もう一個問題があったか......
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
とりあえず、手に入れた鍵を持って外へと出た。
すると、そこにはアリサが待っていた。しかし、当のアリサは困ったような顔をしている。手には、鍵のようなものを手にしている。よく見てみても、口から火を吹いてるドラゴンの姿だった。顔にも変な様子はなく、モルのよりもデザインとしては大分マシだろう。
まあ、一つ気になるとすれば、そのドラゴンが思わず吹いてしまうほどの形相で、怒った様子を表現しているところかな。モルの方はまだ目はあったが、向こうの鍵は白目を剥いており、丁寧に怒りマークまで描かれていた。
そうしているうちにアリサが俺に気が付いたのか、俺に近づいてきた。
「ソータ、どうしよう。ものすごいサラが怒ってる。」
うんやっぱり。向こうも向こうで癪に障ることされたんだろうな。
「モルも同じ感じだから、早めに脱出しないと、普通に爆発するぞ。この感じだと。」
「そうだね。ソータの方も何があったかわかんないけど、あんまよさそうな感じじゃないようだし。」
「ちなみに、俺の方は体力テストだったけど、アリサの方はどうだった?」
「わたしの方はクイズをさせられた。簡単なクイズだった。いちいち解けないでしょ?みたいな煽りがあって、サラが実際に解けなかったから、それで怒ったって感じ。」
もう弱点突かれちゃってるじゃん。しかも、アリサが解けてサラが解けなかった問題を出すって......明らかな悪意を......というより、サラの苦手な分野を出してるじゃん。
まあとりあえず、セクくんにモルとサラを会わせてあげましょう。逆だな。サラとモルにセクくんを会わせるの方が正しい表現だな。
じゃあ、脱出しましょう。まあ、こんなん簡単にイカダでも作っていけば大丈夫だな。
俺は、近くあった、ヤシの木のような木を、できるだけまっすぐなものを選んで水のレーザーで切ってきた。
それを簡単には切れない、ナイフでも切りにくいぐらいの、繊維の向きをそろえた密度の草のロープでまとめた。
そして、オールを作り、イカダの完成だ。
これを海際まで持っていくのだが、持ち上げた途端、モルが話しかけてきた。
『ソータ、セクの奴は、引き受けると言った以上引き受けると思うが、試すとも言っていたからの、ソータの中に入ってくるまでは我慢しとくことにしたわ。じゃから、気にせずにやればよいぞ。』
いや、もう作っちゃたんだけど......ま、オールの扱いなんてよくわかんないから、時間がかかるのは確定ではあるか。
イカダを水に浮かべ、俺はアリサとともにそれに乗り込んだ。
そして、オールを持ってきて、海に浸かってる部分をえぐるというか、後ろに向けて押すようなイメージで漕いだ。
きちんと進んだのだが、片一方でしか漕いでいないため、どんどんイカダが曲がっていく。
慌てて反対側を漕ぎ始めると、ちゃんとイカダの向きが元に戻り、イカダが前に進んだ。
そのまましばらく漕いでいた。ふと、アリサの方を見ようと振り返れば、海の中を覗いて震えている。
なぜ震えているのかと思い、後ろまでのぞきにいくと、固まってしまった。なぜなら、サメのような生物......正確には、ホオジロザメの首の周りにタコの足を生やした見た目をしていた。正直、タコ足うまそうという感想しか出てこない。
『あやつは「シャール」という生物じゃ。あやつは外皮が固くて鼻の先にしか弱点がないのじゃが、あのうねうねしたものが弱点を守っているせいで、ほぼ弱点がないのが特徴じゃな。』
オッケー。なるほどね。普通に弱点がサメと一緒か。モルのおかげでスキルを使う必要がなかったわ。センキュー。
『心配するな。妾もお主のスキルを使って調べたしの。』
よかった。俺のスキルが役に立ったわ。って、どうやって撃退すればいいんだ!?
『鼻の先を殴るなりなんなりして撃退すればよかろう。』
だから、鼻の先を殴ろうとすると、それを守るタコ足に捕まれて海に引きずり込まれるとかでしょ?あの歯でバリバリ食われたくないよ?
『よく知っておったな。あやつの捕食方法はまさしくそれじゃ。』
じゃあもう一度聞くよ?どうやって撃退すれば......
