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まずいね。これは。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。

 中は無機質な空間であった。壁は石壁であり、所々に明かりがポツポツとほの暗く光っているだけであった。そこにただただ奥へと下へと続く階段があるのみだった。


 いいね。なんか秘密の何かが隠されてそうな雰囲気じゃん。なんかお宝みたいなのがあるといいけどな。

「なんだ?ここは。困難聞いたこともねえぞ。だが、なんか嫌な予感が...」


なんか、ディガが呟いてるな。まあ、普段なら聞こえなくてもここは足音でさえ鮮明に聞こえるほど響きやすい感じの空間だから、やけに大きく聞こえはしたんだよな。


 そのまましばらく階段を降りていくと、奥に強い光が見え始めた。


 突然の眩しさに顔をしかめるも、そのまま進んだ。


 抜けたところは神秘的な空間だった。


 広い洞窟のような空間に水が壁や天井などから流れおちてきていて、滝のようになっている。なのに、水が流れ落ちる音が全くしない。そして、水そのものが光を発しているかのように空間全体が明るくなっていた。


 俺の周りの地面以外は流れ落ちてきた水であろう水が溜まって湖のようになっていた。


 その奥に何かが眠っていた。そして、そいつの姿と能力を見た途端、背筋が一瞬凍った。


「お、おい、あいつかなりやべえぞ。戻ったほうがいいんじゃねえか?」


どうやらディガも同様だったようで、少し引け気味だ。


「まあ、こういうところはちゃんと装備を整えてからくれば...」


するといきなり後ろからゴゴゴッという音が聞こえた。


 俺たちはパッと後ろを振り返ると、さっき通ってきた階段がなくなり、戻れなくなっていた。


 俺たちは真顔になり、お互いに無言で顔を見合わせると、まずは、ディガが口を開く。


「どどどうする?ソータ。い、一応言っておくが、俺はあいつに勝てるわけなんてないぞ。」


「落ち着きなって。俺もそうだよ。あいつはどうやら1000レベルらしいけど、あれはレベル関係なく勝てないね。」


ディガの顔が絶望に染まったようだった。


「落ち着け。落ち着け。もしかしたら話し合い次第でここから出られるかも...」


「あ、ああ、そうだよな。なにも無理に戦う必要なんて...」


しかし、現実はどうもそんな簡単には行かないようだ。


 俺たちが話し合ってる最中、割り込んでくる声があった。


「お主ら、よくも妾の眠りの邪魔をしてくれたな。大人しく出ていくなら見逃してやっても良いが。」


と。空間そのものに響くような声であった。


 いや、どこから?なんて野暮なことを聞いても意味ないですよね...明らかに俺たち以外には1人...いや、1頭しかないのだから。証拠にディガはそいつの方を向いて固まっているし。


「そもそもその出るための道がなくなったのですが...」


一応敬語で話しかけてみる。(年上かもしれないからね)


 帰ってきた答えは...


「そうであったわ。...少しばかり面倒くさいが、お前たちを排除するとしよう!!」


と、そのドラゴン(・・・・)は起き上がり、少し面倒くさそうにため息をついた。



『えっ?今、モルの気配がしたような...』


 どうしたの?


『ちょっと昔の友だちの気配を感じて...』


 その子も前に言ってた均衡守護者(バランスガーディアン)っていううちの一人?


『そうよ。あたしたちはお互いの場所は何となく分かるけど、誰かまではわからないの。だけど、遠く離れていてもわかる瞬間があってね、それぞれがいるダンジョンの扉が開くと気配が漏れ出すからわかるの。』


 よく分かんないけど、そこに誰かが入ったってことでしょ?見に行かなくていいの?


