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本当に...そうなのか...?

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 それで...どういう風にスキルは使えばよかったんだっけ?


『妾が少し手本を見せるから、体を貸してみい。』


 ...体を貸すってなんてパワーワードな...で?どうすれば変われるの?


『確か...バトンを渡すイメージをすれば変われるぞ。ほれ、今お主の頭の中に妾の姿があるじゃろ?』


 見えないけどな...目をつむればわかるか?


 目をつむって、とりあえずバトンを持つイメージをしたときに、モル(?)が現れた。


 いや、正直、声の高さ的にはしっくりくるんだけど、見た目が完全にようzy...


『それ以上言うとお主は凍り付くことになるが、今後生をまっとうしたいなら謝るか?ん?』


 すんません。今後、発言には気をつけてまいります。


『ふん。それでよいのじゃ。...それはそうと、バトンタッチしてくれぬか?そろそろ相手も何かしてると気づいてくるころじゃ。怪しまれないうちに早くするのじゃ。』


 そう言って俺のイメージ上にいるモルはなぜかバトンを受け取るためにリードを取り始めた。...いや、別に競ってるわけじゃないからリードを取らなくていいんだけど。


『ごちゃごちゃ言うてないではよ渡さんか。』


はいっと。分かりましたよっと。


 イメージの中でバトンを渡すと、自分でもよくわからないが、起きたまま夢を見てるような感覚に陥った。


 しかも、視線の先がまるで映画のスクリーンのようになっていて、俺をFPSゲームのように、後ろから三人称視点で見ることができた。


 ...あれ?どこからそのカメラは出てきた?それとも、何?都合が悪いとでも言わんばかりに三人称視点なんだが。しかも、自分は自分で瞬きなり、目をつむることなり、耳をふさぐことなりできた。


 体が動かないのに、体が動かせるという奇妙な感覚。この感覚にはすぐには慣れそうになかった。


 まあ慣れる必要性がないといえばないんだけど。...そういうわけにはいかないかも知れんけどなあ。


『さて、一度部屋に戻って万が一に備えて武器を取ってくるとするかのう。』


 えっ!?スキルの使い方を教えてくれるんじゃないの?


『そんな回りくどいことはせぬ。ソータ、お主の記憶を取り戻すが手っ取り早いわ。』


 まあそれもそうだな。というか、外にいるって言ってたけど、このまま出ても大丈夫なのか?


『どうせ後をつけられるだけじゃ。好きにさせておけばよかろう。それに、何かしようとしてきても妾の敵ではないわ。』


 それなら別にいいんだけど...本当に危険になった時は逃げてね?


『なんじゃ?妾の心配をしておるのか?』


 いや、俺の体だから万が一って可能性もあるしね。


『......そこは嘘でも心配と言った方がいい場面じゃぞ。』


 嘘ついたら何かしてきそうだしな。さっきみたいなことを繰り返すのは良くないと思ったばっかだからな。


『ふっ、それも一理あるよな。どれ、ここはひとつ敵に目にもの見せようではないか。』


 いや、せめてその敵に回す選択は最後まで取っといて!?



 俺の部屋に来たモルは机にあるナイフとそこに一緒にあった、腕輪のようなものを手に取った。あれ?昨日腕輪なんてあったっけ?まあいいか。あるものはあるんだし。


『さて、これで準備は整った。それでは行こうではないか。』


いや、行くってどこに?


『もちろん、この件を解決しにじゃ。』


そう言って窓から飛び降りた。その際、ちらっと見えたが、窓から飛び降りてすぐに木の陰に移動する影が見えた。俺の部屋からではなく、俺の隣の部屋(・・・・)からだ。


 モルはそうとは知ってか知らずか、特に何も言わなかった。


 一応、その方向を気にしながらモルが進む方向に目を向けてみると、目の前には池があった。


 そして、何を思ったのか、モルは水に飛び込み、下へと泳ぐ必要なく、落下するかのように落ちていった。その高さはビルの10階から飛び降りるぐらいの高さだった。しかも、自由落下の速度で落ちていくため、このまま着地すれば助からないだろう。


 しかし、地面に到達する前に体の周りを泡が取り囲み、速度が急速に下がっていった。


 そして、水底に到達した瞬間、目の前に突然穴が開いた。しかも、中は空洞になっているようで、水でバリアのようなものができていた。


 モルはその中に入り、一直線に奥にあるドアを開け、中に入る。


 そこはどこか生活感のある部屋だった。


 本棚に近づいたモルは、迷わずとある一冊の本を手に取る。


 しばらくパラパラめくり、あるページで止め、俺に語り話しかけてきた。


『見てみい。これが奴らの種族の特徴じゃ。』


 そういうと同時、突然俺の頭の中に情報が入ってきた。


 それは、吸血鬼族(ヴァンパイア)の固有スキルというものだった。


 読んでみると、ヴァンパイアには他者の血を吸って力の一部を自分のものとするらしい。しかも、その副作用というべきか、血を吸われたものは、ヴァンパイア側の任意により記憶を吸い取ることもできるらしい。記憶を取り戻すにはもう一度同一のヴァンパイアに血を吸われる必要があるらしい。


