いきなり何!?めんどいって。
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
モル、結局あの人は何だったんだ?俺も感じたけど、いちはやく気が付いたのがモルだっただろ?
『あの目にはどこかで見覚えがあっての。本か何かで読んだのかもしれないが、覚えておらん。』
つまりは直感的にってことね。
『まあそうでもあるの。それに、お主が自然とそやつの目に注目したじゃろ?お主が初対面の人と目を見て話すのはほとんどないしの。』
うっ、ばれてる。相手の目を見て喧嘩を売ってることになったらイヤじゃん?
『どこの動物の生態じゃ。目が合っただけで喧嘩になるとか......』
猫か、とあるモンスターを育てる人の生態ですね。アニメやゲームで有名なんだよな。
『その設定を現実に考えてる時点で、お主はかなりこじれてるんじゃろうな。』
......いいや、絶対にそれはない。俺の心は常に自由を求めてる。だから、自由奔放な猫の生き方をリスペクトするのもいいってことじゃん?理由はそういうこと。
『言い訳にしか聞こえないんじゃが......』
『まあまあモルさん、ソータ君にもそういう時期があったんですから。今もかもしれないですけど。俺も気持ちはよくわかるので、あまり追求しないでやってください。』
『......ふむ。つまり、代わりにセクの「そういう時期」の話を聞かせてくれるということじゃな?』
『えっと、ちょっと無理っすね。』
よかった。セクがなんか犠牲になってくれたおかげで、俺のことからフェードアウトしてくれた。まあどの道、記憶を見られてるから、隠しようもないんだけどな。
そういえば、俺はスキルを使おうとして、さっきの女性にあったんだったな。話がいつの間にか変わってたけど。
そろそろアリサはあの異常な体の硬直からは解けてるかな?と思い、アリサの方を見てみた。すると、そこには忍者が身代わりを使ったときによく見る、木の人形があり、そこには「後ろ」とだけ書かれていた。
振り向いてみるが、特に誰かいる様子はなく、他にも何かあるという様子もなかった。すると、空間が揺らぎ、そこからアリサが出てきた。
「こうすれば、誰にも気づかれないかな?一応、セクのクイズを参考にして、風景に姿を偽装したんだけど......」
と言われた。思わず頷いたんだが......一体いつから忍者になったんだ。というか、セクが出したクイズって.....
『ああ、少しアリサちゃんの持ってるスキルについて、どれぐらいの理解があるかの問題を出したんだよ。そこから学んで、すぐに実現できるなんて、そうとうな熟練度だぞ。主に使ってるのはサラさんってことだが、お嬢ちゃんも問題なく使えるようだったぞ。』
そこもクイズやら言って、使わせてたんだろうな。
『確かに使わせたな。だが、それは実力を見るものであって、別に悪いことではないだろ?』
悪いことではないんだろうけど......というか、俺は別に悪いとか言ってないからな?
『じゃあ大丈夫だな。』
自分で悪いことじゃないかを聞いてくるってことは、何か後ろめたいことでもあるってことなのかな?
『いや?別にそんなことはないが。』
......そこまで堂々と断れるのなら、嘘ではないな。
まぁ別にいいや。どの道、帝国に向かってからの話だしな。
「それなら、隠密行動とかもできるかもな。」
しかし、アリサは首を横に振る。
「これを使いながら移動すると、かなり集中力を使っちゃうから、もしもの時に、身を潜めるために使おうかなって思ってるの。」
確かにな。もし作戦がうまくいっても、離脱できなければ正体がバレる可能性があるし、なにより、アリサが危険にさらされるからな。そういう手段は持っておくに越したことはない。
「精神的疲労と肉体的疲労に気をつけてくれればいいと思うぞ。捕まると、意味ないしな。」
サラは頷いたが、すぐに顎に手を当てて考える様子を見せた。
「どうやって中に入る?あたしたち、さっきの人に目を付けられちゃったっぽいし。」
確かにな。このまま侵入するなんて無理だろうしな。
『じゃあ、空間魔法を使って、帝国の中に直接乗り込めばいいじゃんか。さっき中が見えたんだしな。』
なるほど?確かに空間魔法での転移はあるあるだけど......どうやってそうするんだ?
『少し難しいが、その場所の風景を思い浮かべ、一枚のドアでつなぐイメージだな。ドアの向こうに行きたい場所があるみたいな。』
なるほど?青い猫型ロボットが使いそうな道具の使い方が難しいバージョンか。
俺は見えた帝国の町を思い出そうとしたが、よく見ることができてなかった。しかも、逃げてきた方向的に、どうやっても中が見えない角度であるため、どうにかして中を見ないといけないのだが......
