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ここは......どこだっけ?

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 とりあえず場所を思い出そう。まずここから、右か左か前か後ろか......わかんねえ。こういうときってどうするのがいいんだ?


 木に登って家が見えればいいんだけどな。.....いや、見えるかもな。柵とか、倉庫とかもあるし。なんなら、生活できる程度には開けてたし。


 一度、ロサを近くの茂みにそっと降ろし、近くの10メートル弱の高い木によじ登る。


 ......やばい、過去に同じぐらいの高さの電柱を登って猫を降ろしたことがあったけど、それと同じぐらい怖え。むしろ、分かりやすい突起とかがない分、怖さと危険度は増してるし。


 俺は必死に木にしがみつきながら周囲を見回す。すると、ちょうど風の吹く方向に自然の形とは思えない場所があった。


 俺はその方向を記憶しておきながら、慎重に降りようとした途端、ビュオッと強い突風が吹き、木が大きく揺れた。


 ちょうど降りようと片手を離していたところだったので、一緒に体も揺らされ、片手で辛うじて木に片手を掴ませている状況だ。


 やべえ。どうしよう、掴んでる木の枝もミシミシ鳴ってるし、いつ折れるかわからんぞ?


 地面に到着する瞬間、ここから真下に地面まで水の柱を作ってみるか?ちゃんとできるかは分かんないけど、水の抵抗があるだろうし、自由落下よりも大幅に速度は落ちるだろうしな。少なくとも、衝撃は少なくなるはずだ。......イメージすればいいんだったっけ?


 俺は自分の足の先から地面にかけて水の柱を作る想像をしてみる。すると、円柱型の水が現れた。


 安心して、木から手を離そうとした途端、急に木の枝がバキッと音を立てて、俺は木の枝を持ったままその水の上に落ちた。


 予想外の落ち方だったが、予想通り落ちてくれるようでよかった。


 俺が考えた通りに、比較的ゆっくり落ちていき、地面へとたどり着いた。


 だけどなあ、体が濡れてないし、水の抵抗の感覚もなかったんだよなあ。......もしかしてさ、水の抵抗というか、影響が受けない体質になったとかある?


 だとしたらさ、この木の枝のおかげで命拾いしたってことよな?この木の枝の水の抵抗で、速度が減速してたんだろうな。実際、腕だけ若干上に引っ張られる感覚あったし。


 いや、それでも抵抗が足りずに、減速しきれてないだろうな。


 マジでよくわかんないんだが。今度モルにでも聞いてみるか。実際、ぶっつけ本番だったしな。今回みたいなこともあるかも知れんしな。


 とりあえず方向は分かったから、ロサを背負って家の方向へと歩いていく。


 というか、今気づいたってか、このことを言うのは大丈夫なのかはわからんけど、大丈夫か。別に失礼なことではないだろうし。......何が言いたいかというと、シンプルに体重あるのかってくらい軽いんだが。


 このまま投げても、ソフトボール以上に投げれそう。ちなみに、最後には勝った記録は21メートルだった。雑魚すぎるわ。それでも20メートルはさすがに誇張しすぎてるけど、2メートルぐらいは投げれそうな気がする。やったことないから知らんけど。


 ......ねえ、これ一時間ぐらい歩いてるんだけど、これ迷ってね?


 さすがに、上から見えたあの距離で一時間かかることはないだろうし。


 もっかい確認しても俺自身が迷ってるなら、あまり意味ないし。


 はてさて、これはどうしたもんか......夕方になった感じで、日がオレンジ色になってるんだけど、森の中だから余計に暗く感じるんだが。


 すると、どこからか「蒼汰~どこにいる~?」と、声が聞こえた。声から想像するに、ライアだろう。夕方なのに帰ってこなかったことに心配したのか。まあ、俺には昨日会った感覚だけど、記憶が戻ればいつから繋がりがあったのかは知れるから、気にしないんだけど。


 俺は、だんだん近づいてくる声に対して大声を出して応える。


「こっちにいる~!!道に迷ってた!!」


 すると、その声が聞こえたのか、何かが近づいてくる気配があった。......嘘ついた。気配があるなんて言いたかっただけ。バリバリ影が見えた。


 影の見えた方向から、上を見てみると、翼を羽ばたかせながら空中を走るように、飛んでいるのが見えた。俺の姿に気が付いたのか、翼の羽ばたきを少しずつ弱め、地面へと降り立った。


