これで...大丈夫ですよね...?
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
さて、どうしようか…明らかに勝てる相手でもない。そもそもドラゴン以前にあんな10メートルぐらいはありそうな生き物すら見たことないんだが…
俺としてはただただ返してくれればいいけど、そんなふうにしてくれるような雰囲気でもないからな…
「来ないのかえ?ならばこちらから行くが良いか?」
お、選択を提示してきてくれたな。だったらもしかしたら意見を通せるかも…
「ちょっと待ってくれ。俺たちはたまたまここに紛れ込んでしまっただけで、何も眠りの邪魔をしようとか敵対しようと思ってここに来たわけじゃないんだ。」
すると、そのドラゴンは虚を打たれたような顔で、
「珍しいの。こういうことを言えば死を覚悟で向かってくると思うたが、よもやこの状況で話し合いをしようとは。中々面白いやつじゃ。隣のお友達は失神してもうとるが。」
俺はドラゴンに促されてディガをみてみると、白目を剥いて倒れていた。
あー、確かにドラゴンが喋った瞬間に隣から声が一切聞こえてこなかったのか。
「すみません、こいつもこんな感じなんで帰らせてもらっても大丈夫でしょうか?」
一応聞いてみることにした。しかし、
「別に良いと言うとでも?そもそも、その倒れてる者は別として、なぜに貴様は普通に妾に接することができている?先程妾を狙ってきたりしていないと言っておったが、妾を狙ってきたからではないのか?」
あ、なんか嫌な予感が…一応答えるか。
「自分で言うのもなんですが、肝が座ってるからじゃないですか?基本的に細かいことは気にしないタイプなので。嘘はついてないです。言うても気にすることはとことん気にしますが。」
すると、ドラゴンは破顔して(?)
「かかっ、よもや妾を起こし、妾と話をまともにしておいて細かいことと申すか。ましてや敵となりうる存在の言葉を信じよと?笑止。
お主の言い分は十分に理解はしうる。しかし妾の眠りを邪魔した罪は重いぞ。さて、この落とし前はどうつけてくれようか?」
やっぱりぃぃまあなんとなくそんな感じはしてたけど。はたから見てもシンプルに不法侵入だし。
何としてでも戦うのは避けないと。俺は頭を下げ、
「ほんとぉぉにすみませんでしたぁぁ!!俺も確かに眠りを邪魔されたらいい気分しないですし、ましてや自分の寝床に入られて、出られないから出して?なんて言う奴がいたらキレ散らかしそうでした!!」
おお、ドラゴンが驚いてるわ。これはいけるかもな。やっぱり正直に謝るのが一番…
「…謝るのは別に良いが、お主の言い分だと妾もキレ散らかしても良いと言うことだな?ならば排除するまでよ!!」
…………あ、自分で墓穴掘ったわ。おわた。
「しかし、お主のような少し特殊で豪胆な人間は見たことがない。故に、少し興味が湧いた。一つ条件をつけよう。
もしも妾がお主に着いて行っても良いと思えるようなものを見せてみよ。さすれば、今回のことに目をつぶり、お主の手助けをしていこうではないか。
一応言っておくが拒否権はない。」
いや、そもそも…
「付いていくとはどういうことでしょうか?」
すると、ドラゴンは思い出したように、
「そういえば自己紹介がまだだったの。妾は『モルベディング・ゴドラン』水を司る均衡守護者が1柱、創造神様より使命を授かりし者じゃ。均衡守護者はわかるか?」
おー、なんかサラと真逆みたいな感じかな?水と火だし。
「はい、一応少し知っています。それと、俺はソータと言います。できれば長い付き合いになることを祈っています。よろしくお願いします。」
うん、間違いではない。着いていくってことはようはアリサとサラみたいなみたいな状態ってことだろ?なら、先に長い付き合いであってほしいことを言えば、死にたくないことは伝わるかな。
俺の自己紹介を聞き、モルベディングさんはなぜか小さくなっていった。
そして、人の形をかたどったと思ったら、髪色は薄い紫色で、瞳の色は常に変わっているかのように良く分からなかった。10歳ぐらいの可愛らしい少女へと変貌した。
しかし、その身に纏う雰囲気は氷のように冷たく、それでいて愛嬌がある、矛盾しているようでいて、なんとも掴めない感じだった。
「さて、貴様を試す方法じゃが、まずはお主が持っている武器を見せてみよ。心配せんでも、その武器でお主を刺したりなどと言う小賢しい真似はせん。さあ、はよう見せてみい。」
俺はどうしようもないので言われたままにナイフを差し出す。
モルベディングさんはそのナイフを隅々まで、まるでナイフに写る自分の顔を見ようとしているかのように見つめた。
しばらくして、モルベディングさんは俺にナイフを返し、
「65点じゃな。」
とだけ告げた。
「いや、何のことですか?いきなり点数を言われても…」
俺は思わず気になって聞いてしまった。