「......ータ!ソータ!」
「はい、どうしました?私ソータでございます。」
つい反射的にこう答えてしまったが、どうやらそうも言ってられない状況のようだった。
「ソータ、助けて。足を引っ張られててこのままだと引きずり込まれちゃう。」
なんでそんな冷静なんだろうか。力では勝ってるから引きずり込まれないという自信でもあるのだろうか?よく見てみても、むしろ引っ張り上げてる感じだし、問題はないとしても、さすがにこのまま進むのはいかんな。
とりあえず、ナイフでタコ足をぶった切った。ごめんな。タコザメさん。
すると、タコザメさんは怒ったのか、イカダに足を絡めてきた。そして、気が付けば俺は宙へと投げ出されていた。幸いアリサの方は、イカダにしがみついてたおかげか、海に落ちることはなかった。
まあ、俺は海に落ちたんだがな。しかも、腕輪の効果もなく、水魔法で直接操作することもできないようだった。
とりあえずナイフを取り出し、構えるが水中に波に腕がとられて、ナイフを振るときに水の抵抗のせいで、とてつもなく重く感じる。まあ、実際に重いわけでも、振る速度が変わるわけでもないんだけど。
イカダの上からアリサが俺を呼ぶ声が聞こえるが、俺は問題ないことを大声でアリサに伝える。
そして、目の前に大口を開けて迫ってくる、タコザメもとい、シャールの動きをよく見る。そして、まっすぐではなく、ジグザグに泳いできていることに気が付いた。
だからなんだって話ではあるんだけど。
タコ足の方が先に近づいてきているため、それを切る。そして、サメの口が近づいたときに、俺は水中へと潜った。
そのまま、下から持ち上げるようにして、頭突きした。感覚としては、バスケットボールが頭の上に落ちてきた感覚と一緒だ。
結構痛かったが、そのまま空中へと投げる。シャールが頭を下にして落ちてきたので、腰に差してた棒を伸ばし、鼻の先端に向けて突き出した。
予想に反して、ものすごいことが起こった。棒とタコザメの鼻先を起点とするように、ピーンと、サメが棒の上で直立したのだ。
なんか、大道芸をやってる気分。
あ、ちなみに、俺がこんな冷静でいられるのは、実際にそこにいるわけじゃない......つまり、セクが作った空間にいるから、セクが課した試練だと直感的に思ったからだ。多分、動物なのに、声が聞こえてこなかったから、
棒を元に戻して、腰にも差し、泳いでイカダへと戻り、もう問題ないことを伝えた。
「よかった。さっきは足が引っ張られてどうなるかと思ったけど、大丈夫だったね。ソータは大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ。まあ食べられそうになった時はビックリしたけど。」
そこまで言ったところで、突然周りが光だし、目の前に二つのカギ穴が付いた扉が現れた。
俺たちの持っているカギをここに挿すのだろう。
俺とアリサはそれぞれカギを取り出し、できるだけデザインが目に入らないように鍵穴に挿しこむ。
それを同時に捻ればガチャッと鍵が開いた音が聞こえた。
ドアノブを捻ると、扉が開いた。そして、ここに来た時に見た、転移する光が地面から出てきた。
光が晴れると、目の前にはセクが立っていた。
「クリアおめでとう。ソータ君、アリサちゃん。こんな短時間でクリアするのは予想外だったよ。」
拍手をしながら笑顔で近づいてきた。さらに、なぜか俺に向かって、手を差し出してきた。握手を求められてるのかと思い、手を取った。
すると、モルの時のように、セクの体が光の粒子になって、俺に向かって消えていった。
『急いでるんだろ?早くここを出な。俺の物はすべてまとめといたから、気にしなくていいぞ。』
なぜにまとめた?それじゃあそのまま俺に付いてくるみたいな感じじゃん。
『みたいではなくて、これからついていくことに......うわっ!!何するんですか!?モルさん!?』
『うるさい。ごちゃごちゃ言わんで大人しく殴られんか!?』
『痛い痛い痛い。やめ、やめてくださいよ。』
『サラの分もやってやるわ。厄介に育ちおって。』
『ああああ!さっきのは謝るから、許して!!試すためにやったから大目に見てください!!』
『試すと、のう......?ずいぶん偉そうになったものではないか?んん?』
『もうしないからそれ以上はやめてくれぇ!!』
