お~いみんな~戻ってきたぞ~
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
みんなの目が完全に覚めた後、(まだバッシー・ゴッシーペアとシルグは寝ぼけてるが)リーズとファイガとビーンとアドルとラク・ラドに一気にとびかかられた。
そして、みんな口々に言っていたが、聴き取れず、アドルの声が一番低かったから辛うじて聞こえたことが
「おかえり!ノーサ!早速で悪いんだが....腹が減ったから飯を作ってくれ!」
とのことだった。
というか、今ファイガもしゃべんなかった?その前に....
「とりあえず、みんな、いったん落ち着いて。その前に言いたいことがあるんだ。」
.....また一斉にしゃべり始めたよ。分からん。
「ちょっと待って。言いたいことがあるのは分かるけど、そんなに一気に喋られても俺は聞き取れないからね。」
一応静かになったな。俺が言いたいことはもちろんアリサのこともだが、
「みんな、ただいま。」
「「「「「「「おかえり~」」」」」」」
「おかえり。蒼汰。」
「おか...おかえ..り、そう、た」
うん。そうだなあ。確実にファイガ君喋ったなあ。まだ言葉は拙いけど。
そしてライアの顔はファイガがしゃべれるようになったことに対する感動の様子が、そして、早く自慢したいという様子が見て取れた。
まあまあ、そこはスルーしておいて、
「それと、ここに新しく人が来るんだ。仲良くしてやってくれ。今は...おっ、そこの窓際にいるけど....どうする?アリサ?自分で出てくるか?ここにいるほとんどは気が付いてるみたいだよ。」
と呼びかけると、アリサが姿を現した。
「はあ。出てくるわよ。もう。一応襲われないか不安で警戒してたんだけど、ソータの様子を見てる限りは大丈夫そうね。でも、どうやってソータは気が付いたの?動物たちは匂いとかで分かるからいいとしても...」
「まあね。でもそれを答える前にみんなに自己紹介してほしい。みんなが疑問顔でずっといるから。」
そう。ガルジェ以外はみんな、『何で部屋の中に人間がいるんだ?』となっていたからだ。
そして、みんなに見つめられてることに気が付いたのか、アリサは
「わかった!わかったから!みんな一斉に見つめないで!視線に緊張するから!ソータ以外のみんながなにが言いたいのかはわかんないけど!鳴き声にしか聞こえないけど!」
と、お目目をぐるぐるしていた。だがそれでもみんなはじーっ。
アリサは気を取り直すようにゴホンと咳払いをして、
「あたしの名前はアリサ。今日からここに住むことになったからよろしくね!」
確かに明るく挨拶しているが.....
俺はこそっとアリサに
『アリサ?ちゃんと説明した方がいいんじゃないか?まずここのみんなに説明しないと、自分自身がまた心を開けなくなるよ。』
そう耳打ちした。
「はあ。仕方ないわね。わたしはまだちょっと怖いけど....」
アリサは指をパチンと鳴らした。
そして、髪をかき分けた。そして、なにやらそわそわしていた。
みんなの目の色が好奇と興味と疑問に変わった。
「意味を理解できるかは分からないけど....あたしはこの通り、『エルフ』と『鬼』の特徴を併せ持っているわ。....これはソータにも言っていなかったけれど、『エルフ』は耳がとてもいいっていう特性があって、『鬼』は能力を数段あげる能力があるの。それをわたしは持っているよ。
あと、わたしだけかもしれないけど.....1レベルが上がるごとにプラス1レベルが上がるっていうのがあるの。
簡単に言うと、普通の人がレベルが1上がるとき、わたしはレベルが2上がるってこと。」
これは....俺とライアぐらいしかわからん内容だな。.....というか、聞いた感じだと、アリサが言った能力は、固有スキルっぽいな。動物以外にもあったんだな。
というか、最後にアリサが言った奴は結構チート能力だぞ?
