いったい、どうすればいいんだ!
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
俺はアリサが捕らえられているという場所にやってきた。
そこは........王城である。
俺はゼリージさんがかかわっている可能性もあることを考えると、もどかしいというか、落ち着かないというか、要は複雑なんだよ。
はあ。アリサにあんなに偉そうに言った俺が一度信じようをした人を疑うなんてな.....だけど、今回ばかりは仕方がないと言えると思う。それに、まだゼリージさんがかかわっていると決まったわけじゃないし。
だけど王城の地下ってことだから、疑いが晴れたとも言えないし....
とにかく、行ってみるしかない!
俺は王城の門に向かう途中で当たり前のことに気が付いた。
それは、見張りがいるのにこんな明け方に真正面から入ろうとするのは自ら捕まりに行くようなものだ。だから...「気配消滅」のスキルを使うか....弱くなるらしいけど、ゆうても見つからなければいいってことだろ?
『フェーズ5』。俺は心の中でそう唱え、周りから見てどんな感じなのかは分からなかった。
しかし、アリサを見つけ出すためにも迷っている暇はない。だから、俺は城壁を飛び越え、急いで城の中の空いている場所を探した。
そして、ゼリージさんが寝ているところの窓が開いてることに気が付いた。
俺はこっそり音をできるだけ立てないように中に入り、ドアをそっと開け、廊下に出た。
途中でゼリージさんが寝言で
「おい、ソシル!$#¥%や&%”#くれといっ&$¥%」
と言っていた時は心臓が止まるかと思ったね。あれは。
廊下は昼間に来た時とは打って変わり、不気味な雰囲気が漂っていた。
しかし、今はそんなことに気を取られている場合でもないので、さっさと地下に続く階段を中を歩き回りながら探す。
しばらく観察しているうちに床のカーペットが一部乱れている部分があった。
そこをめくってみると、案の定、何かの鉱石で作られた謎のドアがあった。
開けようとしても、もちろんあかないのでさっきと同じく木とテコを使ってドアをこじ開けた。
こじ開けると、奥に闇が広がる下へと続く階段が出てきたので、俺はためらいもなく階段を下り始めた。
しばらく降りていると、なにやら広いところに出てきた。しかもそこは無機質な印象でありながら怪しい雰囲気を纏っている。俺はそのまま、明かりがついてる所に行った。
念のためこっそりのぞいてみると、アリサがいた。しかし、鎖で宙に貼り付けのようにされ、いたるところには傷があり、頭から出血もしていた。そして、近くには白衣のようなものを着た誰かがおり、そいつはアリサが苦しそうに呻いてるのを聞き、さらに顔を愉悦に浸らせ、さらに鎖でアリサを痛めつけていた。
「おいおい、そんなもんか?『混血種』なのに、こんなものにも対処できないのか?思っていたより大したことないんだな。痛いか?苦しいか?もっとわめけ。もっと僕を喜ばせろ。それだけがお前ら「魔獣人族」が生きる価値だぁ!」
そんな状態でも、アリサは必死に言葉を紡いでいた。
「そんなことない!あなたたちが勝手に差別してる「魔獣人族」は普通の人と同じ生き方をしているだけなのに、なんで、虐げられないといけないのよ!」
「ああ!?勝手にしゃべってんじゃねえ!どうせ、お前のことをよく思ってる人間なんていねえよ!」
そいつはそういってさらに強くアリサを傷つける。
さすがに俺でも見ていられないと思い、飛び出そうとしたが、なぜか足が動かなかった。ここまでに来る途中で疲弊したからだろうか?
いや、違う。俺の足が動かないのは恐怖、不安、恐れがあるからだ。さっきまではアリサが必ず無事だと思っていたから、大丈夫だった。だけど、いつもうまくいくとは限らない。今回のように。それを考えずに不安を抱くどころか、むしろ、今回も大丈夫だろう。と、油断していた。
助けると言っておきながら、こんなざまだ。こんな事じゃ、アリサも.....
「そんなことない!あたしには、わたしには必ずこういうことになっても助けてくれるっていう優しい人がいるの!だから、その人が来るまであたしは絶対にあきらめない!」
「うるせえ!そんなのはいねえよ!今も俺以外に誰もいねえだろうが!」
そして、そいつはさらに攻撃の回数を増やす。そして、アリサは打ち所が悪かったのか、意識を失ったのか、首が垂れ、ぐったりしてしまった。
ええい!俺は何をしているんだ!俺が恐怖しようと、不安になろうと、恐れがあろうと、誰よりも一番怖いアリサが頑張っているんだ!アリサにあんなに偉そうに言ったのに、俺の方が心が弱えじゃねえか!たった12歳の子がここまで頑張っているんだ!俺が守ると言ったんだ!俺はその責任を果たす義務がある!こんな自分の気持ちとかそんなくだらないことで悩んでないで、さっさと行くんだ!
