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それは大変ですね。頑張ってくだ......ええ!?

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。

 門番さんに手紙を見せると、中に入れてくれた。


 一応、アリサには訝しそうな顔はしてたが、問題がないって判断したようだ。.....ちなみに、1週間前の門番さんとは違う人だ。中を案内してくれるそう。


 城の中に入ると、前と同じように権力を示すための物は多少あるが、それ以外に派手なものはない。まあ、俺の記憶通りなら少し廊下の装飾が増えてるんだよなあ。


 特に、あの地下へつながる階段があった場所。そこに明らか不自然に彫像が置かれている。反対側にも同じく彫像が置かれてるから何かが隠れてるって思いはしにくいけどな。


 にしても、あの彫像、どう見ても『ミロのヴィーナス』と『考える人』だったんだが......別だな。うん。ただただ感性が似てるだけかもしんないし。シュールでしかなかったが。


 俺が彫刻に気を取られているうちにいつの間にかゼリージさんがいるだろう、部屋の大きな扉の前に来ていた。


 門番さんが扉をノックし、


「失礼します。ソータ殿がご到着なられました。通してもよろしいでしょうか?」


と叫んで....言っていた。


 すると中からくぐもった声で


「よい、通せ。」


と聞こえてきた。


 はい、そうすると.....扉が開いていきますね。門番さんの力によって。


 あれ?ゼリージさん、なんかちょっと目の下にクマできてない?色々と大変なのかな?


 俺たちは門番さんに促され、部屋の中に入る。今思い出したが謁見室みたいな感じの名前だった気がする。...正直、どう呼ぼうがあまり関係ないか.....な?


 まあまあ、ゼリージさんが話し始めたから聞こうじゃないか。(なぜに上から目線?)


「ソータよ。久しぶりだな。それと、横にいるお嬢さんは......確か報告にあった、『蒼紅ノ炎躍花あおぐれないのえんやくか』って呼ばれてるお嬢さんか?」


「ええと、そうですゼリージ王。だけど、あたしにはあたしの名前があるから、ちゃんと名前で呼んでほしいです。」


周りの兵士たちが軽く殺気立った気がしたが、気のせいか?


「よい。むしろ、慣れない言葉を使って無礼になるよりはよかろう。それで、お嬢さんの名前は何かな?」


あ、やっぱそうだったわ。ゼリージさんが目で止めてるし。


「私の名前は『アリサ』って言います。よろしくお願いします。」


「うむ、アリサだな。覚えたぞ。そなたもソータと同じように楽な態度でよいぞ。それこそ敬語など使わんでもな。」


なぜ、『敬語など使わんでも』の所で俺の方をちらって見たかを聞くのは無粋ですよね。使う必要はないってことですね。だがあえて...というかシンプルにけっこう歳離れてるだろうし、こんな、いかついひげ面のおっさんをため口で話せるかってなると無理です。はい。


 だってさ、考えてもみ?学校で言うと校長に大勢の先生の前でため口で話すようなもんやで?無理やろ?


 ってなわけで俺はいつも通りに話しますよっと。と言ってもちゃんとした敬語かって言われたらそうでもないと思うが。


 っと、そういえば何でゼリージさんは疲れてる感じなんだろう?


「ところで、疲れてる感じですけど、何か忙しいんですか?」


「ん?ああ、バレておったか。隠してるつもりもなかったがな。最近、国内で色々と問題が起こっていてな...それらの対応日々追われてるのだよ。」


「問題って...どんなことが起こってるのですか?」


「......すまんな、話すことはできない。国家機密に関わってくることだからな。」


「そうですか...分かりました。」


すると、アリサが急に


「国の王様をやることって難しいの?それとも忙しい?」


と質問をしていた。まあ、何でそんな質問をしたのかは謎だが、確かに気になるとこはある。


「ふむ。難しくはあるな。一国を統べる主なのだから、威厳を保たなければなるまいしのう。それに、ただここでふんぞり返っているわけではなく、家臣たちの悩みを聞いたり、時には書類仕事をしたりせねばならんのだ。ただ...」


「最近は問題が色々起こって忙しくしているってことね。」


「ああそうだ。普段の3倍ぐらいは量が多くてな...どうにもこうにも家臣たちだけでは手に負えんくてのう。ワシもやっているのだが、どうも書類仕事は血に合わないようだからな。遅くまでやっているのだよ。


 それとな、この前気が付いたのだが、この国に、もっと言うなれば、この場内にどうやら敵対国のスパイがいるそうだ。そいつを捕らえられればその敵対国の弱みを握れるやもしれん。怪しい人物がいたら教えてくれ。お二人さんには迷惑かけるがの。引き換えに今度、他国の情報をいくつかやろう。」


えっ、そんな大きい声で言って大丈夫なの?というか、チラチラこっちに目配せしてるのは....


