちにもう少し離れて、もう少し先にある岩陰に潜む。


 俺は一応火傷した跡に『回復粉』をふりかけ、傷を治癒する。


 そこではたと気がついた。思ったんだけど、『回復粉』ってさ、スキルを打ち消す効果あったよね?


 でも、もう『回復粉』はほとんど残ってねえんだよな。


 あと一回分か……これでアリサを元に戻せるのかはわからないけど、やってみるしかないか。


 俺は急いで暴走アリサが気付く前に後ろに回り込む。


 すぐに暴走アリサに『回復粉』を投げつける。


 しかし、特に効果があった様子がなく、ついでに暴走アリサに気がつかれてしまった。


 だが、さっきよりも動きが多少鈍くなっており、効果があったことがわかった。


 でももう残ってねえんだよなぁ。はてさてどうしたものか……


 考えているうちにいつのまにか暴走アリサの拳が目の前まで迫ってきていた。


 咄嗟にナイフをかざすことはできたが、ホルダー付きで、なんなら柄の部分をかざしていた。


 ガギャッという硬化な音がなり、ナイフの柄に亀裂が入った。


 武器を奪おうという魂胆なのだろう。


 暴走アリサは亀裂の入ったナイフの柄に噛み付いた。


 ヒビが入って割れやすくなったナイフの柄がそれに耐えられるはずもなく、バリッという音を立てながら割れてしまった。


 柄の3分の2ぐらいを持っていかれ、ナイフはほとんど刃だけの状態になり、使えなくなる。


 しかし、暴走アリサの様子が変わる。


 噛み砕いたものを吐き出さず、そのまま飲み込んでいたのだ。腹が減っていたのだろうか?確かに、あまり夜飯は食べてなかったけど。少し緊張するとか言って。


 そして、再び俺に向けて拳を放とうと、腕を振りかぶり……


 俺の眼前でピタリと拳が止まる。


 そして、脱力したかのようにダラーンと腕を下げ、動きを完全に止めた。


 俺は、反動か何かで動けなくなったのかと焦ったが、そうではないようだ。


 暴走アリサからアリサの瞳のような紅い光が出始め、そのシルエットが縮み始める。


『何で急に固有スキルが解除されて……?』


 俺の脳内でセクも困惑する。


 もちろん、俺も困惑しており、時間制限か何かがあったのかと考えた。


 しかし、あまりにもタイミングが良すぎる。


 となると、ナイフが関係してるとしか……


 そういうことか!!


『俺には全くわからないんだが、何がわかったんだ?ソータ君は。』


 いや、元々ね、ナイフの柄って、木でできてたわけよ。だけど、モルのいたダンジョンの水で『回復粉』の原料になる鉱石になってたわけね。


『聞いたことがないぞ。そんな場所は。』


 まあ信じられないと思うけどね。


 それは別に食べても大丈夫なやつなんだけど、『回復粉』の原料になってるってことは、効果は同じなんだけどね。


 『回復粉』にはスキルを解除する効果もあるわけよ。


『なるほどな。それを食べたからあの暴走状態が解かれて、元に戻るために今ちょうど縮んでいってるわけか。』


 まあほぼ確でそうだと思うよ。ああなった経緯も本人に聞けばわかると思うし、今のところ、問題はないかな。


 いや、でも、まだ一つあったな。フィルのお母さんを見つける。


 多分、刑務所の方は後片付けで忙しいだろうし、隙を見て助け出すことはできるか。


 アリサから出ている光が弱まり始め、アリサのシルエットが見える。


 待って、ちょっと待って。服どこいった?


 あいや、燃えたのか。


 どうしようかワタワタしているうちに光が収まり、一糸纏わないアリサの姿が現れた。


 セクが無言になっているあたり、顔を背けているか凝視しているかのどちらかだが、後者の場合色々と問題なので、前者であることを願う。


 それと、仕方がないので、俺はシャツを脱ぎ、アリサに着せてあげる。なるべく体は見ないようにしながら。


 てか、グローブは残ってるんだな。ついでにアクセサリーと、なぜかグローブと手の隙間に冒険者証明書が挟まっていた。


 うーん、とりあえず、アリサを連れて宿まで戻るか。フィルのお母さんの件は、日をまたいでからにしよう。


 というか、そろそろ日付が変わりそうな感じだけど……


『日付が変わったら……というより、魔法の使用回数がリセットされたときに教えるから、それまでゆっくり休んどけ。』


 少ししか休めないと思うけどな。まだあと一回残ってるから、戻れそうではあるな。


『モルさんはいつ目が覚めるんだろうな。』


 さっき眠ったんじゃなかったっけ?そんなすぐ目が覚めるものじゃないでしょ。


『すまん、語弊があった。モルさんは回復するまでどれぐらいかかるのかってことだ。』


 そういうことね。前回、眠いって言って寝た時は、大体丸一日だったかな。


『じゃあ、別に問題ないな。まぁ、少しだけ寂しさというものがあるが……一日で賑やかなものに慣れてしまうものなんだな。』


 というより、思い出したとかじゃない?モル達と幼馴染なんでしょ?