『...大丈夫でしょ。あの子は負けないし。しかも、あの子はあたしともほぼほぼ互角だったから、よほどの命知らずか、偶然入り口を見つけて入っちゃった人ぐらいしかいないわよ。ま、あの子は睡眠を邪魔されるのが嫌いだから、どっちにしても追い返されるか、やられちゃうかのどっちかしかないわよ。』


 じゃあ、信頼してるってことだね。友達は大切だと思うし。


『...ふふっ、少し前向きになれたわね。やっぱり昨日のことが大きいのかしら?』


 分からない。けど、わたしは少し温かい気持ちになれた。


『そう。これから慣れていけばいいわ。少しずつでもね。それまではあたしがサポートするから。』


 ありがとう。改めてこれからもよろしく。


『!!んんっ、こちらこそ体を借りたりするけど、お願いね。』


 なんで驚いた感じだったの?なにか悪いことでも言っちゃった?


『ううん、そういうことじゃないの。他に理由がゴニョゴニョ...』


 なんて言ってるか聞こえなかったけど...


『ううん、気にしなくていいわ。』


 そう?それならいいけど。...そういえば、今は何をしに行ってるんだっけ?


『少し手伝いで、木を集めてるの。今はソータと一緒に鉱石を集めているらしいけど、ディガって子が、家を改築したり、道具を作ったりするらしいわよ。』


 確かに言ってたなあ。朝はまだ眠かったからちゃんと聞いてなかったけど。


『それでも大丈夫よ。さっき言ったでしょ?あたしがサポートするって。そういうところも含めてね。』


 わたしもできるだけ頼りすぎないようにするけど。


『むしろガンガン頼って...待って、誰か来たみたい。』


 サラさんは立ち止まって、あたりを警戒するようにソータからもらった長剣を腰から抜いて構えてる。


 怪我しないように気をつけてね。


『言われなくてもそのつもりよ。この体に傷は付けないようにするわ。』


 じゃなくて、今攻撃を受けたら痛いのはサラさんでしょ?痛いのは嫌だと思うから気をつけてねってことだよ。


『なんていい子...これは頑張らないとね。』


 そして、サラさんはあたりに向かって、


「そことそことそこに隠れている人、出てきなさい。何をするつもりかは知らないけど、あたしに手出しするって言うならただじゃ返さないわよ!」


 と、カッコよく言っていた。わたしもいつかあんなふうにカッコよくなれるかな?


