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い、いや、これってホントにどういうこと?

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。

 俺はリーズにもたれかかって寝てしまったアリサをベッドに寝かせ、飯を作りにキッチンに行く。


 さて、何を作ろうか...


『今さっき記憶を見てみたが、お主はいつもあんな感じで料理を作っているのか?』


 あんな感じって?


『もちろん料理の中身もじゃが、料理にスキルを多用しているところじゃ。』


 まあその方が効率的だし、時短にもなるからね。


『中々におもしろい使い方をするではないか。しかも、応用できているところを見るに、スキルのことを理解できているようだしの。』


 そうなのかな?色々と試して使えたから使ってるってだけなんだけど。


『いや、ただ単に妾には目から鱗の使い方だったということじゃ。』


 物を凍らせられるなら暑いときとかちょうどいいじゃん。飲み物に氷を入れたりして。


『...確かにその使い方も良いな。まあ、この辺では暑くなることも寒くなることも少ないからな。その発想が出なくても仕方がないの。』


 うんうん。出てこなくても仕方ない。当たり前なものほど気が付かないものだしね。


『...それで何を作るんじゃ?』


 何にしようかな...昨日も食べたけど、生姜焼きとかでいいか。それと千切りキャジャで。ライアたちも気に入ってたし、とある食べ方も言ってなかったからな。というか、一番量が多いトッグを使わないと腐るからなあ。