「...それでは本題に入ろうじゃないか?」


無理やり話を変えたなあ。こっから導き出せるゼリージさんの意図は....一旦話を合わせておくか。


「ええと、確か...『ラークライド騒動』を収めたことに対する報酬でしたよね?」


「ああ、この件はまだ正確なことは知らんからな。お前さんの口からききたいのだ。この国誰よりも“お前さんのほうが”知っているだろうし、解決した張本人でもあるしな。スキルを持っていないと無理な所業だが。...だがまあ、その件についてはまた今度にしようじゃないか。」


あ~やっぱそうだ。絶対内通者を押し付けようとしてるな。


 多分、あえてここでの会話を聞いてるであろう、内通者に聞こえる声で、俺の情報を開示し、勧誘なり、排除するなり動くとみて言っているな。まあ、あくまで小説的に考えるのであればだけど。正しいと考えて行動してみよ。


「それでは、俺の家に来てくれる技術者の件を...」


「まあ焦るな。その件についてはもう決まっておる。3人ほど雇わせよう。だがなあ、全員肝っ玉は座っていて、腕は確かなんだが...少々問題児でな、まあどうにかなるだろうから、頑張ってくれ。」


 いや、ちょっと待って?ものすごいナチュナルに問題児を押し付けてきたんだが。...よく考えたら、いやよく考えんでも普通か。そもそも一つ問題を解決したぐらいで完璧な職人を雇わせてくれるとは思えないし、そんな職人がいるなら先にここで雇ってるか。それでも大分異例な方だとは思うが。


「ありがとうございます。俺としても人手が増えてくれると助かります。」


「して、ソータよ。そやつらの働くことのできる環境はできておるのか?」


「......あっと、そういえば環境は出来てないです...一応、住める場所は用意してはいますけど...」


「ならよい。まあ、あやつらが満足するかは分からんがな。材料さえあればいくらでも改良するだろうしな。その時は余程でもない限りは見守っておいてくれ。」


「分かりました。覚えておきます。」


「それとな、少しこっちへ来てくれ。そこのお嬢さんも一緒に...」


どうしたんだろ?何か聞かれたらまずいことでもあるのかな?


 俺たちはゼリージさんに近寄る。


「......小さい声で言わなければならないことだが、お嬢さんの事情は知らんが、もしも危ない状況になったらワシを頼ってくれ。お嬢さんは何かと問題に巻き込まれそうだからな。もしも国がらみならワシが力になろう。」


ちょい待て。意図が全く分からないのだが。


「どういうことよ?」


良かった。代わりにアリサが聞いてくれた。まあ、本人からしてもいきなりこんなこと言われたら気になるわな。


「いや、お嬢さんには悪いと思ったが、少しスキルを使ってみたのだよ。まあ、危険因子の発見につながるからそこは許してくれ。そこでお嬢さんのことを見てな。ワシは差別するのには反対派なのだよ。


 だがのう、それを公にしてしまうとワシも立場が危ないのだよ。だから陰からでもトラブルには協力してやろうと思ってな。」


それを聞いたアリサは訝しそうな顔になり、


「だとしても、何でそんなに協力的なのかしら?」


と聞いていた。


 普通に考えていくら差別と言っちゃあ悪いが、それがないとしてもここまで協力するのはおかしいもんな。


「なあに、少し昔のことを思い出したのだよ。」


「昔のこと?」


「ああ、あれはまだワシが年端もいかないガキだったころの話だ。


 ワシは何度も城を抜け出して国の外に出て遊んでいた時があったのだが、ある時、何を血迷ったのか、父上と母上に絶対に入るなと言われてたロームの森に足を踏み入れてしまったのだ。


