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ええと・・・それは?

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。

 俺はキリュウさんに話をすることになった。


 俺が何をしゃべればいいかを聞こうとすると、


「話すのはちょっと待ってくれ。俺が体を洗って、風呂に入って「どちらが長く入れるか勝負」をしているときに聞こうと思うからな。」


「分かりました。」


ということで俺は近くの椅子に座って待つことにした。


 そして、俺がしばらくボーっとしていると、


「よし、洗い終わったぞ。せーので入るからな?」


そういってキリュウさんは湯船に向かっていった。


 俺も椅子から立ち上がり、湯船に向かっていく。


「いいか?せーのだぞ?せーの!」


その合図で俺とキリュウさんは温泉にそっと入る。飛び込んだりすると危ないに決まってるじゃん?んなことするわけないじゃん。プールでも禁止なんだからさ。....にしても、こういうのもあれだけど、キリュウさんって、見た目にそぐわず、無邪気な一面があるんだな。


 俺は新たな発見をしながら、お湯の熱さに慣れてきたころ、キリュウさんが話を切り出した。


「で?」


と。


「いやいやいや、いきなり『で?』って言われてもわかりませんよ。『話を聞こうか』としか言われてないので、何を話していいのか分かりませんよ。」


「だったな。悪い悪い、俺の悪い癖だ。覚えておくといい。俺は覚えても忘れるがな。」


意味ないじゃん。本人が直さないと。いや、治すか?....まいっか。


「それで、何を話せばいいのでしょうか?」


「そう焦んな。まあそうだな....俺は別にアリサがどうするかは咎めたりはしないが....これだけは聞かせてくれ。今のお前がアリサのことをどう思っているか、そして、これから俺が話すことを聞いてあいつのことをどう思うか、だな。とはいっても本当に大事な話はあいつが話すと思うから、ちょっとしたことだけだがな。」


「わかりました....?」


本当に大事な話...。うん、気になるな。まあすぐにわかるだろうからいいか。でもまあ、俺がアリサに抱いてる気持ちを言うと、


「あの子はただただ、本来の自分を守っているけど、少しでも本来の自分で話したいという、人と向きあおうとし、自分と向き合える素直な子という印象ですかね。それに抱いてる感想を一言で言うと、共感(・・)ですかね。」


「ほう、なぜにそう思った?」


「アリサと話をしていて、思ったんです。数年前の俺と同じだと。もしかしたら、今の俺とも一緒かもしれませんがね。その同じと思う部分は、あえて「自分の理想とする仮面」をかぶることで、本来の自分を隠そうとしてるということです。


 俺は数年前に何もかもふさぎ込んでしまいたくなって、だけど、周りがそうさせてくれなくて、色々と限界で泣いてしまったんです。だから、このままではいけない、だけど、本来の自分は変えることなんてできない。だから仮面をかぶろうと決め、しばらく付けていました。


 だけど、色々あって、俺は仮面を外し、ちゃんと自分の姿で人と接していこうということになりました。しかしですね、しばらくの間、仮面をつけていたせいで本来の自分の姿というものを見失っていたんです。


 だからこそ、アリサにはあのままずっと仮面をつけて本来の自分の姿を見失ってほしくないんです。だから、アリサは人の多いところは落ち着かないということで人の少ない俺の家に来てみるかと、ていあんをしました。そこなら、仮面を完全に外すことは無理でも少しでも自分を守る必要がないところにできると思うんです。」


「なるほどな....お前はすごいな!あの短時間であいつの在り方をそこまで見抜くなんてな。もちろん、そういうことなら、俺は反対はしないぞ。その方が安全だしな。だがな、これだけは言わせてくれ。もしも、あいつが偽りの自分の仮面をかぶらなくなって、本来の自分の姿で人と接することができるようになったとしても、少なくとも今のこの世の中では絶対に無理だ。」


「えっ?それはどういう....」


「それはあいつが話すだろうからな、俺は話さない。だがな、絶対に言えることは少なくとも、俺と、メルカは何があってもアリサの味方だ。もちろん、お前がどんなことがあっても味方だというんなら、それはもう、俺たちの仲間だ。

 だから、メルカの分まで言う。」


そこまで言うと、キリュウさんは一度言葉を切り、さっきまでの雰囲気から一変して、眼光鋭く、真面目な表情で、


「アリサのことを頼んだぞ。だが、アリサのことを少しでも傷つけたなら....お前のことをどんな手を使ってでも必ず傷つけた事を後悔させてやる。その時は覚悟しろよ?」


と言ってきた。


「いえいえ、絶対にアリサのことは傷つけません。何より、俺が傷つけてしまったら、あの子はますます自分の中に閉じこもってしまいます。そんなことになれば、一番後悔するのはアリサです。それを見て、俺も傷つけてしまった場合、俺も傷つけてしまったことを必ず後悔します。だから、もう一度言います。