「蒼汰、心配したぞ。何も言わずに出かけて長時間戻ってこなかったものだからな。ついでに、やっと長時間飛ぶことに慣れてきたのだよ。」


いや、保護者かよ。あと、ついでって......今まで使えてなかったんかい。


「俺なら、無事に森の中を迷子になってたんで、来てくれて助かりました。俺とロサを家まで送り届けてもらってもよろしいでしょうか?」


 ライアは快諾した様子だが、何か引っかかているようだ。


「蒼汰たちは、何でこんな森の中にいるのだ?しかも、ここら辺は、あまり他の動物も生息しないエリアだ。もしかしたらとは思うが......ここで一夜を過ごそうとしていたのではないか?」


 はあ?何わけのわからんことを......


 俺の本気で分かっていなさそうな顔を見て、ライアはさすがにないかというように、ため息をつき、俺に背中に乗るように言った。


 俺がまたがろうとしたタイミングで、


「さすがに、この森の中ではしないか。自分のテリトリーの方が安心するものだしな。体の関係は。」


と、なおさらなんで、そんな考えに至ったということを思った。


 とりあえず、スルーしておいた。そうしておけば、この話題も終わるだろうしな。


 というか、気になったことがったんだけど......


「なんで、あの辺りは他の動物は住まないんだ?川も近くにあるし、他の動物が近づかないなら、絶好の場所じゃん。」


 そういうことである。さっきの場所がなんで住んでる動物がいないのかっていう話。


「最近、この辺りも含めて見回った結果わかったのだが、近くに川があるだろう?あそこの周辺の地面は水に触れたものを飲み込むことが分かったのだ。あの川が特殊なだけだろうがな。」


「なるほど......?普通、地面が特殊って考えるんじゃない?」


「いや、地面の土は変わっていなかった。掘ってみても動物の骨があったぐらいだ。そうなれば川に何かあると考えるのが普通だろう。」


「えっ......こわ...もしかして、地面が生きてるみたいな、地面に擬態した生物ってこと?」


「その可能性はあるだろうな。その土地の物を取り込むことで、擬態するってことではあるだろうな。」


 

それからすぐに家へと戻ってこれた。


 しかもね、なんか知らんけど、背中に乗ってるとき、風は受けてるのに落ちる心配が一切なかったんだよ。普通はそういう心配すると思うんだけど、その発想すらわいてこなかったんやで?安心させるオーラみたいなのでもライアが放っていたのかな?


 それはそうと、家に戻ってきたことだし、早めにロサをベッドに寝かせてあげよう。


 俺はライアにお礼を言い、ロサを背負ったまま、ロサの部屋へと向かう。


 そして、ドアを開けて中に入り、ベッドに寝かせて布団をかけると、さっきよりも表情が柔らかくなった。まあ、不安定な揺れたり、固い地面の上で寝たりするよりは落ち着くしな。


 俺も車の中だと眠れないけど、ベッドにダイブすると泥のように眠るからな。


 そのまま部屋を出ようとすると......後ろに確実に誰かが立っていた。これは気配とかそういうのじゃなくて、明確な何か......おそらく、この感覚が殺気なのだろう。そんなものを感じた。


 そして、直感的に横に体を倒すようにして倒れると、さっきまで俺の頭があった位置を何かが飛んでいき、壁に穴をあけて外へと落ちていった。


 俺は恐る恐る後ろを振り向くと、ものすごい形相のレサがいた。手に小っちゃい大砲みたいなやつを持って。


「おい、あたしの妹の寝てるところを襲おうなんていい度胸じゃねえか。」


 やばいな、絶対誤解されてる。しかも、この感じは弁明しようとしても聞いてくれない感じだ。


 どうしよう。とりあえず、ロサから聞いたことと、真実を言うか。


「いや、俺はロサと勝負する流れになって、それに勝った後ロサが話をしてくれて、ロサはそのまま疲れたのか、眠っちゃったんだ。だから俺がここまで連れてきただけの話。別に襲おうなんて考えてないよ。ただ、ロサの寝顔を見て、ベッドで寝るのはいいよなみたいなことを考えてただけだから。あ、一緒にってわけじゃなくて、最初ロサが地面で眠ってて寝心地が悪そうだったからっていう.....」


と、なぜか言い訳がましく早口でまくし立てていると、レサが目を覗き込んできた。


 しばらく、目を合わせていたが、俺が先になんだか気まずくなって目をそらした。


「間違いねえ。あの王様と同じ、嘘をついていない目だ。......下手なことを言うつもりはないが、これだけ言わせろ。お前ならあたしの言うこともできるかもしれねえ。」


 待って、ものすごい嫌な予感というか、デジャヴを感じるんだが......


