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さて、知恵を出し合おう

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 ......どうにかしてアリサをあの状態から元に戻す方法を考えないとな。


 とは言ってもなあ、原因があるなら、それを取り除けばいいんだけど、今さっき気づいたし、動いてるから、余計に原因をアリサから探りにくい。


 なんか、都合よく動きを止めてくれるとかねえかな?


 少しだけ期待して、炎の鬼及びアリサを見る。しかし、当然止まってくれるはずがなかった。


 いや、むしろ俺の方に向かってきてて......!?


 っぶな!!いったん身を隠さないと!!


 俺はグローブを使い、ゲートを即席で作り、さっき様子をうかがった外壁につなげる。すぐ閉じたから相手は俺を見逃してしまったようだ。


 何が危なかったかって?


 俺に向かって、囚人と同様、吹っ飛ばそうとしてきたのだ。やっぱり敵味方の判別ができてないのか?暴走状態ってことだもんな。


 あの炎を何とかすれば何か原因が分かるかもしれないけど......典型的に考えてみれば、あの炎を鎮めるためには、水でもかければいいんだろうけど、水蒸気爆発とかが怖いからな。


 アリサの様子を見てみる。さっきと同様、アリサを倒そうとする囚人たちを次々と吹っ飛ばしている。


 ただ、一つ変わったこととして、アリサの炎に蒼が混じってきているところだ。しかも、その割合がだんだん増えてきていて、炎の色が表面で交互に点滅してるようにも見える。


 その温度が高まってきたのか、数秒しかその場にいなかったはずなのに、地面が溶融し始めている。それに、アリサが一秒ほど立っていただけなはずなのに、地面が赤熱している。石畳であるにもかかわらず、だ。


 まずいな。高熱になればなるほど水をかけるのが危険になる。水をかける以外に炎を消す方法は......酸素をなくすこと。


 これも空間魔法を使えばどうにかすることはできるけど、アリサが窒息する可能性がある。


 つまるところ、今のところどうすることもできないということになる。


 ......いや、水をかけて発生した水蒸気を操作すれば行けるかもしれんが......いや、そうすれば発生した熱の行き場がなくなって、余計にやばいことになるかもしれない。


 いつもなら考えても仕方がないと、言うところだが、今回の場合は真面目に考えねばならない。仮に無責任な行動をした場合、死者が出る可能性がある。


『ソータ、やけに考えておるな。いつもとは違って。』


 やかましい。一言多い。ついでに、あんまやかましいとか使わんわ。


『お主が勝手に使ったんじゃろ。』


 うん。知ってる。にしてもなあ、いい感じの案なんて思い浮かばないし......


『こういう時こそ妾たちを頼るべきでないか?お主の世界の言葉で、「三人寄れば文殊の知恵」とか言うらしいしの。意味はいまいちわからんかったが。』


 なんで意味が分からなくて、使い方は合ってるんだよ。


『いや、分からないというよりは、理解できなかったという方が正しいか。三人集まったところで、まともな思考の奴がいなければ、いい案は出てこぬじゃろ?じゃから、必ずということではない。ならば、この言葉はもう少し時々などつけて、その限りでないということをつけるべきじゃぞ。』


 いや、あくまでことわざは昔の人が教訓として作った言葉だから。それが絶対正しいとか言うことはないよ。それに、色々と意味が込められてるけど、日常生活じゃ使うことはほとんどないから、そこまで気にしなくてもいいし。


『あまり気にするなということでよいか?』


 ま、そういうことだね。それで......アリサを戻すためのいい案とかはあるか?モルが自分たちを頼れって言ったんだし。


『そんなものあるわけなかろう。』


「『ないのかよ!!』」


 おっと、偶然俺とセクの突っ込みが重なった。そして俺は思わず声を出してしまったため、暴走アリサの視線が俺の方に向いた。炎の色がほぼ完全に青くなっていた。


 危ない危ない。またしても俺の方に突っ込んでくるところだった。そうなれば、ここの壁が溶解しかねない。


 さて、見つからなかったうちに、作戦を考えよう。


『水をかけるのは危険であったな?』


 ああ、多分、かなりの温度になっている場合は、水をかけると逆に危ない。具体的にどれぐらい危険なのかはわからないけど、炎が青くなってるから、水をかけるのは大分リスキーだね。


『じゃあ、空間魔法で動きを止めてみるのはどうだ?』


 それはありだけど......止めたところで、どうするかなんだよな。


『動きを止めて、原因を探ってみるのはどうじゃ?少なくともあの小娘がわざわざ暴走させるとは思えん。アリサならありうるかもしれぬが、よっぽどのことがないとかでなければ、その可能性は薄いだろうな。よっぽどのことと言っても、命にかかわった場合だけだと思うが。』


 う~ん、それも俺の考えとつながるんだけど......やっぱ、思い当たる節が、一つあるんだよな......