元々ちゃんと言う気だったのか、モルベディングさんは、
「焦るでない。これはナイフを見てみた結果よ。お主のナイフは人間が作った代物にしてはよくできておる。
じゃが、ただアラガン鉱石を固めて鋭利にしただけのものにしか見えん。何より鋭利さと同じぐらい大事な刀身の滑らかさが足りんのじゃ。
よいか?武器というものはな、もちろん性能も大切じゃが、見た目の良さも大事なのじゃ。
しかしのう、人間はその両立ができんのじゃ。見た目を良くしようとすれば、武器の性能が悪くなり、武器の性能を上げようとすると、見た目が良くなくなる。
そこでじゃ、お主に一つ目の課題じゃ。今、ここにあるものを使ってそのナイフの性能を変えずに、あるいは上げ、そのナイフの見た目を良くして見せよ。それができぬならば論外じゃが。」
そう言ってモルベディングさんは不敵に笑った。
「ちなみに試練っていくつあるんですか?そも、なんでこれを俺が作ったと思ったんですか?」
「ふむ、そこを少し話してやろう。試練は全部でいくつかは知らん。妾の気分次第じゃ。そして、このナイフをお主が作ったとわかった理由は、妾の、スキルとは違う、とある力で見たからじゃ。詳しく知りたいなら、仲間にでも引き入れてみることじゃな。」
説明する気ないですね。まあ、わざわざ説明する必要がないからだろうけど。
というか、ここにあるものって、さっき取ってきた鉱石と水ぐらいしかないけど。
「ここにあるものって今持ってる鉱石とそこにある水ぐらいしかないですけど、つまり、それを使ってみよということですか?」
「質問の多い奴よのう。めんどうじゃから質問に答えるのはこれで最後じゃ。そこの水を使ってもよいぞ。その水にはとある効果があるが、それは自分で見つけることじゃな。」
とある効果?飲んでみたらわかるかな?
俺は水に近づき、手ですくって飲んでみようとする。手が水に触れる寸前、
「ちょいと待てい!」
と急に聞こえた。何事かと思って後ろを見ると、少し憤慨した様子のモルベディングさんがいた。
「何を飲もうとしとるんじゃ!見るからに飲んではいけない色じゃろう!それともあれか?何かわからないものがあったら口に入れてみるのが人間のやり方なのか?おかしいじゃろうて。それには生物にとって有害となる成分が含まれておる。間違えても飲もうとするでないわ。」
教えてくださり、ありがとうございます。
「親切な人だなあ。」
「な、何を言っておるんじゃ。妾はただ試してる相手が目の前で死ぬと妾としても後味が悪いから教えてやっただけじゃ。それにそろそろここで一人で寝るのにも飽きてきた頃だしの。」
...あ、心の声と逆だったっぽい。まあ、正直嬉しいから結果的には良かったんだけど。
さて、どうやってこのナイフの見た目を良くするかだが、まず、色の統一はしたいよな。あと、鋭利にすることと、表面を滑らかにすれば大分見た目は良くなるよな。
まずはここにあるものを使ってだから、ここの水と鉱石との反応を調べる必要があるな。
じゃあ、まずはさっき取ってきたアラガン鉱石をコップ型に加工してそこに水を入れて反応を見れば少しは見た目を良くする手がかりにもなるかもだしな。5分ごとに見ればいいか。
じゃあ、早速コップを作って水を入れて置いといて、次は何をするかだが...
一旦ナイフをコーティングしてた鉱石を外すか。外すときに待つ時間があるからそれができた頃にはちょうど5分ぐらいは経ってるもんな。
よし、取れたな。待ってる間は結構暇してたわけではなく、ずっと緊張していた。だって、モルベディングさんがずっとこっちに視線を向けてたし。
そこは気づいてないふりをするとして、コップの反応を見てみよう。
お、色が変わってる。これは赤いな。それどころか、真紅だな。もはや。
これって、ナイフにコーティングしてた鉱石と一緒じゃん。何つってたっけか?.........思い出した!シャイン鉱石だ。
しかも、さっきコーティングしてた方の鉱石よりも光り輝いてるし。
じゃあさ、この水をナイフにかけて...違うわ。アラガン鉱石と組み合わせてナイフにしたほうがいいかもな。
ちょっと比べてみよ。ただコーティングしただけのやつと組み合わせたやつを比べればわかるか。
俺はそれぞれを作り、互いを打ち合わせてみる。参考までに、コーティングしてる方はさっきのナイフと性能は同じぐらいだ。...と思う。
まあ、どのみち、その情報はあまり意味ないけど。
だって、組み合わせたほうが勝ったからね。コーティングだけした方はすっぱり切れて地面に落ちた。
しかも、なんか模様が出てるし。なんて言えばいいんだろ?水の流れをそのまま模様にしたような感じだ。俺もよくわからん。
色も赤と銀色が入り混じったような色で、格段に見た目が良くなった。
あとは、モルベディングさんがこれでいいと言うかだが、
「一応できましたけど、これでいいですか?」