「あたし達と一緒にあの王国を滅ばさねえか?協力してくれるってんなら、記憶を取り戻す方法を教えてやってもいい。」


 まあでしょうね。ロサと目的は一緒らしいからな。


 ここはもう、俺も正直に行こう。


「ごめん、俺にはそんなことはできない。ロサを先に手助けするって決めたからな。それと、先に言っておくけど、人質を取るような連中は約束を守らないのが定石だ。そんな無意味なことをしても意味がないと思う。」


 それを聞いたレサは一瞬何を言ってるかわからないというような表情をしていたが、その言葉の意味を理解してから、すぐになぜ俺がそれを知っているのかを察したようだった。


「相変わらず、ロサは行動が早えな。はぁ.....」


そんな風にロサを若干呆れた目線で見やりながら、ため息を吐いた。


「さっき、勝負したつったな。怪我はさせてねえよな?お前は怪我だらけみたいだが。」


 その言葉で俺は、たった今、体が痛みを思い出したように、全身から、ヒリヒリとした、あるいはそこだけ熱を持っているかのような痛みが感じられた。


「しょうがねえな。ほら、これ飲め。」


 そう言って水筒のようなものを取り出し、俺に飲むように言った。


 俺はそれのふたを開け、中身を口に含む。味は完全にエナジードリンクだ。それを飲み込むと、体の切り傷から熱が消えていく感覚があり、体を見てみると、傷がふさがっていた。というより、傷が消滅したと言って等しい。


「よし、問題なく効果を発揮したな。実験は成功ッと。」


 レサがポケットから取り出したメモに何か書いてるんだけど......


「ああ、実験のついでだから、これは気にすんな。」


 あ、まさかの被検体にされてた。流れるように被検体にするとか、こわいって。まあ結果的に傷がなくなったから何も言えないんだけど。


「......というか、ロサもレサも俺の目を見てきたけど、目を見れば何か分かるとかあるのか?」


 さっきから気になってたんだよな。今も俺の目を見たことで信用に値するって考えたんだろうけど。


「面白くもねえ話だが......昔っから何かと人の目を気にして生きてたあたしらにとっては、感じる視線の質を見極める必要があったんだが、そこで活躍してたのがあたしとロサの目だ。」


 目?もしかして......


「目の色が片方だけ変わらないことに理由があるとか?」


 気になるところではあったからな。


「そうだな......お前の気にしてるところは間違っちゃいない。実は、あたしの右目、ロサの左目は義眼なんだよ。あたしが奪ったスキルと組み合わせて、ロサは相手の感情が読めるように、あたしはそいつの言っていることの真実性を確かめられる。

 ......だからこそ、お前に協力を仰いだんだ。こいつは良くも悪くも、人をすぐ信じる馬鹿でその実、性格はまっすぐだってな。どうやら、ロサもお前と勝負をしたうえで、信用できるって判断したっぽいしな。信用していなけりゃ、こいつはいくら疲れていてもこうも眠ったりしねえ。」


 家族だからこそ感じることがあってのことってわけか。


「じゃあ、帝国の知ってる限りの情報を教えてくれ。最高権力者がどこにいるのかとか、妹さんが閉じ込められている場所とか。」


 しかし、レサは何も言わず、部屋から出ていこうとする。


 そして、部屋を出る際、こう言い残していった。


「少し必要なものを持ってくるから、そこで何もしないで待ってろ。」


 地図とかでも持ってきてくれるってことかな?



 いかがでしたでしょうか?今回は、初めてライアが飛ぶ姿を見せてくれましたね。さらに、レサも協力関係になったようですが......蒼汰はそれをうまく活用して、目的を達成できるのでしょうか?


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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