『あの胡散臭さをわざわざ演じていた商人じゃろ?』


 あれってやっぱりわざとだったん?


『今思うと、わざとらしい動きしかしていなかった。お主に商品を紹介したときもそうであったし、たった1万で匿うなどするはずがない。何より、匿う時間が極端に少なかった。衛兵の調査ともなれば、本来であれば中まで入ってきていてもおかしくなかったしの。』


 じゃああの宝石が原因な可能性があるってことか。


『ああ、あの石には何かの力も感じたからな。所持者の正気を失わせるものか、はたまた、スキルを暴走させるものだったか。お主が持っていたなら、誰も止められなかったの。』


 あの石を破壊してみる?あの石のせいで暴走してるなら、それを破壊すれば止めれるかもしれない。


『いや、そうはいかない。もし破壊してしまえば、中にある閉じ込められていた力が解放され、一時的に周囲の囚人たちも暴走してしまうだろう。』


 ってことは、大方モルの予想は合ってるって感じか。そして、暴走するなら結構あの石の扱いにも気を付けないといけないだろうし。


 そして、一歩戻ると。


 どうすればいいと思う?


『実質すべて却下されてるようなもんだしなぁ......』


『そうじゃな。実際、効果的な方法は思い浮かばなんだったしの。』


 周囲に誰もいないところか......セクのいた辺りはどうだ?誰もいなかった気がするんだが......


『確かに誰もいないが、俺が逆に困る。あそこには貴重な資料ばかりだからな。』


 完全に空間を隔離できれば破壊しても大丈夫なんだろうけど......


『そうじゃの。それこそセクの作っていた空間のような......』


 モルも自分で言っていて気が付いたのだろう。それだとばかりに、少し息を吸う。


『それじゃ!』


『ああ、それだな。』


 あの空間の作り方ってどんな感じなんだ?


『あの空間は少々厄介だが、記憶を読み取れたお前ならうまくいくだろう。心配なのは強度だが......まあそこは俺が補強しておこう。』


 うまく使えれば絶対に壊されることはないよな?


『ああ、動きを封じることも同時にできる。空間の隔離もできているから、あの石を破壊してもそこまで影響がないだろう。むしろ、あの石の周りに空間魔法を使って、圧縮してしまうのはどうだ?そうすればソータも影響を受けることがない。』


 確かに。俺も受けてしまえば収拾がつかなくなるし、それに賛成だな。


『まさかのことわざ?通りのことになったな。』


 ここまで綺麗にいったのは初めてだけどな。


 さあ、まずはセク、教えてくれ。隔離空間の使い方を。


『ああ。それじゃ教えてやろう。よく聞いておけよ?』


 セクに教えてもらい、作り方を覚える。作り方は......長かったので省略しておこう。


 内部構造をどんな感じにするかだよな〜。水で埋め尽くした場合、下手したら水の中で燃え続ける可能性がある。水との温度差があればあるほど空気の膜ができて、水がアリサ自身に届かない。


 そう考えると......砂かなんかで埋め尽くしたほうがいいのか?いや、むしろ、顔以外を空気が通らないように空間魔法でやればいいか。空気がなくても消えない可能性があるけど、まあ大丈夫か。


 あとは......半径一メートル以内に近づく必要があるんだけど......え、無理くね?


 だってさ、確実に熱いとかいうレベルじゃないし、何より、そんな近くまで近づいたら引火しちゃうよ?


『水魔法を体にまとわせてその上から空間魔法で遮ればよかろう?』


 おお、それだ。普通に採用。ナイス、モル。ついでに『隠蔽』と『気配消滅』を使って一切姿が見えないようにする。


 さて、これで近づければの話だが。地面に所々穴が空いてて歩きにくそうなんだよな。しかも、俺の靴のサイズぐらいの。絶妙な大きさなんだが。


『いちいち埋めておったらキリがないぞ。ここは足が引っかからないように気をつけて進むしかないだろう。』


 たしかにそうなんだけどねえ。そうだ。セクがなんかアリサのところまで足を取られる可能性が一切ない、ルートをたてて。


『いいだろう。これだ。見てみると良い。』


 早いな。あっという間に出来てるじゃん。


 しかも、穴の位置と矢印、アリサが動くであろう位置までしっかり描かれている。


 さてさて、これでアリサに近づけるぞ。......一応もう一回訊いておくけど、半径一メートル以内に近づけられてば大丈夫なんだよね?