 ...えっ?昨日の夜?あれは味は鶏肉だけど、痛みそうだったから。ほら、爬虫類の肉だったから、腐りやすかったかも知んないじゃん?そういうことよ。


『何じゃ?誰に言っておる?しかも、生姜焼きと言ったか?お主をの記憶から見ても、「生姜」が直接焼かれたものなんて見ておらんぞ?』


 一応記憶の中にはあるけど...まあ、俺も小さい頃に一瞬考えたからな。見てれば分かるよ。


『では、妾はお主が何を作るのか見ておくとしよう。』


 オケ。...それじゃあ、作るか。



 今回はちゃんと視聴者(モル)もいるから、ちゃんと説明しながら作ろ。


『別に作り方の説明など要らんのじゃが...』


 まず、トッグの肉を用意します。これを薄く、1ミリ2ミリほどの厚さに切ります。


『これ、無視するのはやめんか。』


 これを、油を薄く引き、熱したフライパンに一枚ずつ広げながら置いていき、肉の表面の色が少し変わったらひっくり返し、火を通します。


 火を通せたら一旦皿に移し、これを何度も繰り返します。


 すべての肉に火を通し終えたら、次は生姜焼きのタレを作ります。今回は量が多いので多めにタレを作ります。


 まず、生姜もどきを持ち、生姜もどきの皮を剥いてすりおろしにするイメージをします。


『ちょいと待て、まずその時点でできるものはいないと思うぞ!?』


 そのすりおろした生姜もどきを器に入れ、そこに醤油もどき、調理酒もどき、みりんもどきを大さじ5ずつ1:1:1の割合でいれ、そこに、大さじ2ほどの砂糖を入れます。


『もどきもどきうるさいのう。シンプルに「ソぉいスォス」などでよかろう。』


 それらを一度混ぜ、混ぜ合わせたものをさっき肉を焼いた、肉の油が残ってるフライパンに入れ、火にかけます。

 タレからアルコールの匂いが飛んだら、肉にそのタレを絡めていきます。肉の全てにタレを絡めたら完成です。そして、半分はタレにとあるものを混ぜておいた。


『結局全部できるまで妾を無視し続けるとは...』



 うん。これでいいな。


 俺は一枚ずつ生姜焼きの味見をして、うまくできてたからつい、笑みがこぼれてしまった。やっぱ、うまく作れると嬉しいもんだ。


『ソータ、お主、ずっと妾を無視しておったな?』


 え~と...?話しかけてた?全然覚えてないんだけど。


『質問しても答えてくれないからな...どうしてくれようかと考えないといけなくなったのじゃよ。』


 ごめんなさい。せめて黒歴史系はやめてください。


『それはもう飽きたわ。お主はずっと反応が変わらないからな。そうよのう...その生姜焼きとやらを妾が食べるというなら、許してやろう。』


 それでいいのか?俺としてはせっかく作ったものを食べれないのは惜しいけど、モルが機嫌を直すならいいな。


 とりあえず、まだ千切りキャジャができてないからそれをしてからね。


『むう。仕方がないのう。待ってやるとしよう。』


 それじゃあ、作るか。とは言ってもキャジャを持ってイメージするだけでいいんだけどな。


 ...とりあえず、キャジャを千切りにできたから、あとは用意するだけでいいな。


 ...って、ご飯炊くのを忘れてたよ。普段はどうしてったっけ...ちょっとまって。怖いんだけど。


 俺は炊いた覚えがない。しかもそれにずっと気づかずに飯を食べていた。怖すぎる。家に誰か住んでる?


『別に誰も住んでおらんよ。お主の記憶を見て気づいたが、お主の言ってるものは飯の香りで水で炊かれた状態になるらしいよの。』


 道理で炊かなくても炊けてたわけか〜。......え、待って、勝手に炊ける点は意味がわからないが、この際置いておいて、俺はずっとそれに気づかなかったってことでしょ?それが一番の恐怖なんだが。


『お主の不注意とはいえ、確かにおかしいのう...』


 もしかしてさっき言ってたヴァンパイアに記憶を持っていかれたとか?


『お主の記憶にあるということは、本当にお主が気がついてなかっただけじゃ。人のせいにするな。』


 すんません。返す言葉は返しても不毛なだけなので、黙らせていただきます。


 とりあえず、謎も解けたから、飯の用意するか。



 俺はお椀にご飯をよそって、リビングに持っていく。その後に生姜焼きと千切りキャジャも持っていく。


 箸やフォークを用意してみんなに用意ができたことを伝えようかと思ったとき、ふと、とある事に気がついた。


 それは、戻ってきてから、リーズ達子供組とアリサしか見ていないということだ。外は暗くなってきてるし、仮にどこかに出かけてるとしても、もうそろ帰ってきてるはずだ。戻ってきてないってことは何かあった可能性が高い。しかも、リーズたちの近くにアドルたちがいなかったのも気になるところだ。


 まあ、レサとロサは部屋で何かしらやってそうだけどな。


 ......一旦家中見てみるか。


 俺が部屋から出ようとした瞬間、突然モルが、


『ソータ、急いであのディガとかいう青年を連れてここから出るのじゃ!』


 といきなり言ってきた。


 いや、んないきなり言われても出る理由とかないじゃん。


『いいから、急いで行くのじゃ。もしかしたら間に合ってないかもしれんが...』


 だから、どういうこと!?


『時間がないから簡単に言うぞ?この家はよく見たら少しおかしいところがあるのじゃ。そこと、この異様な気配、ここにいるのは只者ではないぞ。...っち、もう間に合わんか...』


 そう言われたら確かに。ロッキングチェアーもよく見たら脚の部分が普通の椅子だな。よく見たら壁の模様も違うし。


 それに気づいた途端、一瞬だけそのロッキングチェアーがブレて見えた。ノイズが一瞬だけかかったかのように。


 あれ?今ブレて見えたけど...気のせいじゃないよな?


 俺はなんとなくそのロッキングチェアーに触ってみる。すると、さっき一瞬だけ見えたノイズがひどくなり、最終的には床に溶けるようにして消えていった。


 そのことに驚きつつ、確かになにかおかしいと、気づき、家の外に出て、ディガがいるはずの倉庫に向かう。


 しかし、そこにはディガがおらず、さっきまで所々にあった、軽く焦げてた部分がなくなっていた。


 しかも、さっき見たロッキングチェアーと同じく、だが、さっきとは違い、ノイズが一瞬ではなく、ずっと見えるようになった。いや、それだけじゃない。様々な物や、地面などの至るところにノイズのようなものがかかっていた。