『確かにな。だがまあわかってると思うが、モルさんやサラさんたちが俺の姉貴分で、俺とあと2人、それぞれ弟分、妹分って感じだ。』


 ってことは、他の均衡守護者(バランスガーディアン)とも幼馴染ってこと?


『この代のではな。どこに誰がいるのかは知らないけどな。』


 なんか、モルは知ってる感じだったけど。


『モルさんはスキルかなにかで知ったんだろう。他に知ってそうなのが、『知識』のやつだろうな。』


 まぁ、知識を司るとか言ってるし、知ってても不思議じゃないな。


 というか、それがあったら、簡単に過去を知ることできるじゃん。


『まぁ、現地にいるかいないかの違いで知れるとかだろうな。そう考えると、空間魔法と『知識』は似ているところがあるのかもな。』


 俺にはよくわかんね。実際にそのスキルを使ってみないとどうとも言えないけどな。


『そうだな。じゃあ、そろそろ宿に戻るか。』


 俺もそれに同意し、宿までつながるゲートを開く。


 一瞬目眩がしたが、軽い立ちくらみ程度の目眩であったため、特に倒れるとかはなかった。


 アリサをお姫様抱っこで抱える。


 相手が掴まってこないのに、おんぶとか抱っことか出来るわけない。よって、この抱え方になった。


 まあ、腕にも一切負担はないため、この抱え方が安定するんだけどな。


 俺はゲートを潜り、宿のベッドにアリサを寝かせる。隣ではとても幸せそうな顔でフィルが寝ていた。


 安定した呼吸が聞こえてきたところで、俺は自分の服を持ってきてたかを思い出す。しかし、特に持っていなかったため、スキルを使って、圧縮していた木の棒の繊維を引き伸ばし、服にする。


 それを着た俺は少しだけ安心した。想像通りではあったが、この手触りの服は今までチクチクするものばかりであったため、チクチクしないことに安心した。


 俺は少しだけ窓際の壁に寄りかかり、目を瞑る。



 体感でもしばらく経ったことが分かる。中々意識が沈まず、ずっと睡魔の海に浸かっては上がってを繰り返している。


 すると、頭の中に声が響いた。突然のことだったので、体が驚きで、跳ね上がってしまう。


『起こしたか?魔法の使用回数がリセットされたぞ。』


 ちょっと待って、起こすために話しかけてるのに起こしたか?は確信犯でしょ。せめて、驚かせてしまったか?って、聞くべきでしょ。


『よし、ちゃんと目覚めたみたいだな。俺が周囲の警戒をしとくから、ソータくんはその子と同じ角を持っている人を探してくれ。』


 もちろん。確実に警戒するだろうけど、フィルのことを話せばわかってくれるはずだ。


 俺は『フェーズ5』を……って、もう唱えてんだったわ。


 刑務所の入り口に向けてゲートを開き、それをくぐる。


 正面のドアを開けると、目立ってしまうため、ゲートを再び使い、その向こう側へ入る。


 通路の左右に鉄格子がたくさんあり、暗くてよく見えないが、様々な人物が眠っていた。


 シルエットを見るに、様々な種族の囚人がいた。しかし、大半は人間が占めているようで、犯罪を犯したものを投獄していることに間違いはないだろう。


 そのまま奥の方まで進むと、突然、右側からこんな声が聞こえた。


「うわ〜……ミント〜逃げないでくれよ〜」


 びっくりした。てっきりバレたのかとおもったが、ただの寝言だったようだ。


 なんか聞き覚えのある声と単語が聞こえたが、さすがにあり得ないことだ。俺はただの勘違いだと結論づけて、その声のことを頭から追い出す。


 その声があいつ(・・・)に似ていたが、ここにいることなどあり得ない。


 たとえこの世界にいるとしても、ここにいる理由がない。あいつはそんなことはしないやつだしな。


 ま、とりあえずフィルのお母さんを探すか。


 奥まで進んだところで、妙に光っているところがあった。


 そこが気になり、向かってみると、フィルの角と形状が非常に似た角を生やした女性がいた。


 しかも、その角が薄らと光っていた。


 足枷がつけられてるだけで、牢屋内では自由に動き回れることから、やはり悪い意味でルーナの扱いは特別だったのだろう。


 余計に帝国の奴らに腹が立ってくる。


 牢屋に入り、その女性を起こす。


 いくらかゆすっていると、その女性が起き上がった。


「どちら様……ですか……?」


 目が開いていない。夜中に起こしているため、やはりというか、眠気が全開のようだ。


 俺は小声で話しかける。


「あなたの娘さんのフィルに頼まれて、助けに来ました。」


 『フィル』の言葉に反応したのか、その女性は目をクワッと開き、目をパチクリさせていた?