『それなら、ソータ君がさっきアイデアとして出した、服だけを透けさせる眼鏡のようなものを作ればいいじゃんか。』
『んっ?それはどういうことじゃ?』
『いててて、モルさん首を掴むのはやめてくれ。俺が言いたいのは城壁だけを透けさせる眼鏡というより、空間魔法を作ればいいって話だ。』
『そういうことか。それならそうと早う言っとくれ。ついはやとちりしてしまったではないか。』
『「つい」するんだったら、少しは改善してくれ。』
『考えておこうかのう......改善する気は...今のところないが。』
いや、ないんかい!
って、突っ込んでる場合じゃない。どうにかして壁の向こうを透視する方法を......
待てよ?別にわざわざ正面から見る必要もないじゃん。例えばそう、鏡の反射でとか。
水で屈折させて、空間魔法で目の前に解像度を上げて写しだせば、向こうが見えるじゃん。さっきみたいに宙に映像を映し出せるだろうしな。
宙に水を出してと。跳ね返ってきた光を虚像として目の前に浮かべる。すると、映像が荒かったが、どこかの路地が映し出された。
その水があるところに、セクに言われたとおり、自分のいる場所をつなげた。
すると、目の前にうっすらと映像通りの場所が現れた。一応、失敗してないか、確認するために、腰に挿してた木の棒をドアの向こうへと投げてみた。
しかし特に変化はなく、だが、そのドアの向こうに木の棒は確かにあった。
俺もおそるおそる入ってみると、そのまま帝国の中へと入れた。後ろ振り返っても、さっきまで外から見ていた城壁があった。
ドアの向こうでは、驚いた様子のアリサがおり、ドアの後ろなどを回り込んで後ろに俺がいないかを確認していた。
「お~い、アリサも入ってこ~い......」
一応小声でアリサに言うと、アリサは恐る恐るといった様子でこちら側へときた。
俺と同じでこっち側へと来れた。アリサはまだ帝国の中へと入れたことに実感がわかないのか、あたりを見渡したり、壁に手を触れたりしていた。
無論、俺も実感はない。
『まさか、一発で成功するとはな。』
まあ言われても、考えやすいイメージの素があったからできたわけなんだけどね。
『それでもだろ。普通に考えて、同時に魔法を使うなんて発想が出ねえだろ。』
え、いやでも同時に使う方法は他にも今思いついたよ?
『例えば?』
決められた空間内に雲を発生させて、雷が起こる原理を使うことで、新たに雷を操れるようにするみたいな。あくまでも仮定だけど、できるようになれば、かなり作れるものの幅も広がりそうだなって。
具体的な原理は分からないけど、発電機とかな。電化製品とかも作れるようにはなれそう。仕組みさえわかればの話だが。分かるものは分かるんだけどな。
『なるほどのう......そういう発想もできるわけか。じゃが、同時に「~魔法の使用」のスキルを使うなんて異例の事態じゃ。体調が悪うなったりでもしおったら言うんじゃぞ?』
たしかに、その副作用的なのがあるみたいなのもテンプレだしな。気をつけるようにはするわ。
『何が起こるかもわからんしの。』
そうだな。って、それはそうと、早いところこの路地から抜け出して、この街を見て回らないと。キョロキョロしすぎて怪しまれないようにもしないと。
「アリサ、そろそろ行かないと、夜までに把握できないぞ?」
「そうね。それじゃ、行きましょ。」
そう言って、俺たちは路地から出た。
街の景色が中から見える......と思ったが、身長が2メートルぐらいはあるんじゃないかという大男に目の前を塞がれた。その周辺にはその男の子分なのか、俺とアリサに向けて威嚇するかのように、ナイフを取り出して見せつけてきたやつらが4人。
「おいおい、こんな真昼間から、人目のない路地でズッポリか?兄ちゃんさすがにやるじゃねえか。」
俺はその男の態度に思わず顔をしかめた。いきなり下ネタを言ってきたことではなく、男たちの目が俺の腰についているベルト......具体的には、ポーチとナイフ、そして、アリサに目を向けていることだ。
その目を見ると誰からでも分かるぐらい、それらを狙っていることが分かる。アリサの方に関して言えば、捕まえでもするのだろう。
だが、俺が嫌そうな顔をしたのをがっつり見たようで、男はおどけるように言い放った。
「ひでえなぁ。ちょっとした挨拶とジョークじゃねえか。そんな顔をしかめないでくれよ。お前に少し頼みがあるんだ。」
はい、テンプレ的にいけば確実に金を出せなり、出さないなら殺すなり言ってくるのだろう。
そこで、俺は片手を後ろにこっそりかくして、相手を氷漬けにする準備をした。