 ますます謎が深まり、俺は逆にノイズが見えないものを探すことにした。


 家中を探し回ってみて、ノイズが見えなかったものはほとんどが俺がよく使う道具だった。


 具体的にはナイフと圧縮してある木の棒、「水従の腕輪」だった。ついでに気がついたが、家の中には誰もいなくなっていた。


 あれ?ちょっと待て。色々とおかしい。ナイフと圧縮してある木の棒。この二つはおかしい。


 と、そこまで気がついたところで、突然地面が眼前に近づいてきた。否、俺が倒れたのだ。


 しかも、体が動かず、かろうじて首から上のみを動かせた。


 周りにはノイズのかかってるものと、さっき見つけて持ってきたもの以外何もないし、誰もいない。そんな奇妙な空間で怖気を覚えつつ、体がどうにかして動かないか試そうとする。


 しかし、体は依然動かず、気合で動かそうとすればどうにかできるか?とアホなことを考え始めたとき、目の間に誰かが現れた。


 だが、その誰かにも体にノイズがかかり、どんなシルエットをしているのかが分からなくなっていた。


 俺はなんとかして顔を見ようとするが、首が上がらず、結局見ることができなかった。


 すると、その人物は喋りだした。ボイスチェンジャーを使ったような低い声で。


『お前は気づかなくていい。知らなくていい。そのまま寝ていろ。お前は質がいい。だからすべてを私に委ねよ。力も記憶も存在さえも。』


 何いってんだ?こいつは。


 俺はそいつに何かを尋ねようとした。だが、口が動かず、ついには、目しか動かせなくなった。


『その抵抗は無駄だ。お前が何かを問う前にお前はすでに我が手中にいる。嫌だというのなら、せいぜい足掻いてみせよ。すぐに足掻く理由さえも忘れるだろうが。』


 だめだ。全く意味が分からない。手中にいるってどういうことだ?俺に精神支配みたいなスキルでも使ったのか?


『まあ、概ね正解だ。だが、この問問答は無意味だ。お前の記憶は私が掌握したからな。』


 あ、いや、とりあえず、答えてくれてあざます。...思考読まれてるんかい。


『どういたしまして。一応答えておくのが筋だと思ったのでな。それに、言ったろう?お前を掌握したと。』


 筋も何もこっちは話が見えないからどうしようもないんだが。しかも記憶を掌握しただけじゃ思考は読めないと思うけど。


『ふん。そんなことはどうでもいいのだ。お前は今後を見ていろ。記憶がないままでな。お前は私たち(・・・)を止めることはできない。』


 え、じゃあ何を止めればいいですか?


『それはな...私たちの野望である...おっと、危ないじゃないか!言うところだったぞ。』


 いや、知らんがな。ただ、質問にはちゃんと答えてくれるいい人なんだなって。


『...いささか緊張感が欠けるな。お前はそこで人の善し悪しを決めているのか?』


 いや、別に?下手なこと言って敵に回すより、話してみて、少しでもいいなって思ったところがあったら言おうかなと。その方が相手も嬉しいだろうし、嫌なことにはならないだろうって思ってる。時によっては煽る発言になるけどね。


『...まあよい。このまま時間を過ごしても無駄なだけだ。これはお前の夢なのだからな。覚えてるはずはない。精々私たちが行う茶番劇を眺めておくが良い。』


 その言葉だけ言い残して、その人物は消えていった。


 結局何だったんだろ?今の人は。


 しかし、考える暇もなく、意識が朦朧としてきて、ついには意識が闇の中へと沈んでいった。



 ん?なにか声が聞こえる...?


