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うんまあ、ここでいいか。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 店を出た俺たちは、近くに宿を見つけた。とりあえず、その宿に今夜は泊まろうとして(フリ)、中へと入った。


「いらっしゃ~い♪お泊まりする?ご飯にする?それとも有り金全て置いていく?」


 俺はバタンとドアを閉じた。どうやら入る店を間違えたようだ。


 おかしいな。看板には『いつものみんなの宿☆』って書いてあったんだけどな......看板詐欺したようだ。というか、あそこでは本来出迎えたら、あの決まり文句は、最後は『わ・た・し』だと思うが......テンプレはなかったってことか。


 いやむしろ、身内ですらないから、テンプレは適用せんけどな。


「待ってくださいお客様~!!」


 ドアが開き、慌てた様子でさっきの看板嬢らしき人物が外に出てきた。


「すみません!!毎回勘違いされるんですけど、お父さんから新規のお客様が来た時だけ言うように言われてたんですよ~。」


 そのお父さんアタオ......おっと危ない。思わず本音が漏れるところだった。


「一応聞くけど......この宿はそういうコンセプトの宿ではないんだよな?」


 もしも、そっち系だったら、俺には合わないし、アリサにも悪影響になりうるしな。


「そっち系......?というのは分かりませんが、ここはいたって普通の宿ですよ。『印象深い』を大事にしているだけですから!」


 なるほど......?またしても個性的なところを引いてしまったようだ。いやむしろ平凡とか言うものの方がないのか。じゃあ、仕方ないか。


 そして気が付いたが、アリサがジッとその看板嬢(仮)を見ていた。


 ジッと見やるアリサが気になって、少しの間見ているとようやくアリサが口を開いた。


「あなた、もしかして......」


 なにか重要そうなことを言い出しそうな雰囲気に俺と看板嬢(仮)はゴクリと息を呑む。


「目玉焼きにソースをかける派でしょ?ほっぺたに黄身とソースがちょっと付いてるわよ。」


 よかった〜。また厄介事が始まるのかと思ったよ。大体すぐ解決してるけども。俺は塩コショウ派だから、重要なことではあったかな。


 その言葉を聞いて、看板嬢(仮)は顔を真っ赤にした。


「...朝ごはん、急いでご飯を食べてきちゃったのが悪かったのかな......」


 なんて、小さくつぶやいたりもしている。なんというか、うん。微笑ましいな。今は恥ずかしさ故か顔を手で覆って隠しているが、ほっぺたの小さいソースのあとは隠れてはいなかった。


「それではお客様、この宿のルールについて教えますね。」


 ほっぺたのソースを落としてきた看板嬢(仮)(名前はクラムと教えてもらった。)はなにやらこのっ宿にあるルールについて教えてくれるらしい。


「この宿では、お客様に守ってもらいたい5つのルールがあります。」


 まあ、利用するうえでそういうのは大事だしな。


「一つ、これは、受付でわかるので問題ありませんが、身分を証明するものを持っていること。」


 これ大事。事件が起きたときとかは役に立つし。偽名を使われる心配もない。事件起きる前提なのやばいな。週末の探偵アニメの見過ぎだった?


「二つ、夜は酒場以外で騒がしくしない。」


 これはルールと言うよりマナーの問題だな。酒場は一階で、部屋は二階にあるから、部屋で騒がれる方が寝る側としては迷惑だしな。


「三つ、出された料理はちゃんと全部食べること。食べきれないときは、捨てずに保存して、次の日までには食べきること。」


 注文したら食べきらないとね、作った側は口に合わなかったのか心配になるから、これはちゃんと守らないと。作った人の真心もこもってるしな。


「四つ、お風呂に入るときは、わたしかここの宿主......わたしのお父さんに声をかけること。」


 まあ、宿とはいえ、個人経営であるなら、誰がどのタイミングで使ったかは判断できるようにしないとね。もしもお風呂を使ってるときに、誰かが物を壊したとかで、誰か分からなかったら困るしな。


「最後、五つ目。夜に外出するときは宿主の許可を得ること。鍵が開きっぱなしになって、泥棒に侵入されるのを防ぐためです。」


 うん?あれええと......やばくね?