 ......びっくりした。だって、急に草むらが動いたと思ったらなにか低い声で言ってる怖い人達が出てきたんだもん。


「おい!てめえ、ゼリージのやつにスパイを見つけろって言ってたやつだろ!さっさと捕まえて帝国の奴隷にしてやるぜ!今ならあの男もいねえから楽勝だろ。」


「おいおい、そこは帝国と言わず、『俺たちの』でいいんじゃねえか?」


「そうそう。始末したってことにして俺等が飼ってやろうぜ。」


「ナイスアイディアじゃんか!てなわけだから嬢ちゃん。大人しく俺等についてきたら無事でいさせてやるぜ?」


「心配しなくても可愛がってるやるぜえ?」


『うーわ。きっしょ。』


 どういう意味かはちゃんとはわからないけど、あの男の人達が良くないことを言ってるのだけはわかるよ。

『そうね。ああいう不埒な輩は排除するに限るわ。』


 うん。頑張って。だけど、わたしは血とかは苦手だから見ないようにするけど。


『いいわよ。そこは無理に慣れろとは言わないわよ。ま、今回は血は出さないようにするけど。動物もよってくるしね。』


 ありがとう。


「一応言っておくけど、そんなんで、ハイそうですか。なんて言って付いていくように見えるの?」


「あ?そう見えるからこうやって『提案(・・)』してやってるんだよ。」


「じゃあ、確認するまでもないけど、あなた達は敵ってことよね?」


「ずっとそう言ってんだろ!」


「おい、もうとっ捕まえてやろうぜ。時間がかかりすぎると上に報告するときに怪しまれるぞ。」


「ま、アリバイは大切だからな。いつも通りやろうぜ。」


 その言葉が合図であるかのようにサラさんと怖い男の人達は同時に動いた。


『今は見ないで目をつぶって、音も聞こえないようにしたほうがいいわよ。』


 サラさんがそう言うならそうしとく。


 わたしは周りが見えないように目をつぶって、音が聞こえないように耳をふさいだ。



 さて、やりましょうか。多分もうアリサは目をつぶって耳も塞いだ頃だから早く終わらせちゃお。


 まずは『偽装姿(フェイクフィギュア)』を相手の目に見えるようにしてから、自身の姿を相手から見えないように偽装して、から、目の前にいる男の懐に潜り込み、服を掴んで投げる。そのときに骨が折れるぐらい強く叩きつけることも忘れずに。ベキョッと骨が砕ける音が聞こえたわね。アリサに聞かせなくてよかったわ。


 そして、他の二人がほうけているうちに、炎魔法の形を構築して、網の形に二つ作る。それを二人に向かって飛ばす。


「アチい!何だこれ?火?スキルなのか?」


「い、息が...でき...な...」


 よし。これで完了ね。全員気絶したし、これで大丈夫でしょう。ちょうど、近くに兵士らしき人たちの気配もあることだしね。


「すみませーん、あとはこの人たちをお願い!」


すると、木の上が動き王国の兵士たちがでてきた。


「はあ、流石だな。一応怪しい人物がいたから見張ってたが、お前さんが出てきて、倒しちまうんだもんな。」


「あなた、あたしを知ってるような口調ね。」


「もちろん!あの冒険者の...」


「それ以上あの二つ名で呼んだらただじゃ置かないわよ?」


あのこっ恥ずかしい名前は嫌だからね。


「......はあ、わかったよ。とにかく、怪しい人物の確保に協力してくださり、ありがとうございました。」


「じゃ、あたしは行かないといけないところがあるから、これで失礼するわね。」


 兵士の人はさっき倒した3人を縛っていた。


 じゃああたしもちゃんと木を集めないとね。


 と、その前に、


『アリサ、もう目を開けてもいいわよ』


『もう大丈夫?』


『もう終わったから大丈夫よ。』


『さっきはびっくりした。少し。』


『急に来たら誰でもびっくりするものよ。だから気にする必要はないわよ。』


『うん、ありがとう。…ちょっと申し訳ないね。』


『あんな奴らに申し訳なさなんて感じちゃダメよ。』


『そうじゃなくて、結局あまりわたし自身はあまり表に出てきてないでしょ?たまにわたしが出てきてるフリをサラさんがしてくれてるから。だからソータたちを騙してる感じがして申し訳ないなって。』


『そう思うことも大切なことね。だけど、アリサがまだ難しいっていうならしばらくはまだあたしがやっておくわ。』


『ありがとう。迷惑かけてばっかだけど。』


『じゃあ木を集めましょう』


あたしたちはそのあとしばらく木を探して集める。



 これぐらいあれば足りるんじゃない?


『そうね。そろそろ戻りましょう。』


 早く帰ってリーズたちをモフモフしたい。


『それなら戻りましょうか。』


 

 着いたね。


『なんか焦げ臭い匂いがする気が...』


 あ、ホントだ。って、匂いがするのあっちのソータがなんか爆発させた場所じゃん。急いで見に行ってみよ!もしかしたらレサさんかロサさんが間違って触って爆発させちゃったのかも


『可能性はあるわね。それじゃ言ってみましょ。』


 

 しかし、わたし達は気づいていなかった。この選択が間違っていたことを。何に巻き込まれるかなんて考えもせずに...



 いかがでしたでしょうか?今回は珍しくもアリササイドで書かせてもらいました。というか、初めてですね。そして、蒼汰もとい、ソータたちはどうなるのでしょうか。次回以降書いていこうと思います。


 どれぐらいになるかの予想がつかないのが少し心配ですが...楽しみにしていただけると幸いです。

 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。

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