「少し金を貸してくれねえか?ついでに身ぐるみ全て置いていってもらえると助かるぜ。あ、そこのガキは置いていけよ?その髪色と目の色は珍しいから高値で売れるしな。」
その大男の言葉に周りの子分がグヘグヘと下品な声で嗤った......いや、鳴いたの方が正しいか。すでに外道なことをしてるっぽいしな。
「無理だと言ったら?」
どうやら断られるとは思っていなかったらしく、ポカンとした表情になったが、すぐにニヤニヤしながら言った。
「んなこと決まってんだろ。無理やり奪うだけだ。てめえがよそもんなのかなんなのかは知らねえが、この国では自分より弱い奴には何してもいいってルールがあるんだよ。」
結構前から言いたかったセリフが言えるかもな。
「じゃあ、俺が勝てば、何をしても誰からも文句は言われないってことだよな?」
よし、決まったな。前も似たようなことやったと思うけど、まあいいか。
『ふむ。やはりそういうことじゃな。間違いないかの?セク。』
『ああ......これはもう確定ですね。明らかに心がそっち系に行ってるのかも......』
頭の中で何か言われてる気がするが、気にしてても仕方がない。
俺の言葉を聞いた大男は笑い出し、またしても腹が立つことを言った。
「おいおいおいおい、この発情犬は実力差も人数さもわからねえみたいだぜ。ひたすら腰振ってるだけの野郎に勝てるとでも思ってるのか?ああ!?」
と最後には威嚇まで加えてきた。そして、その大男の言葉に周りの子分たちはゲラゲラと笑い声をあげた。ワンちゃんに失礼だろうが。お前らがそんなこというなや。
しかもさ、挑発するように言ってきてる辺り、常習犯なところあるよな。
仕方がないため、こっそり構築させておいた氷で、相手全員の足を氷で取り込んだ。相手は全員動けなくなり、突然の出来事に呆然とするしかなかった。
男たちは足を取られてることに気が付いてナイフで殴ったり、削ったりしようとして、なんとか抜け出そうとしていた。
俺は相手にもう狙われないようにするために、実験がてら、雷の発生を試すことにした。
別にそこまで痛めつけるという目的はなく、少しお灸をすえるみたいな感じだ。俺がやることはないとおもうが、俺からすれば、腹が立ったからやるってだけだ。
『たまに、ソータは別の人物が中にいるかのように、性格が変わるんじゃな。』
『そうなのか?それが本当なら、本当に人が変わっているのかもな。』
またしても、モルとセクの会話が聞こえてきたが、聞かないふりをしておく。集中できないしな。
俺は手と手を少し話して合わせ、その中でだけ小さい箱のような空間を作り、中に雲を発生させる。
そして、その雲の中で大小の氷同士を激しくぶつけ合うイメージをする。その速度を上げる。しばらくすると、所々から光が発生するようになった。
しかし、ここで一つ問題が。雲を閉じ込めてた空間が少し膨張してきた。しかも、空間自体が帯電してきた。このままいくと確実に手元で暴発する。そこで、城壁の外のできるだけ遠くに放り投げた。
最悪暴発しても大丈夫なようにセクのいたダンジョンの方向に。
すると、快晴であるにも関わらず、いきなりドゴーンと雷が落ちる音が聞こえた。どうやら放り投げた空中で暴発してしまったようだ。もう少し遅かったらどうなっていたことやら......
アリサも含め、一気に静まり返ったのを肌で感じた。
男たちの方を見ても、少し怯えているように見える。一部始終を見ていたのだから当然だろう。制御できない力はぶっつけでは無理だな。今後改善せねば。
まあでも、いい感じに脅しにはできたと思う。
「それで......これを見てもまだやりたいと思う人?今のはあくまで実験だったからよかったけど、それ以外でなら、お前らを凍らせて窒息させたり、水で溺れさせることもできるけど......」
手のひらに水の球を出しながら男たち向けて言った。
目の前で見たのは初めてだったが、男たちは顔面蒼白になった。
「ちょっかいかけて申し訳ありませんでした!」
男たちは謝ってきた。結果的にはよかったかな。
いかがでしたでしょうか?今回は、蒼汰が空間魔法を使っていましたね。雷を発生させようとして、できなかったようですけど、うまくいっていた場合どうなっていたことやら......
帝国に入ってから早速絡まれましたが、あのセリフをどや顔で言ってそうな辺り、蒼汰君はセクの言っていた通り、「そっち側」なのかもしれませんね。
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
それでは、また次回お会いしましょう。