『知らん。お仕置きじゃ。黒歴史をサラとアリサに見せることぐらい問題ないじゃろう。これから仲間が増えたら、それに伴って公開していくだけじゃ。』
頭ん中がいい意味で騒がしくなったな。モルもセクも楽しそうでよかった。
『のんきだなおい!?』
「とりあえず、予定通り帝国に向かおうか。街のつくりの把握をしておかないと。」
切実に助けを求めてくるセクをスルーし、アリサにこのまま帝国に行くことを提案した。
『ちょっと待て。この部屋の奥に『天空掌握のグローブ』がある。それを持って行った方がいい。空間魔法の使い方に失敗しても、最悪の事態にはならないぞ。ついであるから、アリサちゃんの分もあるぞ。』
俺は奥へと行き、部屋の中心にある、宝箱のようなものを開ける。
その中には真っ黒な革のグローブがあった。デザインもいたってシンプルで、普段付けていても違和感ないぐらいには、無機質的なデザインだった。
俺はそれを手に取り、片方をアリサに渡し、とりあえず手にはめてみる。そして、頭の中に何かが流れ込んできた。
『痛い、苦しい、死にたい、とな。今入ってきた感情からはそんなものが感じられるの。』
苦しみの感情......確かにそうとしか取れないものだったな。
『おかしいな。このグローブにはそんなものなかったと思うが......』
『ソータがこういった宝器の類をつけると、こうなってしまうのではないか?前も「水従の腕輪」を付けた時も、何かが流れ込んできてたしの。』
確かにな。結局これは何なんだろうな?そもそもトリベルって何?
『宝器は妾が渡した「水従の腕輪」と、セクが今お主に渡したグローブのような、均衡守護者の持つスキルに関連するアイテムのことじゃ。』
そういうことね。にしても、なんで記憶みたいなのが流れ込んできたんだろ?
『さあな。お主と何かしらの関係があるのやもしれぬぞ?過去に転生していた、お主の世界の人間の記憶という可能性もある。実際、アリサにはそんな感じはなさそうだしの。』
俺はアリサの方を見てみる。しかし、困惑している様子はない。ということは、やはり俺たちにしか分からないということだろう。
『前回はイメージですらない概念というべきか......?そして、今回は感情が流れてきたとな。ならば、次は記憶でも流れてくるやもしれぬな。』
確かに。誰かの記憶が流れ込んでくるなんて、誰の記憶かが気になるな。その記憶の内容も。というか、やっぱ集めた方が良さそうなのはあるかもな。
『まあな。この謎を解明するためには、残りの均衡守護者全員に会って「宝器をもらう必要があるの。無論、この現象を解明したいのならじゃ。』
流れ的に確実にそうだもんな。まあ全部身に着けたりとかしたら、ごっちゃなると思うけど。
『って、いつまで立ち止まってるつもりだ?ここから外に出て、太陽が沈む方向と逆に向かって歩いていけば、帝国に行けるぞ。』
確かに。まずは外に出ないと。俺は外へと出るドアを探そうと、部屋を見渡した。しかし、不自然に本棚が両側においてあるだけで、特に何かある様子はない。
『しまった......そういえばこの部屋にも仕掛けを作って、それを解かないと出られないんだった。』
『セク、その焦ったような表情を見るに、仕掛けの解き方を忘れたとか言うのではないじゃろうな?』
『...............』
察した。忘れてるねこれは。
『ソータ、お主の頭の中がうるさくなるかもしれんから、一応聞いておくが、こいつを締め上げてもよいかの?そうすれば思い出すかもしれんしの。』
あ、もう好きにしてください。
『待ってくれ!!ソータ君見捨てないでくれ!!』
さて、ここの仕掛けを解くわけだが、両側に本棚があるのは不自然だな。というより、こういう部屋では本棚に仕掛けがあるのがセオリーだからな。セオリー通りの仕掛けであってくれればいいんだけど......
ほら、二つを見比べてみて、数の違いがあればそこの本棚に仕掛けがあるみたいな。
まあ、あるわけないか。ちょっと色々と調べてみる必要がありそうだな。
いかがでしたでしょうか?今回は、セクが協力してくれることが確定しましたね。はたして、あれだけやらかしてしまったセクくんの運命やいかに!?
そして、本棚に仕掛けがあると蒼汰君は見ていますが、どんな仕掛けなんでしょうね?次回をお楽しみに!!
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
それでは、また次回お会いしましょう。