「それって、もしかして観光とか夜しかできない依頼をするときも許可がいるってこと?」


 一応聞いておくことにする。ここで明確な理由を聞かれるとかだったら、あらかじめアリバイをつくっておきゃなかいかん。


「はい、許可は要りますけど、そこまで理由は聞いたりしませんよ。お客様の中には人にあまり言いたくない職業の方もいらっしゃいますから。


 ......でもそこはまあお客様であることには変わりがないので。」


 最後、伏せ目がちに言ったクラムの表情からは仄暗い雰囲気があった。


 だが、すぐに明るい表情になり、俺達の泊まる部屋を案内した。



「それにしても、今日はすみません。少し混み合っていて、一部屋しか空いてなくて......」


 案内され、アリサがベッドにダイブしたあたりで、クラムに謝られた。


 俺は全然大丈夫と伝えた。実際、同じ部屋に泊まるってなると、ハードル高いけど、あくまでも泊まるフリだから問題ない。むしろ、こっちの方が出費が安く済んでラッキーと言うまである。まあ数百円.....じゃない、数百サルサしか変わらないけども。


「それでは、夕飯の時間になったらお呼びしますね〜。」


 一礼し、そう言い残して、クラムは去っていった。


 俺は部屋にあった椅子に座り、机に肘をついた。


「守ってほしい5つのルールねぇ......」


 椅子に座って安心したのか、思わずつぶやいてしまった。


 アリサがその発言が気になったのか、俺の方を向いた。


「さっきクラムちゃんが言ってたことよね?それがどうかしたの?気になることでもあった?」


 そこまで気にしていないというか、気にする必要もないものだったけど......


「少しルールとするなら、少なすぎるんじゃないかなって。ルールとして酒場以外に騒がないっていうマナーも含まれてるんだったら、それ以外はどうなるのかっていう、しょうもない揚げ足取りだから気にしないでいいよ。」


 だけど、揚げ足を取ろうがなんだろうが、守るべきものは守らねばいかんし。極端に言うと、トイレ以外でトイレしてはいけないみたいな。そういうマナーはルールとしてなくても守るべき。


 守れない人がいるから、どんどんルールが増えて窮屈になっていくんだよ。まあ、守れないとかいう観点がある時点で、十分窮屈なんだが。



 そして、俺達はしばらくその部屋で各々過ごしていた。


 俺は俺で持ち物の確認を。アリサはアリサで、サラとなにか話しているようだ。天井を見上げてさっきの店で買った石を掲げてボーっとしている。


 部屋にいるときは、アリサとサラが出てくる割合は6:4ぐらいで、少しアリサの方が多いらしい。外に出たときは2:8と極端に少なくなるらしいが。


『ソータ、お主いつものことながら、ほんとにしょうもないところにしか気が付かないの。』


 そういうモルさんも毎回マウントを取るような口調なのはなんででしょうか。


『いいから話を聞け。どうやらお主等、目をつけられているようだぞ。衛兵ではないが、ドアの向こうに誰かおる。』


 またかよ。なんで毎回そんな事が起こるんだよ。というか、なんでモルは気配を察知とかできるの?


『眠りを邪魔されぬように、そういったところが敏感になってしもうてな、何者かの気配はある程度察知できるようになったのじゃ。』


 それは逆効果なのでは......


『とにかく、そのドアを開けてみい。今のうちでなら、捕まえることができるぞ。』


 いやこのドア外開き......


『はよ開けい。』


 モルの声からして、危機が迫っているという感じではなかったが、モルのこの、必死な感じは何なのだろうか。眠くてイライラしているだけか?


 とりあえず言われたまま、ドアを開けてみる。すると、スッとドアは開き、誰かがいた様子もない。


 ......ドアを開けきったときの、ドアと壁の間のやわらかい感触がなければ。


 一度部屋から出て、ドアの裏を見てみると、クラムがいた。


「なんで、ここにいるんだ?もう夜飯の時間だった?」


 気になった俺はつい聞いてしまう。すると、クラムは答えた。


「まだ夕飯の時間ではない......です。廊下の掃除をしようとしたところで......」


 なにか隠してるな。ものすごい目が泳いでいる。しかも、掃除道具なんてないし。


 俺がクラムの発言を信じていないとわかったのか、クラムはそこにいた本当の理由を話し始めた。


「えっと、その......お客様が私のタイプだったので......」


 悲しいことながら嘘ですね〜。クラムの目は逸らされてるし、ついでに泳いでいる。しかも、口が若干引きつっている。頬が少し赤いのは、嘘を付く後ろめたさゆえのものだろう。嘘をついているときの無意識の仕草のようなものだろう。


