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だから落ち.....いや、どうしようもないわこれ。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 この前も高いところから見回すなんてことをしたが、上から見た島は、特にこれといった特徴のない島だった。


 何かヒントがあるという様子もなく、海と島の中央に、不気味に奥まで続く森があるのみだ。やはり、この森の中にカギがあるのだろう。


 とりあえず下へと降りて、手がかりは掴めなかったことをアリサに伝える。


 森の中に入るかどうかをアリサに確認したところ、もちろん!と元気よく返事された。


 いきなり中に入るのはどうかと思ったが、ここを進むほか道はないので、覚悟を決めることにした。中にはあまり光が行き届いてない感じだし、はぐれたら大変そうだな。


 俺は近くからいくつか草を引っこ抜いてくると、それをロープにした。


 アリサに言って、手に巻き付けてもらい、俺も手に巻き付けた。こうすれば、こんなくらい中でもはぐれる確率はグッと下がっただろう。


 改めて、森の中へと入ると、一気に視界が暗くなり、10秒ほどおいて、視界が開けた。いや、まさかのローディングかよ。しかも大分ラグあるタイプの。


 そして、俺は今さっきしたことが一切意味がなかったことを感じた。


 ロープに思いっきり切断されたような跡があり、アリサとはぐれてしまっていたのだ。


 いや、確かにこういうダンジョン的なところで、はぐれるって結構あるあるだけども。


 あ、いやそうか。このさっきまでとは違うタイプだけども、アスレチックみたいなものがあって、進む感じだな。言うなれば、アスレチックダンジョンか。


 まあ、ここで進むほかに道はないだろうし、進むしかないか。


『のう、お主、切り替えが早すぎんか?』


 クヨクヨしてても仕方がないっていうことかもな。それに、こういうアスレチックとか見ると、攻略か破壊かしたくなるんだよね。正攻法で行く振りしつつ、動力になる部分を破壊するとかね。


『中々にクレイジーじゃなお主......さすがに冗談だと妾は思っておるぞ?』


 半々かな。ゲームであれば破壊する。現実であれば攻略、今の状況はどっちとも言えないから、二択ってこと。


『なるほどのう......それで?どっちにすることにしたんじゃ?』


 いや、さすがに壊すのは良くないかなって。シンプルに楽しそうだし。


『本当にそれでよいのか?ここは一発ドカンと派手にやるとか、してみたらどうじゃ?』


 明らかに誰かに対する恨みがこもってる言葉な気がするんだが......


『別にそういうわけではないわ。できるだけ早く攻略するために決まっておろう。』


 ま~あ?そこまで言うなら?そういうことにしておくか。


『お主、ふざけて言っておるのか?度が過ぎるようなら凍傷にすることも視野に入れておかねばの。腕が落ちるぐらいの、な。』


 すんませんした。できるだけ気をつけます。


『よろしい。分かればいいんじゃ。分かれば。......ところで、何に気をつけるかを明言しておらんかったの?何に気をつけるんじゃ?』


 よし、一旦壊せるか試してみるか。


『ちょっと待て。何に気をつけるんじゃ?』


 水を一点に集めて、前方に勢いよく発射するイメージをして、アスレチックを切ろうとする。しかし、やはりというべきか、一切傷がない。何気に鉄粉を混ぜてたんだけどな。


『......無視するならもうええわ。この話題は終わりじゃ。』


 なんか、若干モルがすねたような口調なんだが。無視したのはごめんて。


『ふんっ。今日は調子狂わされてばっかりじゃからな......許すかどうかは別として、今は気にしないでやろう。』


 俺の罪悪感がすごいんだが。


 ところで、ここのアスレチック類は壊せそうにないわ。さっきのあれでも傷一つついてないし。


『気になってたんじゃが、さっきの水を飛ばしたのにはどんな意味があるのじゃ?水鉄砲にしか見えなかったが。』


 まあ、俺も実際の機械の原理なんか知らんから、あってるかなんて知らんけど、水を高速で発射すると、いろんなものを切れるんだよ。本来は。だけど、傷もつかないから、どうしようもないんだ。


『ちなみに、どんなものを切ることができるのじゃ?』


 ええと、木とか鉄......こっちで言うアラガン鉱石ね。あと、果物とかを切ってる動画も見たことあるな。


『水でそこまで切ることができるとはの......妾も中々把握していない所が多いようじゃな。』


 ただ発射するだけじゃダメだった気もするんだけどね。


『どの道、破壊しても、セクのことじゃ。すぐに修復でもするのだろうな。順当に進む他ないのだろうて。』


 じゃあ進もうか。パッと見た感じ、奥に行くにつれて、だんだんと難易度が高くなっていく感じがあるね。奥に大みそかによく見る、壁が反り返ったものがあるのが見えるんだけど......クリアできるのだろうか。