すると、モルベディングさんは少し眠りかけてたのか、ぱっと目を覚まし、少し不機嫌そうに、
「なんじゃ、もうできたのか?ほれ、早く見せてみるが良い。」
とだけ言って、手を差し出した。
俺はモルベディングさんにナイフを渡し、様子をうかがった。
モルベディングさんは「ほう。」と、簡単するような声を上げて、ナイフをじっくり見ている。
それからしばらくして、モルベディングさんはナイフを俺に返した。そして、満足そうに、
「よいぞ。1つ目の試練は合格じゃ。さっきのナイフとは性能が段違いじゃ。しかも、見た目も確かに良くなっておる。この模様は...いや、今は言わなくても良いか。それにしても、よくアラガン鉱石がここの水に反応すると気がついたな。しかも、シャイン鉱石のようになるとも気が付きおったわ。」
よかったー。にしても、認めてもらえるってこんなに嬉しいことなんだな。
「まあ、少し言葉が気になって試した結果、こうなったんで。もはや偶然ですよ。」
「そういうでない。そもそも物事は偶然によって見つかることが多い。それに気づくことができるならば、研究者にもなることもできるだろうよ。」
流石に無理だろうけどな。まあ、無理と決めつけるのは良くないけど。
「して、ソータよ。お主は1つ目の試練は合格じゃ。じゃが、そこに寝てるお友達は合格しておらんが、どうするか?お主が代わりにやってみても良いぞ。」
まあ、しばらく起きそうにないから俺がやるか。
「わかりました。俺がやります。」
「わかった。それでは、新しく武器を作ってみよ。」
武器かー。なんだろ?俺が作ったのは近距離武器だから、遠距離か、中距離武器を作ってみたいな。だけど、ここにあるのは、少量のアラガン鉱石と家から持ってきた腰に差してる圧縮した木と腰のベルトぐらいだから、それを使うしかないんだけど。ベルトは別に外してもズボンが落ちたりとかはないし、また作ればいいだけだからね。
さて、何にするか...鉱石が使えないから、鋭利さが関係なく、威力が高く、木とか皮でつくれる武器...
この二つの利点はどっちもしなるって事だけど...それだ!
扱い方が難しくなるかもしれないけど、ムチを作ろう。そして、先端に尖らせて、シャイン鉱石と合わせたアラガン鉱石と合わせれば威力も高くて強い武器になるかもしれない。木に水を染み込ませるイメージをして、繊維を引き延ばせばしなりも強くなるだろうし、それを皮で覆えば強度も十分だな。よし、これにしよう。
まずはさっき作ったコップに水を入れ、木を引き伸ばすイメージをするとともに木に水を染み込ませるイメージをする。
床に巻かれながら床に落ちるが、それを持ち上げ、ベルトも外し、皮を柔らかくしながら木のムチに覆うようにして、一体化させる。最後に、シャイン鉱石とアラガン鉱石の合金を矢じりにして、ムチの先端につける。
完成だな。ムチってより、どっかの狩りの武器みたいになったけど、まあいいだろう。そんなに使うことはないと思うからね。
「モルベディングさん、できましたよ。」
「ああ、わかっておる。ずっと見ておったわ。」
そうだったのか。全然気づかなかったわ。集中できてた証拠だな。
俺はモルベディングさんに手渡し、少し離れる。
「どれ、少し振ってみようかの。」
モルベディングさんが端を持って軽くふると、ヒュンと風切り音が聞こえ、地面が少しえぐれた。
「ふむ。使い方は少しばかり難しいようじゃが、武器としては申し分ない。合格じゃ。そこのお友達を排除するのもやめにしておこう。」
ふう。良かった。これで、俺たちはちゃんと戻れる...あれ?最初の約束と微妙に違わない?まあ、俺にとって都合がいいからちょうどいいけど。
「さて、お主に次の試練をやろう。そこに寝転んでみい。」
と言われたため、俺は地面に仰向けになって寝転ぶ。
「何をするんですか?流石にずっと寝転んでたら体が痛くなりそうですが。」
「大丈夫よ。長くても10分ほどで、終わる。」
まあ、10分ぐらいなら別に寝転んでも大丈夫かな?
「お主に与える次の試練は...よいしょっと。」
すると何故か俺の上に寝転んできた。何故に?
「妾を寝かしてみよ。妾が寝て、妾が起きることなく妾を地面に下ろすことがクリア条件じゃ。万が一眠ってしまったら、終わったときに起こして良いぞ。」
...チョットイミガワカラナインデスケド?
いかがでしたでしょうか?今回は蒼汰が色々な試練を受けましたね。試練はどんなものでも試練なんですかね?果たして試練はいくつあるのか?ちゃんと気分次第のようです。
さて、蒼汰は新しく武器を作っていましたが、使う時は来るのでしょうか?そのうち、アリサにでもあげてそうですね。だとしたら、物騒な頭をしてますね(?)
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
それでは、また次回お会いしましょう。