 まあ万が一本当だとしても、覗こうとするのは良くないため、注意することにする。


「そういう理由があってもあまり覗こうとするのは良くないからね?それに、俺には嘘かどうかがわかるから嘘はついちゃダメだよ?」


 注意されたクラムはバツの悪そうな表情を浮かべ、申し訳無さそうな表情をした。そして、俺に謝ってきた。


「ごめんなさい。でも、ここらへんで不法入国者がいたって聞いて、新規のお客様だから少し疑ってしまいました。そんなわけないですよね。......って、ああ!早くお母さんの手伝いに行かないと!それではお客様、また後で〜!」


 俺がクラムの発言について、口を開く前にクラムは行ってしまった。


 マズいな。いや、バレてはないからマズくはないんだけども。あの男たちが話をばらまいたりでもしたのだろうか。いやでも脅したから、多分衛兵が情報提供を求めて情報開示をしているのか。


 どのみち時間がないな。早くルーナを助けに行かないと。


 俺はとりあえず部屋へと戻り、いまだ石を眺めているアリサを横目に、夜飯の時間まで待つことにした。


 頭の中でモルが笑っている気がするが、結局モルがあそこまで急かしていた理由はわからなかった。



 しばらくして、クラムが部屋へと夕食の時間だと呼びに来てくれた。俺達が部屋から出て、鍵をしたのを見届けてから、クラムは他の宿泊客の部屋へと向かっていった。


 俺はアリサとともに階段を降りるのだが、途中で、お金を部屋においてきたことを思い出す。


 アリサに一言言い、部屋に戻ってお金を取ってくることにした。


 階段を上りきったぐらいで、少し奥から「きゃあっ!」と甲高い悲鳴が聞こえた。


 その声の主に心当たりしかなく、声が聞こえたところへと向かうと、クラムが男に腕を掴まれて部屋に引っ張り込まれそうになっていた。


「ほらぁ、クラムちゃん大事なお客様な、なんだぞ?ちゃんとお世話をし、してくれないとぉ。」


 ねっとりとした声音というのだろうか、ともかく気味が悪くなるぐらいの声で、ニタニタしながらクラムにそう言っていた。


 クラムの方も引っ張り込まれまいと、


「お客様!この宿ではそういったサービスはやっておりません!他の店に行ってください!!」


と、従業員の鏡ながら注意をしつつ、壁を掴んで必死に抵抗している。が、少しずつ手から力が抜けていってるのか、手が壁から離れそうになっている。


 俺はその男の近くへと行って、男の腕を掴んだ。


「やめろ。嫌がってるだろうが。年端もいかない女の子にそんな乱暴を振るうな。」


 ......ベタなセリフすぎたかな。まあ今はいいや。


 男は俺が乱入してきたことに腹が立ったのか、俺をジロリと睨んできた。


 クラムは俺が来たことに共犯の可能性があると考えたのか、より一層表情に警戒する色を強めさせた。


「ちっ、お、お前には関係ね、だろ!これはオデとク、クラムちゃんのも、問題だ!これからオデたちはクラムちゃんとのあ、あい、愛を紡ぐんでふ。」


 どうやら、聞く耳を持たないタイプっぽいな。喋り方もなんか変な感じだし。


「ですから、当宿ではそういったことは行っておりません!!これ以上するなら、衛兵を呼びますよ!?」


 クラムのその強気な態度に一瞬怖気付いた男は一瞬手の力が緩まったように見えた。


 その隙を見てか、クラムは掴まれていた腕を引き抜いた。


 そして、俺の後ろにまわり、俺をその男の盾にしているようだった。


 男がものすごい形相で睨んできている。


「おいお前、クラムちゃんを...オデにわ、渡せ。」


 男は俺に向かって手を伸ばしてきていて、俺をどかして、俺の後ろのクラムを狙っているのは言うまでもない。


 俺はクラムをかばうようにして、男と正対し、その男の目を見た。というより、その男をにらんだ。


「お、お前、オデをにらんだな!?オデのことをば、馬鹿にするな!もう、許さ、許ない!覚悟しろぉお!!」


 男は俺につかみかかろうとしてきた。



 いかがでしたでしょうか?今回は、帝国で蒼汰たちが泊まる(フリ)ための宿を見つけましたね。この宿はある意味蒼汰たちにとって印象深くはなっていきそうですね。そして、最後に出てきた男も蒼汰に対して、どういう行動を取るのでしょうかね?また、男はクラムちゃんに何をしようとしていたのか......


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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