 ...積みじゃん。記憶取られたら犯人を見つける術もないから、もう一度血を吸ってもらうこと以外に見つけれんし。まあ、俺の部屋にいたやつは俺が記憶をなくしたこととは関わりはないだろうけど。


 ってことは、あのヴァンパイアの仲間が近くにいる可能性はありそうだな。


 それと、なにか書いてある。え~っと、血を吸う状態のときは容姿が多少変わるそうです、か。


 え、じゃあ、なんか見た目が変わってるレサとロサが怪しいじゃん。


 ...決めつけるより先にモルの意見も聞いてみよう。


 これを見せたってことは、なんかしら尻尾は掴めたってことなのかな?


『そうじゃな。あいにく、お主が失った記憶は妾も一部しか思い出せんかったが、それで確信した。黒幕はレサとロサという小娘二人じゃ。』


 あれ?だとしたら単純じゃね?いや、俺のわかる証拠とモルの持っている証拠が違う可能性は高い。なんせ、モルは自分がもともと持っていた記憶自体は残っているらしい。あくまでも持っていかれたのは俺の記憶から持っていかれたものってことか。


 ちなみに、どういう理由で分かったのですか?


『なぜに敬語を使う?...まあいいが、妾が分かった理由はいたって単純じゃ。』


 と言いますと?


『あの小娘らはすぐに髪の色がわかるじゃろ?あやつらは少なくとも、姿を変える力は持っているということじゃ。その力をまだうまく制御ができず、それによって髪や瞳の色が変わったと考えれば...』


 ヴァンパイアの特徴を持っていることがわかるということか。


『そうじゃ。そして、その仮定は大方合っているだろう。』


 え?なんで?


『今朝に部屋にいたヴァンパイアが語っておるじゃろ?』


 ......ああ!姿を変えれるということは、家の中にいても気づかないし、仮にレサとロサのどちらかだとしても、ばれる可能性は限りなく低いのか。


『そう。それに加え、あのヴァンパイアはとんでもないミスを犯した。』


 俺に記憶を思い出させたことだね。


『ああ。それによって重要なことが2つ明らかになった。


 まず、一度ソータの部屋に入り、血を吸っていたこと、それにより、自分のことを忘れさせた、あるいは、無意識のうちの行動だった。』


 無意識の行動?って、どういうこと?


『今朝、あやつが言っておったことのうちに、一つ気になることがあったのじゃ。朝起きたときになぜかソータの部屋に来ていたことを忘れていた、もしくは、知らなかったのか。寝ぼけて部屋に入ってしまった。それだけなら別にいいが、仮に寝ぼけてたとして、さすがに窓から入ることはできぬじゃろ?

 つまりは家の中にそのヴァンパイアは居るということじゃ。

 それらすべてをつなげると、答えは導き出される。』


 当てはめてみると、レサとロサが怪しいということか。


『そうじゃ。しかし、問題があるとすれば、どちらがお主の記憶を持っているのか、もし分かったとして、血をもう一度吸ってもらうことができるのかということじゃ。』


 まあそうだな。で?どうするの?さっきも俺の部屋の隣から出てくる人影があったんだけど...


『そやつは部屋の位置から考えてロサじゃろうな。タイミングからして、朝接触してきたヴァンパイアと何かしらの関係はあるじゃろうな。』


 可能性で言えば結構高いのかな?


『ああ。本人と考えることもできるが、さすがに、あからさまに来るとは考えにくい。そうとは言い切れんが...気にしてく必要はあるじゃろう。』


 まあね。さすがにここまで証拠がそろってたら、絶対とは言えないけど、犯人ではあるだろうね。


『まあ、その犯人の協力者の可能性もあるが...なんにせよ、あの二人が怪しいのには変わりない。戻って問い詰めてみるとしよう。』


 問い詰めるってどんな風に?