 俺はすぐ近くで声がするため、目を開けてみる。


 あ、知らない天井だ。そんな言葉が思い浮かんだが、ぐっと堪える。


 そして、なんとなしに横を見てみると、そこにはなぜか羊と羽の生えた猫と鶏がいた。


『ねえねえ、ソータ、ご飯まだ?』


 うん?今喋ったよな?何かのドッキリとか?いやでも、俺みたいな一般人にそんなドッキリ仕掛けても大した反応しないから、かけるわけ無いか。


 じゃあ、夢だな。うん。もっかい寝たらすぐに目が覚めてソシャゲをすることが叶うであろう。俺はソシャゲではあえての無課金勢だからな。時間は大切にしたい。


 俺は目を閉じたが、その前に誰かによってゆり起こされた。


 俺が目を開けると、飛び込んだ人物に驚いた。


 12,3歳ぐらいだろうか?頭頂部分から毛先にかけて深海から浅瀬に向かっていくようなきれいな色をしていた。そして、その瞳は燃え盛るような赤い色をしていた。アルコールに火を着けたときの青い炎のような透き通ったきれいな瞳だ。そう、あまりに現実離れした容姿に俺は驚いたのである。


 うん。やっぱ俺って文豪の才能ないな。うん。例えも最悪だし。うん。今も何度もうんうん頷いてるし。うん。読む専だからなくてもいいんだけど。


 まあこんなところで現実逃避しても意味ないんだろうけどな。


 それにしてもこの美少女は誰なんだろ?これは夢だと思うけど、なぜ、ここにいるんだ?


 は!?俺の空想の彼女イマジナリーガールフレンドってことか!それなら納得...できねえわ。俺ロリコンじゃねえし。


「お兄さん、早く起きて。お腹すいたからなにか作ってよ。お兄さんが保護してくれたんだったら、その世話をするのも当然だよね?」


 はあ?何いってんだこいつ?...まあいいや。そろそろ夢から覚めるだろうし。


「起きないんだね。じゃあ、今からお兄さんの上にダイブして...」


「いよおし、起きるからそれはやめような?弟に昔されたトラウマがあるからな?」


 あれはきつかった。きれいにみぞおちにダイブしてきて、本気で死ぬかと思ったわ。ま、今死んでないから言いけど。


 .......ん?なんかおかしい。なんかな~?あ!


「お兄さん呼びアザス。」


 うん、これでオッケー。お兄さん呼びなんて誰にもされなかったからな。


「...?急にどうしたの?」


「いや、お兄さん呼びされるのってこんなにうれしいんだなって。」


「よくわかんないんだけど。」


 仕方ない。俺の...ひいては兄の立場としてのある意味での憧れだからな。弟にも名前で呼ばれてたし。


「ねえ、ソータってば。」


 そうそう。こんな感じで。あれ?やっぱり喋ってる?


「ご飯いつ作るの?」


 そうだなあ。この夢から覚めたらかなあ。にしてもいつ覚めるんだろ?あんまり意味ないとは思うが、一応聞いてみるか。


「ちなみにこの夢っていつになったら覚めますかね?」


 俺がそう問いかけてみると、そこにいる全員が何いってんだこいつ?みたいな目で見てきた。


 ですよね〜。夢の中で夢ってどうしたら覚めますかなんて聞いてもわからないですよね〜。


「お兄さん何言ってるの?頭大丈夫?」


 うぐっ。もうだめだ。俺は夢の中でさえ誰かにけなされるのか。あ、現実では誰にもけなされてねえわ。


 すると、謎の美少女が何故か頭を叩いてきた。結構痛い。およそ少女の膂力とは思えない痛さだった。


「これで治ったかな?」


 え、なに?頭をぶっ叩いて治すみたいな?昔のテレビじゃあるまいに。おじいちゃんが叩けば直ると確かに言ってしな。


 ...待って、痛い?ってことはこれは夢じゃない?現実?なに?『睡眠転生〜寝てたらいつの間にか異世界転移して美少女の世話を任されます!?(適当)』みたいなタイトルが付きそうな状況は。


「やっぱ、夢じゃない?」


「何でそんなに確認してるかはわからないけど、夢じゃないよ。」


 は!?え、ちょっ、えっ?はっ!?ガチで異世界転移した系かよ!まじでどういう状況なんだよ!!!



 いかがでしたでしょうか?今回は前回に続き、色々とよくわからない状況になっていましたね。しかも最後の方は蒼汰の様子が少しおかしいようでしたね。果たして、蒼汰に何があったのでしょうか?次回以降をお楽しみに!


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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