 その時はあそこに門番などいなかったからな。この件があって門番と見張りがいるのだよ。


 ロームの森に入ったワシは当然動物に襲われたのだ。


 もちろん、そんな殺意の塊の前に逃げることも、それどころか身じろぎすらもできんでいてな、そこにとある人が助けてくれたのだ。その人は偶然ロームの森で狩りをしていたところだったらしい。

 その人はワシに家に戻るように言うと颯爽と去っていったのだ。


 その人はエルフの女性であった。ワシはな、小さいながらその女性に憧れを抱き、特に武道に励み、今ほどの実力になったわけだが。


 一応、何度もロームの森に一人でいったりしたのだが、それ以降、会うことはなかったのだよ。だから、少しでも恩返しになるようにと、ワシはそんな人たちがいたら協力してやろうと決めていたのだよ。

 こんな理由ではダメかね?」


はえ~そんなことがねえ...だから手助けしたいってこと...


「...まあ別に構わないけど...せめてどんなスキルで見たのかぐらいは教えてほしいわね。じゃないとフェアじゃないでしょう?」


確かに。ナイスだ!...まあ、俺は聞かなくても知ろうと思えばいつでも知れるが。


「...はあ。確かにそうだな。なあに、『種族検索(レースサーチ)』という機能を使っただけだよ。どんな種族かを調べることができるだけの機能だ。」


 ねるほどねるほど。俺のスキルと似てる感じかな?だとしてもアリサの場合はエラーとかになったけどなあ。


 あ、一度試してみました。スキルがどうお互い干渉しあうかを調べてるときにね。


 逆か。エラーになったからこそ、分かったって感じか。どの種族のハーフかは分からないけど。


 ...今更だが、この辺だけだろうか?シルグとガルジェといい、アリサと言い、ゼリージさんと言い、他の種族の方々に助けてもらい過ぎじゃね?(一応、固有スキルとかは違うっぽいから種族は別として考えてる。)まあ、あくまでもいがみ合ってない方が少数派らしいし、珍しいっぽいんよな。


 そもそも、その通りがかったエルフの女性もゼリージさんを助けた理由も不明だし。ただの親切心と考えるのが一番妥当だが。


「ほれ、これ以上は言えんぞい。スキルを明かすのは自分の弱みをさらすのと一緒だからな。そろそろ、あ奴らも待ちくたびれているころだから、言ってやれ。

 案内は...」


そう言って扉の近くの兵士を呼び寄せ、俺たちにその雇う人たちが待機しているであろう部屋に案内した。その際、


「頼んだぞ。ソータよ。」


と聞こえたのだが、明らかに複数の意味持ってるな。これは。


 兵士さんに案内され、ドアを開けると...

「アヅあ!?」

 開けると、物理的な視線が突き刺さり、足元になぜか完全武装されている小さい土の城があった。




 さて、ああは伝えたものの、ソータやあのアリサとかいう嬢ちゃんも信用しきれていないのも事実だ。だが、あの様子を見ている限り、ソータは確実に他国の手は入っていない。


 ワシとて、もう大分国の長をやっているのだ。そこら辺の感覚には敏感なのだ。


 兎にも角にもあやつに賽は託したのだ。



 ワシもワシで警戒しておくことに越したことはなかろう。


 一応、裏切りを促止する為にあの条件を提示したが、正直、分からん。


 ...はあ。厄介だのう。いくら誰が内通者かは検討が付くか分かるとはいえ、疑心暗鬼になってしまうのは面倒であるな。


 今はまだ気が付かないふりでよかろう。ワシが一番信用できる奴をいっちゃん怪しいやつに護衛という名目で監視をつけておるからな。


 何か動きがあれば報告もするように伝えてあるし、警戒しながら仕事をこなすとするかのう。


 

 いかがでしたでしょうか?今回は蒼汰がゼリージさんの所を訪れ、家で雇うための職人たちを紹介していましたね。蒼汰は厄介ごとをいくつか押し付けられたようですが、対応していけるのでしょうか?

 

 どうなるかは....自分もまだ知りません。

 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 それでは、また次回お会いしましょう。

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