『なあに、ただ少し質問をするだけじゃ。...心配せんでも、実力を見せて吐かせようなどとは考えておらんから安心せい。まあ向こうから手を出してきたなら、使うのもやぶさかではないが。』


 それなら別にいいか。向こうからなら正当防衛だからな。


 

 モルはさっきと同じように、水のバリアのようなものがある場所から出て、一度、家に戻るのではなく、森の中へと入っていく。


 そこに行くのかと思えば、少し開けているところにたどり着いた。大体バスケットコートぐらいの広さだろうか。


 そこの真ん中に座りじっと何かを待っている。


『見つけたか?何か周りにおるはずじゃ。』


 え、誰に...って、俺か。


 周りには特に何もないけど...あっ、少しあそこの茂みが動いた。


『あそことはどこのことを指している?』


 いや、移動してるんだよ。...ちょっと待って。今、そいつはちょうど後ろに隠れてる。そこで茂みの揺れが止まった。


『よし。分かった。』


 そう言ってからモルは手のひらを上に向け、水の球を作り出しかと思ったら、後ろと前に(・・)それぞれ放った。


 すると、後ろからは何の音も聞こえなくなり、前からは、突然水が飛んできたことに対応できなかったのか、誰かがせき込むような音が聞こえた。


 なんで今のがわかったんだ?


 俺は疑問を持ち、聞いてみる。すると、モルは当然とばかりに、


『こんなあからさまな罠に引っかかる方がおかしいのじゃ。分かりやすく囮で注目をさせ、前からできるだけ静かに近づく。種を明かすことぐらいは簡単じゃ。...まあ、逆にその裏をかかれる可能性もあるからな。念のため後ろにも飛ばしておいた。』


 そういうことね。俺は思いっきり引っかかっちゃったけど。


『妾がいてよかったな。』


 確かに。モルがいなかったら容疑者を絞り込む手がかりもなかったし、今のも気づかなかったからな。

『そうじゃなあ。しかも、相手は目を光らせておった。視線でどこを狙っているのかぐらいはわかっておる。それがわかってしまえば、答え合わせはできる。』


 うん?どういうこと?前側にいる人と何か関係あるってこと?


『姿を見ればわかるはずじゃ。』


 そう言って、モルは立ち上がり、さっき音がした方へと近づいていく。


 そこにいたのは、案の定というべきか、ロサだった。


「そこで何をしておる?」


モルが話しかけてみると、ロサはあからさまに表情を変え、こっちに聞いてくる。


「ソータ、話し方変えたね~。どうかしたの?」


「そんなことは今どうでもよい。なんでお主が妾の後をつけてきているのじゃ?」


すると、顔がますます困惑に染まっていき、こちらを本気で心配するような眼差しでこちらを見る。


「ソータ?本当にどうしたの?いくら記憶喪失で混乱しているとはいっても、その一人称はどうかと思うよ?」


 あ、それ自分とちゃいます。


「では、単刀直入に聞くぞ?お主が今朝、ソータに接触してきたヴァンパイアか?」


 ちょっと、モルさん。少しは答えてあげましょうよ。


 すると、ロサは次は不思議そうな顔をして、モルに問いかける。


「ソータって言うってことは、ソータじゃないの?」


「お主はただ妾の質問に答えよ。お主が今朝接触してきたヴァンパイアか?」


 あの~割り込むつもりはないんですけど、一つ言っていいですか?


『どうしたんじゃ?』


 向こうも向こうで急に話し方や仕草が変わったから、困惑してて多分話が進まないと思うんですよ。


『...そうじゃな。じゃあ、妾はとりあえずソータの守護霊ということにしておく。』


 え?なんで守護霊?


『わざわざ均衡守護者(バランスガーディアン)で明かす必要もなければ、守護霊という不確定で抽象的なものであれば、何となくは納得するじゃろう。少なくとも、どうやってヴァンパイアの仕業だと分かったのかというのに関しては、抽象的な存在だからこそ記憶を取ることができなかった。そう考えさせるのが楽じゃ。』


 まあ、そういうことなら...


『それに、あの質問に答えることで、向こうが答えなくても自ずとどっちがソータの記憶を持っているのかもわかるだろうよ。』


 それってどういう...


『見てればわかることよ。』


 そういうなら、まあいいか。


 そんなわけでなぜ口調が変わったのかを、簡単に説明だけし、質問に答えたのだからと、答えるようにロサに促した。


 すると、ロサは観念したのか、うつむき、そのままだんまりを決め込むのかと思ったら、何かをぽつりとつぶやいているように聞こえた。よく聞いてみると、俺たちに向けてつぶやいているわけではなく、ただただ独り言のようなものをつぶやいているようだった。なんて言ってるのかまではわからなかった。


 その状態で少し待つと、ロサはぶつぶつと呟くのをやめ、突然笑い始めた。


 なぜに笑う!?ちょっと怖いから周りから何かが来てないかを確認する必要はありそうだな。というか、ちょっと直視できないかな。若干腰が引けちゃうからね。



 いかがでしたでしょうか?今回はおそらく黒幕である存在が分かりましたね。はたして、蒼汰とモルはどうやって記憶を取り戻すのでしょうかね?


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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