 まずは、上り棒らしい。10メートルぐらいの高さあるんだけど......これぐらいの難易度がちょうどいいかもな。


 だが、そのすぐそばにある、看板を見てみると、


『腕力だけで登って見よ。』


とのこと。いや、頑張ればいけなくないかもしれないけど、足使えないだけで大分難易度上がるよ?しかも結構高いし。


 一瞬、スキルを使ってズルしようかと考えたが、正攻法で行くって決めたから、頑張ろ。


 俺は上り棒を掴み、そのまま体を浮かす。気が付いた。ここでもスキルを無意識にとはいえ使ってたわ。


 腕にかかるはずの負荷が全くなかったのだ。いや、スキル使うと大分ヌルゲーになるからな。俺はスキル『ストロングパワー』を解除した。


 すると、さっきまで感じていなかった腰に重みを感じた。


 やべえ。ナイフがかなり重い。この重りがある状態でやるのか......


『なんでお主はわざわざスキルを解除したのじゃ?』


 スキルがあると、ヌルゲーになるし、スキルを使ってズルしないってもう決めちゃったし。それに、久々に体に負荷をかけてみたいし。筋肉痛確定だけど。


『なら、今でなくてよいだろう。今動けなくなってその後をどうするつもりじゃ?今は一刻も早くここから抜け出して、レサとロサの妹を助け出すのが最優先ではなかったのか?』


 だって、24時間たっても、現実では1時間しか経たないっていうし大丈夫かなって......


『はあ。そこまで言うのなら、やってみればいいわ。どうなっても妾は責任は持たんからな?』


 もしかしたら、久々のまともな運動だから、楽しみなのかもな。そういう意味では、趣味で筋トレをしてた経験が効いてるのかもしれないな。


 俺は再び上り棒を掴んで、軽く体を浮かせてみる。......これは、スピードで行った方がいいタイプだな。握力が落ちる前に、登りきった方がいいタイプの。


 俺は軽くジャンプしてからその棒を掴み、腕を上に向けて交互に動かしながら、しっかり握る。勢いのまま4分の3ほど登ったところで、俺は腕にものすごい負荷を感じた。腕を動かすことに集中することで、より鮮明に筋肉を使ってる感覚が感じられるのだろう。


 俺は登り切って、床に座り込んだ。久々に疲れた感覚があるのだが、すぐに消えた。感覚だけだったっぽい。


 よくよく考えてみたら、『動物好き』のスキルがあったわ。たしかいくら動いても疲れないってのがあったな。


 感覚だけでも感じられるならいいんだけど......久々に疲れてみたいって思ったんだけどな。


 さすがにもう一個外したりしたら、後で発動し忘れそうな気がするし。


 もういいや。スピランでもしてみようかな。


 と考えたら、次のアスレチックは、鉄棒だった。逆上がりを20回しないと進めないらしい。無視して先に進もうとしたら、見えない壁にぶつかってしまった。


 逆上がりなんて久々にするからな~。できるとは思うけども。


 一回一回足着けるのだるいし、連続逆上がりで行くか。ちょうどいい高さだし。


 俺は鉄棒を掴んで一度逆上がりをし、そのまま地面に足を付けず、足で勢いをつけてから回る。それを残り18回でオッケーだ。


 すると、さっきまで見えない壁があったところが行けるようになった。


 次は平均台のようだ。バランスを取って落ちないように進めと。かなりの長さで曲がりくねっているが。


 余裕どころの話じゃないんで、省略するとして、難なくクリアして先へと進むと、跳び箱があった。


 『8段跳べ!』とだけ書かれていた。


 さっきから考えてたんだけど、体育の授業でもやらせたいの?しかも、難易度もびみょいし。


 その後も握力を測ったり、反復横跳びをさせられた。その他体力テストの種目も。おいコラ我、全部9点以上取れって、疲れない類のスキルがなかったら結構きつかったぞ?スコアに関しても、地球でやったのと同じだったんだが。


 まあ、記録に関しては、桁違いだったんだが。50メートルも3秒という驚異的な結果だったし。これでやっとステータスって言うべきかな?その力を実感できたな。


 そして、体力テストの一番の種目と言えば、20メートルシャトルラン。これが最後にあった。


 いやね?身体的に疲れないスキルがあるけども、精神的に嫌なんだよ。あの音を聞いただけでトラウマが......