その後もアリサはなんでここに来たのかなどを説明していた。
一通り話し終わった後、アリサが視線で「みんな意味わかってる?」と聞いてきた。
「俺とライアぐらいしかわかってないな.....ああ、ライアはここにいるキャジェルの事ね。」
と俺はライアを示す。と、そこでライアが何やらつぶやいていた。
「それにしても、興味深いな。スキルではないのに強力な能力.....蒼汰。このことはここ以外で口外するなよ?何が起こるか分からん。」
「もちろん。というか、ここに戻る前に....というか昨日問題も起こったけどね。」
「まあ、町の中よりは安全だろう。そこも考えて連れてきたのだな。」
いや、そんなつもりは最初はなかったよ?シンプルに誰かしらと触れ合ってもらうためだったんだけど。
と、俺たちがそんな会話をしていると、
「ねえ、ソータ。この子たち触ってみてもいい?さっきから触ってみたくてうずうずしてるの。」
なるほど。さっきからそわそわしてた理由はそれか。
みんなは一様に「いいよ。」「いいぜ。」と言っている。
「いいらしいぞ。だけど.....あまり強くし過ぎるなよ?」
「わかった。」
といって、速攻で触り心地を確かめたり、それぞれに感想を言ったりしたりしていた。そして、顔がゆるゆるになっていた。
あれ?さっきみたいな速さではなかったな。
「アリサ?そのままでいいんだが....さっきガルジェを触った時はとてつもない速さで移動してたよな?ガルジェをなでいたのって、もしかして偽装して見せてた幻影?だったのか?」
「ん~、まあそうだけど....正確には偽装して姿が見えない状態で触ってたけどね。あの時からすり替わってたわ。偽装と言えば....なんでソータは窓際にわたしがいるって気が付いたの?」
「それはな.....俺のスキルの一つに相手の能力を見れるっていうものがあってな、それを使って360度見まわしてみたらちょうどアリサの名前が出てきたから分かったってこと。」
「それは....盲点だった。どこまで『偽装』が通じるのかは分からないけど...これは実験だとでも思っておいて。」
「いつから実験が始まってたのかが気になるが...分かった。そのかわり、俺がやっても文句は言うなよ?」
「わかった。」
うん。言質は取った。あとでなんか言ってきても聞かないからな。俺は相手が子供だろうが、大人げなく接するときもある。それが本当にそうするかは知らんけど。というか、俺もまだ子供判定だけどな。
アホなことを考えていた俺だが、そろそろ飯を作らないといけなくなった。みんながずっとお腹が空いたと言ってるからな。肉は.....買ってきたやつでいいか。
アリサにはとりあえず、みんなで待っておいてと伝えて俺は飯を作る。
さて、まずは...このポルック肉でいいだろ。何作るかだよなあ。明日やろうとは思うけど、調味料類の味も確かめないとなあ。
味が分からないものを作るわけにもいかないので、シンプルな味付けなんだけど....チキンステーキ....この場合はネギステーキ....わけわからん!もうポルックステーキでいいわ。やっぱ見た目、完全にネギなんだよな....しかも長ネギ。だけど、持った感じが普通に肉なんだよなあ。
まあ、筋の向きが分かりやすいから、筋を切って、切れ込みを入れるのは簡単で、そこは助かる。スキルを使って調理するからそんなことはほとんど関係ないけど。
一応、多めには買ってきたけど....足りるかな?....まあまあ、野菜も多めに付け足しとけばいいか。
中には匂いが柑橘系のものもあったから、肉に合うタイプの味のもあると思う。そこは今、味を確かめてみよう。
さて、始まりました。第一回見た目と匂いを確かめてどんな食材かを名前も確かめようのコーナー!
本日は特別ゲストで私蒼汰と、リーズさんをお呼びしております。それではどうぞ!
俺はとりあえずリーズを呼び、そこにある野菜・果物の名前をすべて教えてもらった。
さて、残りは引き継ぎますね。まずは....こちらの野菜....
「キュウピ」です。はい。ふざけてんのかって思いますよね?そうじゃないんです!こちらを見てください!見た目はキュウリですね。切れば中までキュウリです。
そしてここからが普通のキュウリと違うんですよ。そのまま食べられると思ってね、切った分を食べてみたんですよ。すると、口の中に広がるのは強烈な苦み。青臭さとやさい特有のアクの味。はい、そうです。
味がピーマンでした。キュウリとピーマンで「キュウピ」ということでしょうか!?どうでもいいです。はい。面白くもないですねー。はい。
さて、続いては.....こちらの「ルェモン」です。これは名前を聞いてピンと来た人がいたのではないでしょうか?そうです。こいつの見た目はレモンです。緑色のレモンです。名前の付け方が「トメイト」と同じ感じのレモンです。ちゃんと中身とにおいまでレモンです。
完全にレモンなもんでかじるのは気が引けます。なので、少し絞ってスプーンで果汁をすくって口に含む。まんまレモンの味です!
これの判定やいかに!?