「どこから声が……?」


 いや、ここから……って、見えないのか。


「ここからですよ。ここから。」


 俺は気づかせるように声をかける。


 すると、姿が見えてきたのか、驚いたような表情を見せる。


「一体どこから入って……というか、フィルって言いましたよね?あの子、無事ですか?」


 やはり心配なのだろう。俺がここにいることをこの際置いておいて、俺にフィルのことを尋ねてきた。


「もちろん、無事だ。フィルは俺のところで匿っている。証拠はないが、牢屋の鍵も開けずに話しかけてることから、少し信じてもらえるといいんだけど……」


 その女性は首を横に振り、俺を見る。


「いいえ、あの子とまた会えるのなら、信じます。おねがします。あの子ともう一度会わせてください。」


 うん。まあそうなるわな。俺は「少し失礼。」と断りを入れ、女性の足を持ち上げる。


 足枷が外れるまで少し時間がかかるため、話をすることにした。


 というか、この人と話してから違和感がものすごい。


「フィルと同じような話し方じゃないんですね。フィルは自分のお母さんからあの喋り方を教わったみたいなこと言ってましたけど……」


 最初はピンときていない様子だったが、「ああ」と、理解したようだった。


「そのことですか。実はですね、フィルの話し方は元々フィルの父親譲りなんですよ。ですが、夫が行方不明になり、寂しがっていたので、私が夫の喋り方を真似してみたんです。すると、あの子は大喜びで、真似するようになったんですよ。」


 なるほど。そこからきてるわけね。


「私も慌てて普通の言葉を教えようとしたのですが、教えたのが遅かったのでしょうね。夫の独特な喋り方と私が話すような言葉がごちゃ混ぜになって、あの子特有の喋り方になってしまったんですよね。」


 そういうことか。まあでも、逆にそのおかげで何が言いたいのかはわかるから助かるんだけど。


 というか、フィルのお父さんは魔王か何かなのか?中々素でその話し方をする人はいないと思うけど……まあいいか。別に。


 俺はフィルと出会った時のことを話した。すると、カランカランっと、音を立てて足枷が外れた。


 静かすぎる空間にこの音が響き渡ったため、看守かなにかが起きたのか、こちらは近づく足音が聞こえる。


 俺は慌てて宿までつながるゲートを開き、フィルのお母さんの手を引いてゲートを通る。そして、ゲートをすぐ閉じた。


 ゲートを閉じる間際、「逃げるなっ!!」叫び声が聞こえたが、もう関係ないので、スルーでいいだろう。


 突然の出来事に目を白黒させていた、フィルの母親だったが、フィルの姿を見つけると、すぐに駆け寄った。


 気配でわかったのか、眠っていながらも口元を嬉しそうに綻ばすフィルが見えた。


 フィルの母親は呼吸のたびに浮き上がる、顔にかかったフィルの髪の毛を耳にかけると、俺の方を向いて頭を下げた。


「本当にありがとうございます!!あの牢屋から出してもらった上に、娘ともう一度会わせてもらって。」


「いえ、俺自身もフィルにお母さんを助けるって言ったので。」


 フィルの母親はより一層頭を深く下げ、この恩は一生忘れません!!と、中々に重いことを言った。俺にはそう言われてしまうと、荷が重くなる気がしてしまう。


「とりあえず、今夜はここに泊まっていってください。俺は床で寝るので、フィルの隣で一緒に寝てやってください。」


 そう言って、俺は窓際の壁に背中を預け、床に座り込む。


「いやいや、さすがにそんなことできませんよ。むしろ、ベッドに寝てください!フィルは私が抱えて寝るので!」


 うーん、まあそうなるわな。しゃあない。


「俺は疲れすぎてると、床に座ってでしか眠れないんですよ。だから、ぜひベッドで寝てください。使わなかったら、ベッドにが空いてるだけですよ。」


 流石にこの嘘は下手すぎるな。そうじゃないってバレてる。


「本当にすみません。ありがとうございます。」


 俺の確固たる意思を感じたのか、結局、フィルの母親の方が折れて、お礼を言いながらフィルの隣に寝転ぶ。


 そこまでを見届けて、俺は目を閉じる。


 流石に疲れた。肉体的にも精神的にも。


 明日、家に帰って、それから……


『ゆっくり休んでな。ソータくん。一応他に何か来ないか俺が見張っておくから。って、もう寝ちゃってるか。』


 実に心地いい声だった。


『おやすみ。』



 いかがでしたでしょうか?今回は、アリサを元に戻して、フィルのお母さんも助け出しましたね。


 今回はいつもより、少し長めになってしまいましたが、大目に見て、楽しく読んでいただけたらなと思いました。


 さて、第四章もエピローグに近づいてきたので、次回のその次は番外編を書こうかなと思っております。気が変われば本編になるかもしれませんが。自分自身しか知らないことですね。はい。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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