俺は固く誓った約束を絶対に果たす!今ここで俺のポリシーを上書きする!そして、恐怖、不安、恐れの感情が消えた今、俺の中に残っているのは今までに2度ほどしか感じたことのないほどの、とてつもない怒りだった。
よし、行くぞ。まずは「気配消滅」のスキル、「不意打ち」を使う。しかし、人を殺すのはさすがにまずそうなので、木の棒を死ぬほど固く圧縮し、近くに置いてあったフラスコをスキルで加工し、先端に付けた。
これなら、少なくとも、気絶はするだろう。そして、俺はそいつに後ろから近づき、一発で仕留められた。....はずだった...
なんと、そいつは俺の存在に気が付いていたようで、鎖がまるで蛇であるかのように動き、そいつの体を守っていた。しかも、驚くべきはそいつは自分の手を使っていなかったのだ!
俺はすぐさま距離を取り、『フェーズ1』と心で唱える。やるからには全力で行くという意思をもって。そして、そいつはゆっくりと俺の方を向き、
「おやおや?誰か入り込んでいたようですねぇ。もしや、この子を助けに来たつもりでしょうか?」
と問いかけてきた。
俺はその問いかけに対し、
「もちろんだ。お前みたいに人を虐げるような奴にさらわれたんでな。だから助けに来たんだ。」
俺がそういうと、そいつは顔をみるみる赤くし、
「ふざけんなよ!なに?正義面してんのか?はいはい、かっこいいですね!そこまでして助けたいのには何か理由でもあるんですかねぇ!」
俺は迷いもせず答える。
「理由?んなもん、あの子と約束したからに決まってんだろうが!そして、あいつはこれからは俺の家族だ!だから、返してもらう。」
「へぇ。そこまで言っちゃうんだ。ならいいよ。僕のおもちゃは君に返すよ。二人まとめてあの世でなぁ!」
と。その言葉でお互い同時に動き出した。
俺はナイフを逆手に持ち、木の棒を盾にして構えるというなんとも不格好な姿勢をしている。
それに対し、そいつは鎖を腕に絡みつけるようにして持っていた。今にもこっちに鎖を投げてきそうだ。
しかも、今回はラークライドの時と違って人と戦うのだ。武器も使って。
一応、相手の実力を見ておくか。名前とかはどうでもいいから、持っているスキルと、レベルだけ見てみる。
“レベル 897
スキル・『操鎖術・解放済み機能 鎖操作・鎖の威力強化・鎖の耐久力強化・疑似鎖生成』”
大分ダルそうだな。それでも、いち早くアリサを救って、『回復粉』を.....
宿にあるやんけ!だったら、なおさら早くアリサを連れて行かないと。四の五の言ってる暇はないんだ!
そんなわけで、俺はすばやくそいつに向かっていき、まず、そいつの鎖を切ろうとする。
しかし、それを、はいそうですか。と待っているはずもなく、俺がそいつの所にたどり着く前にそいつは鎖を飛ばしてきた。
「はっはぁ!いいのか?そんな風に突っ込んできて。俺はスキル持ちだぁ。お前のような奴には負けねえんだ....よ?」
そいつの語尾がだんだんすぼんでいく。その理由は....もちろん、俺にある。
何をしたかというと、俺はそいつが飛ばしてきたその鎖をどんどん切り捨てながら進んでいるためだ。
「ふざけんなよ!僕の鎖を切るなんてどんな武器なんだよ!おかしいだろ!こっちは最大強化状態だぞ!」
「いや、そっちがキレんなよ。一体いつ、お前の鎖の方が強いって言った?あ、ちなみに俺の武器は自作の奴だからな。」
俺はそう答えながら、鎖を切りながら、時によけながら、そいつに近づいていく。
「そんな....お前はまさかとは思うが、あれだろ!有名な鍛冶師の見習いとかだろ!じゃないと、自分で作るのなんて不可能だ!」
俺はその物言いに腹が立ってきた。アリサのことを気にもせず、自分が不利になれば、少しでも時間を稼ごうと、勝手な妄想で相手のことを言うからだ。そりゃ、そいつの物言いは一般的に見たら、正しいのかもしれない。だけど、今は関係ない。なので、俺は速攻でけりをつけようと思い、さらに仕掛ける。もちろん、そいつの問いにも答えながら。
「勝手に決めつけて、勝手に納得すんなよ。典型的な敵モブじゃねえか。俺は鍛冶については完全な素人だからな?戦いの方も。」
「じゃ、じゃあ、なんでそんなに恐れることもせず、立ち向かえるんだよ!お前は僕より弱いんじゃないのか!」