『ああ、正確には半径一メートル以内に3秒間だがな。』


 3秒か......短いようで長いな。それまでの間気づかれなければいいんだが。


『5,4,3......』


 ちょっ、モル、勝手にカウントダウン始めんなって。


『2,1,行って来い。』


 まあいいか。


 俺は少しだけモルの行動に苦笑し、アリサへと視点を定めた。


 セクのルート通りなら、一直線に突っ切らなきゃいけないのか。ふぅ。緊張するけど、行くしかないか。


 俺はなるべく音を立てないように、アリサのもとへ忍び寄る。


 アリサまであと4メートルほどというところで、暴走アリサが突然振り向き、俺の方にタックルをかましてきた。


 とっさによけようとしたのだが、避けきれず、少しだけ腕をかすめてしまった。


 その結果、俺を覆っていた空間魔法と水魔法が消え、少しだけ腕にやけどを負ってしまった。


 氷を患部に当てるイメージをしながら、体を削れた分の魔法を修復する。


 何故気づかれた!?そう考える暇もないまま、アリサがそのまま振り返って、また俺の方へとタックルをしてきた。


 勢いのまま俺のそばを駆け抜けていった暴走アリサになるべくついていく。


『3......』


 脳内で、セクのカウントダウンが始まった。


『2......』


 俺に気がついた暴走アリサは腕を振り回して、俺を掴もうとしてくる。


『1......』


 なんとか避ける俺だったが、地面に空いていた穴に足を引っ掛け、転んでしまう。


『0......』


 俺は即座に空間魔法を発動させた。


 成功したかのように思われたが、アリサには当たっていなかった。なにかに引っ張られたように後ろによろけたからだ。


「冒険者の方ですか?ご協力ありがとうございます!!」


 そう言って、耐燃性があるのだろうか、ロープを暴走アリサに巻き付けて引っ張る数人の衛兵がいた。


 マズい。2つの意味でマズい。まず、空間魔法が当たらなかった。なにより、この国の人間に感知された。下手すると、俺が不法入国だとバレかねない。


 あいつら、何してくれてんだと思いつつ、もう一度アリサに近づこうと立ち上がる。


 しゃあない。アリサの動きを止めてくれてるし、作戦再開だ。


 再びアリサに近づき、セクのカウントダウンが聞こえる。


「危ないよ!!君!!早く離れて!!」


 衛兵の人が叫ぶが、俺は無視して、アリサの攻撃が当たらないように動く。半径一メートルの中で。


 いよいよ発動できる!と思い、発動した......はずだった。


 一気に体から力が抜け、目の前が一瞬なにも見えなくなり、頭痛、耳鳴り、吐き気、肺の圧迫感など、様々な体の不調に見舞われ、思わずふらついてしまう。


 しかも、無慈悲なことに衛兵のロープが乱暴に暴れていた暴走アリサに耐えきれなかったのか、ブチッという音を立て千切れてしまった。


 拘束が外れたアリサは目の前にいる俺に向かって、再びタックルをかましてきた。


 俺は体へ影響を与えている不調に意識を集中していたため、気がつけば暴走状態のアリサが目の前にいた。


 体全体に強くぶつかった感覚があり、暴走アリサがどんどん離れていく。


 なんで動いていないのにアリサが遠ざかっているのだろう。


 不調ながらまともな思考もできず、受け身を取ることさえできなかった。


 結果、背中に強い衝撃を感じ、肺の中の空気が強制的に排出させられ、腹の底から何かがせり上がってくる感覚を感じる。


 パラパラと小石が降ってくる中、俺はもはや痛みかすらわからないこの感覚に身を任せたまま意識を手放した。



 いかがでしたでしょうか?今回は、アリサを元に戻すための方法を三人で考えていましたね。果たして、蒼汰はアリサをもとに戻すことができるのでしょうか?


 そして、アリサをああいう風にしてしまった原因とは......?お楽しみに!


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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