 やるしかなかったから、いやいやながらもやったんだが、音声がなめていた。


 いちいち『お前の本気はそんなものなのか!!』『もっと速く走れや!!』『もう疲れたのか?体力なさすぎww』といった風に、煽ってきたのだが。しかも、音の取り方も舐めてる。手拍子でリズムを取っていた。その上で、毎回毎回微妙に手拍子のリズムがずれていたのだ。


 トラウマが蘇らなかっただけいいか。


 はあ。もう終わったし、今のことは忘れて切り替えるか。


 よかった。やっとアスレチックが出てきた。空中ブランコだった。タイミングよく見極めて手を離して、次を掴まないといけないようだ。


 俺は一つ目のブランコを掴んでから、体で勢いをつけて一つ前のブランコに移ろうとする。


 だが、勢いをつけすぎたというレベルを超えて、重力が消えたのかと一瞬考えたくらいには、前に吹っ飛んだ。


 転がりながら着地をすると、さっき起こったことにビビった。空中で何かに押されたような感覚があったからだ。


 もちろん、その押されたものと押してきた犯人に心当たりがあるのだが。


 モルさん。いきなり黙ったまま水で押してくるのやめてくれませんかね?ものすごく落ちそうになってビビったんだが。


『知らん。お主がトロトロやっていたからじゃろ。いい加減にはよう進まんか!いつまで遊んでるつもりじゃ。』


 んなこと言われても......さっきまではちゃんとクリアしないと進めない仕様になってたからな?


『じゃったら、今すぐ残りをクリアするんじゃ。残り5個ほどじゃから、すぐに終わるだろうて。』


 ここまで来たら、最後までクリアしたいじゃん?


『うだうだうるさいわ。見てるこっちがイライラするということぐらい考えんか。今すぐ行かねば、食道を凍らせるからな?』


 ダメだ。こうなったら、話を一切聞かないわ。テコでも動かんってか?


 さすがに自分の命の方が大切だし、モルの言うとおりにするしかないか。......というか、脅しに凍らせるシリーズ作れそうだな。今度まとめてみようかな。


 そして、残りのアスレチックを泣く泣くショートカットすることになった。残りのアスレチックは、年末にやっているのをよく見る、運動神経のかなりいい人たちが集まる、あの番組のものが多かった。


 一体どこで知ったのかは知らないが、丸いタイヤみたいなのにつかまって転がるものや、手足で突っ張って進むもの、指先の力だけで前に体を進めるもの、外れる鉄の棒を柱のでっぱりにかけて、落ちないように進むもの、そして、最初に見た、90度以上壁が反り返っているものもあった。


 正直、体力テストよりこっちの方をしたかった。モルの機嫌と順番を考えろや。やってみたかったんやこっちは。


 まあ、一直線に水流を作って、その上に氷を出して乗っていったんだけど。


 はあ。なんか、体力テストのせいで、ドッと疲れた感じがするわあ。


 次へとつながる扉だろう。その前で俺は寝ころんだ。


『早く進まんか。こんな所で寝ころんでる場合じゃないわ。』


 ちょっと待ってくれよ。こっちは結局達成感もなかったんだから、少しぐらいは寝ころばせて?


『はあ。仕方ないの。1分だけ待ってやろう。』


 おっと、いつもの1/60倍長いですね。そんなに気が立ってますか。


 俺は仕方なしによろよろと立ち上がり、『ストロングパワー』をもう一度発動してから、扉を開いた。


 その先に入ると、宝箱があり、中には最初に見たドラゴン姿のモルだった。背筋が凍るというのをモルと会ってから何度経験しただろうか。


 今まで以上に脳が危険信号を鳴らしている。目には見えないが、モルはおそらく、無数の青筋を額に浮かべていることだろう。


 言葉にしなくてもわかる。なぜなら......


『セクーッ!!いい加減にするのじゃ!!人の顔でカギを作るでないぞっ!!』


ここまで荒ぶれてるからな。


 鍵がまさかのモルのドラゴンの姿の時の顔で、目がキラキラに光っていた。そして、水を表現しているのか、その額には雫が垂れているデザインだ。


 一見すると、別に何も問題がないように見えるが、その口があいていて、目も上を向いているため、アホ面になっている。


 これだけは言おう。セクくん。今すぐ逃げろ。そして、言い逃れは絶対にできないからな?これは。フォローのfの字もすることができないわ。


 まさか、モルの前では猫をかぶってた可能性があるのかもな。いや色んなジャンルの本を読むうちに、性格が変わったって可能性の方があるか。


 とりあえずセクくん、モルに吹っ飛ばされないように気をつけて。



 いかがでしたでしょうか?今回は、蒼汰がセクが与えてきた試練をクリアしてましたね。しかし、モルさんがああも荒れるとは......セク、君やりすぎではないかね?


 これでもしも、性格が変わってないのだとしたら、どれほど猫をかぶっていたのでしょうね?後々、セクがこうやった理由は判明はすると思います。多分。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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