「知らんわ。少なくともレベルではお前には勝っているぞ。それと、恐れもせずにこれる理由?さっき言ったとおり、約束を果たすためだ!恐れていても何もできないし、だれかとの約束を果たすこともできない。そんな理由でも俺の心が動くには十分だ。だから言わせてもらうぞ。」
そういった時にはもう、そいつの目の前にナイフを突きつけていた。
「今から俺の家族になるやつをこんなに傷つけたんだ。こんなんじゃ足りないが、てめぇ一発殴らせろ。」
と。
そして、そいつはナイフを突きつけられていることにおびえているのか、ただただ、目を虚空にさまよわせているだけだった。
しかし、そんな様子を見ても俺は落ち着くはずもなく、俺は持っているナイフと木の盾を棒に戻し、腰の部分に仕舞い、そいつの胸倉をつかんで、俺はそいつの顔をグーで思いっきりぶん殴る。
その衝撃でやっと我に返ったのか、
「おい、やめろ、はなせぇ。こんなことをするなんて、『シャガイランス様』が許さないぞ。」
まあた出てきたよ。
俺はそいつを投げるようにしてはなし、そいつに聞いてみた。
「そいつがお前の、いや、お前らのボスか?」
とね。
すると、そいつは黙り込み何も言わなくなった。
俺はもういいや。と、そいつを放置し、アリサの方に急いで向かう。
しかし、
「ハハハ!戦っている相手から目をはなすなんてなぁ、なってねえなぁ!」
そいつはそう言って今度は光になっている鎖を飛ばしてきた。俺はナイフをしまっており、後ろから急に襲い掛かってきたので、俺は避けるのが遅れてしまった。攻撃を受けるのを覚悟すると、
「フレアファン」
後ろから聞こえ、その鎖とそいつが炎に包まれた。
「ああああああ!熱い熱い!やめ、やめてく....れ....」
そこまで聞こえたところで、それからそいつの声は聞こえなくなった。
俺はそうしたであろう、後ろの人物に拘束を解きながら、声を掛ける。
「アリサ、大丈夫か?急いで宿に戻るから、それまで我慢しててくれ。」
「だい...じょうぶ...ありがと....ソータ。助けに来てくれて....」
と、そこまで言い、アリサは眠ってしまった。なので、俺はできるだけ起こさないように地下から出て、『フェーズ5』と心で唱え、アリサには『隠蔽』のスキルを使って、姿を見えないようにした。アリサが青く光って見えるからちゃんと周りからは見えていないから、見つかる心配はしなくて大丈夫だろう。
俺は急いで城から出て、城壁は腰にさしていた、木を使って、見えないように、ハシゴにして乗り越えた。
そこからはさらに宿に走っていき、割れている窓にまたはしごをかけて、上って、俺の部屋に行き、一度、アリサをベッドに下ろし、カバンから、「回復粉」を取り出し、アリサに振りかける。
そして、アリサの傷がどんどん癒されていき、目に見える傷はなくなった。しかし、精神的な傷はあるかもしれない。だが、アリサのこの安心したような寝顔を見ていると、急に睡魔が襲ってきた。多分、緊張が切れたからだろう。
俺も寝てからでいいや。と、俺も緊張が解けたのか、意識が落ちそうになる。
だけど、さすがに同じベッドで寝るわけにもいかないので、寝そうになる自分の力を振り絞って、毛皮で敷き布団を作った。
俺はその敷き布団の上に寝ころぶと、すぐに意識は眠りに落ちた...
わたしはソータが寝静まったのを見て、一度部屋に戻った。もちろん、服を着替えるためね。
なんでわたしが起きてるかといえば、あんなことがあって、寝れるわけがないじゃない。
そうはいっても、すぐに寝るけどね。
こんなに服が汚れてるから着替えないと、おじさんたちに心配させちゃうっていうのもあるけれど。
そして、わたしは着替えて、ソータのいる部屋に戻った。ソータが早く起きた時に安静にしてたという意味も込めてね。
だけど、ソータの気持ちよさそうな寝顔を見ているうちにわたしも早く寝て、明日の準備してよううと思ったから、ベッドに潜って、眠りについた。
いかがでしょうか?今回はつかまったアリサを蒼汰が助けに行きましたね。またまた「シャガイランス」という謎の人物も話に出てきましたね。はたして、その正体とは....?
次回の投稿も来週の金曜日の予定です。
それでは、また次回お会いしましょう。