はい。レモンです。名前は少し違うけど、「自分は全てがレモンだ!これだけは譲らん!」とでも言わんばかりのレモン加減ですねえ。
.......なにやってんだろ。最初に関しては『特別ゲスト』って、一回目で、これからも出るんだったら、特別ゲスト違うがな。
こうして急に我に返ったわけだけど、ちゃんとそのあとも確認したよ。流石に5種類ぐらいにしといたけど。
んじゃあ、とりあえず、レモンを(言いにくいからレモン)器に絞って、肉に火を通して、その後温め、野菜を切り、もしくはほぐし、皿に盛りつける。ちゃんと火は通したで。
ええと、何で野菜をほぐす必要があるって?んなモン「モロコラ」があったからに決まってんだろ。...分かるわけない。ちなみに、「モロコラ」というのは元々の見た目が筋子で...要は中にいくらが入ってて、味がトウモロコシだったのだ。
いや、確かにどっちも粒だけどね?一つ一つとるのがめんどくさいっていう共通点もあるけどね?さすがに他の野菜と一緒に置かれてたのには驚いたね。うん。
....逆に鮭にはトウモロコシの形の卵でも入ってたりして。ないか。見た目と味の規則性なんてないしな。
一通り言えたことで一安心。(安心する要素は?)皿を机に持って行き、みんなにできたことを伝える。
「みんな~、飯出来たぞ~。」
まあそうすれば例のごとく、すぐそこに今日はいたとはいえ、ドタバタとしながら来た。その様子にアリサはわずかに、驚いてる様子である。
俺たちはみんなが定位置に着いたのを見ると、食べ始めた。
.....そろそろゆっくりよく噛んで食べるように言うべきだろうか?一瞬で消えていくんだが。
すでにアドルとリーズ、ファイガは他の人のを食べたそうに見てるし。
「リーズ、アドル、ファイガ?君たちはちゃんとよく噛んで食べようね?じゃないと、のどに詰まったりして命に関わる事になる可能性があるから。」
「それは...すまん。ギョーシャ」
「わかった....気を付けるね。」
「わ、、かった?」
若干ファイガが理解してるのかが分かりにくいが、まあ大丈夫だろう。(アドルはまたしても名前を間違ってるが。)あ、あと、
「それと、よく噛んで食べると、少しの量でもたくさんの満足感を得られることができるらしいぞ?」
「そうなのか!なら、そっちの方が得じゃねえか!」
いや、得とかそういう問題ではないけどな。
「ねえ、蒼汰さん、ちょっと言いたいことがあるんだけどいいかな?」
唐突だな、ガルジェさん。
「別にいいけど.....どうしたの?」
すると、ガルジェは人の姿になり、
「これから私も料理の手伝いをしてもいい?まだ火とかは慣れてないけど....それでも、蒼汰さんが出かけてる時とかには味気ないままのご飯は嫌なの。今日改めて思ったから、言っておきたかった。いいかな?」
「いいけど.....まずは調理より先に包丁の使い方からになるけど、いいか?」
「うん。ありがとう。」
「ちなみに、そんなすぐに教えるのは難しいかもしれないぞ?」
「えっ?何で?」
「この世界の調味料類と食材の味をちゃんと知らないからだよ。そこを知ってからじゃないと教える側には俺はまだなれない。」
「そうなの....」
「とはいっても明日中にはそこら辺の確認は終わらす予定だから、明後日には教えられるとは思うぞ。」
「『アサッテ』って、何?」
もしや、知らんのか?いや、シンプルに文字が違うから伝わらないってこともあるな。
「要は、明日のそのまた明日....2日後のことだよ。」
一応納得はしてくれたみたいだ。それと...
「ソータ、火加減のことはあたしに任せて!あたしは火加減のことは完ぺきに分かるから、ソータよりも上手いよ!」
本当か?そこはあとでまた自分の目で確認しよ。
「まあ、確認してその出来栄え次第かな....」
「あたしがやるって言ってるんだから、いいじゃん!」
「それでも不安なものは不安なの!オーケー?」
そこでアリサは一応納得したのか
「分かったわよ。もう。」
と言った後、
「それにしても、ごく自然に話が進んでいて、わたしは言わなかったけど、さっき、『この世界の調味料類と食材の味』って言ったよね?もう一つの世界があるみたいな言い方だったけど、どういうことなの?ソータ。」
あっと....もしかしたら、言わない方がいい情報をポロっと出したっぽいな。これ。
さて、どうしたもんかなあ?正直に言ったところで何言ってんだこいつ?ってなりそうだし.....
色々考えた結果....別に隠してもしゃあないか。という結論に至った。だってさ、別にそれを明かしたことによってなんか災いが降りかかるなら、言わないけど、神様たちにもなんも言われてないから、大丈夫だろ。
「まあ確かにそうだよ。俺は別の世界の『日本』という国から来た。」
どんな反応してるかな?
アリサを見てみると、予想通りと言えば予想通りだが、明らかに『大丈夫か?頭でも打ったのか?』的な含みのある訝しそうな顔をされていた。.....地味に心に来るからやめて....そうでもないが。
「えっ?なに?妄想の話じゃないよね?それともふざけてる?」
「いやいやいや、俺は至って正常だよ。ふざけてもない。」
「それなら、ちょっと町の治療所に行きましょう。そうすればその妄想も治るわよ。」
ひどすぎん?これはさすがに心に来たんだが。本気の目してるし。
っていうかさ、
「その話は一旦置いといて、」
「置いとかなくていいわよ!」
「まあ、いいから聞いて。」
「何?」
「ちょっと気になったんだけど、なんで『日本』から来たって言ったことには反応したのに、その存在は知ってるみたいだったけど、どういうことだ?」
その質問をすると、アリサは即座に答えた。
「結構マイナーな話になるけど、とある物語の一つに『日本』がでてくるから。そこから来たなんて信じられない。だって、あくまでも空想上の話だから。」
その言葉に俺はまた一つ疑問が増えてしまったのであった.....
いかがでしたでしょうか?今回は久々に動物たちのみんなが出てきましたね。一日町に泊まっただけですよ?だけど、はい、蒼汰がいない間ずっと動物たちがどんな会話してたのかが気になってる僕なんですけども。
書き忘れてましたが、これからもちょこちょこ番外編を書いていこうと思いますので、出来ればタイミング等はあまり気にしないでいただけると助かります。ちなみに、二章の終わりはもうそろです。多分。
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
それでは、また次回お会いしましょう。