 ・・・絶対にアリサを傷つけるようなことはしません。」


「それは、アリサの正体がどんなものだったとしても?」


おそらく、あの見えた角と耳の事だろう。少なくとも、そんなことで忌避したりはしない。俺はキリュウさんの目をしっかり見て、


「もちろんです!傷つけも傷つけさせもしません!」


俺がそう答えると、キリュウさんは、


「はあ...わかった。そこまで言うのなら信じよう。...しかし、なんでそんなに出会ったばかりの奴にそこまで言えるんだ?」


「さあ?なんででしょうね?もしかしたら、心の内で自分と同じように自分を見失ってほしくない、自分を偽ってその結果に後悔してほしくないと思っているからでしょうね。時々思うんです。自分の中にもう一人の自分がいるんじゃないかって。そのせいで自分自身をも疑うのが嫌なんです。だから、アリサにはこんな風になってほしくないんでしょうね。」


「よし、分かった。なら、お前に助言をやろう。

 その考えは大事にしろ。

 その優しさは大切にしろ。

 その観察眼は大切にしろ。

 自分が正しいと思ったことをすればいい。

 人のことを思いやり、気づかい、大事にすることでそのうち、本来の自分が見えてくるだろ。

 なんせ、そのやさしさ、思い、考えは嘘、偽りで手に入れられるものじゃない。


 そして、その言葉は所詮は綺麗ごとだ。理想だ。だが、俺はお前さんの綺麗ごと、理想に希望(・・)を見た。だから、何があっても折れずに突き進め。そうすればその言葉が、もしかしたらだが、理想が希望から奇跡に変わるかもしれない。失敗しても失敗を糧に動物は成長していく。だから、もう一度言うぞ。


 これから先、何があっても折れずに突き進め。何度でも何度でも。な。頑張れよ。」


 それを聞いて俺は、キリュウさんにそう言われてなんと言い返せばいいのか分からなかった。それを感じ取ったのかキリュウさんは


「別に無理にこたえようとしなくていい。この言葉が正しいかなんてのはお前が決めろ。少なくとも俺の考えがすべて正しいって訳ではないからな。」


俺は再び、言われたことの意味を考える。しばらく考えていると、


「まあ、すぐに決めることでもないからな、んじゃ、俺は上がるぞ。」


「えっ!?もう上がるんですか?」


「いや、もうって、お前どんだけ入れんだよ。俺はもう無理だ。俺が入れる時間を超えて入れるやつは初めて見たぞ。かなり自信あったんだがなあ.....まあ勝負は勝負だ。ちゃんと約束は守るぜ。んじゃまた上がったら言えよ。」


そういって、キリュウさんはここから出て行った。


 俺はもうしばらくはいることにした。もちろん、キリュウさんの言った言葉の真意を考えるためだ。


 あるいはただ言葉通りかもしれないが。


 あ~!俺はキリュウさんの言ったような人間じゃないだろ!どう考えても俺の性格見誤ってるって。


 もういいや。色々と気になることが多すぎるんだよ!考えるのはまた明日にでもしよう。今のこの夜遅くに考えても何も言い案は浮かばない!今日はもうアリサの話を聞いて寝てまた明日考えよう。


 俺は温泉から上がり、はたと気づく。体拭くタオルがねえ!どうしよう?何か代わりに拭くものがないか辺りを見渡していると、俺はあることに気が付く。それは....タオルとメモが置いてあった。


 メモの中身を見てみると、


『お前、タオル持ってくるの忘れてただろ。置いておいてやるから、これ使え。飲み物もらうときにもってこい。あと、一応言っておくが、気にしすぎても良くないからな?あまりに気にし過ぎて目の前のことが見えなくなったら意味ないぞ。』


ありがたい。ありがたいが、最後のいるか?


 ....とにかく、早く体をふいて、タオルを返して、アリサの話を聞かないとな...


 俺は体をさっさと拭いて、服を着て、キリュウさんにタオルを返しに行った。そして、キリュウさんに、


「これが、約束の俺特製のスペシャルドリンクだ。ちゃんと全部飲めよ?大丈夫。これはメルカのお墨付きだからな。俺が強くなった原因の一つでもあるしな。」


そういって、キリュウさんが渡してきたのは紫色のゲテモノっぽいものが入っている、ドロッとしてて、たまに泡が表面に浮かび上がる、賞味期限の過ぎ過ぎた納豆みたいな匂いのする、よくわからない飲み物だった。飲み物であるかすらも怪しいが。


 と、そこにメルカさんが来た。そして、


「おう、お前さん、こいつに勝ったのか。こいつは長風呂何になあ。気の毒に....」


気の毒に!?俺の方を見て気の毒にって言ってたよな?ってことはやばいってことじゃない?


「あの~、メルカさん?これって大丈夫なんですよね?」


そういうと、メルカさんは思いっきし目をそらし、


「あ、ああ、多分....だいじょ...うぶ..だと....思う、ぞ?」


んじゃまあそれはなあ、ダメだなあ。だから、


「なんでそんなに言葉が詰まってるんです?」


と言ってみた。すると、メルカさんは一気に顔色を変え、


「そりゃあ、キリュウの作ったスムージー....ですらない、何かを飲んだことがあるからに決まっておろう!あの地獄を見たのを忘れるわけが......あっ」


「ほう、メルカ、お前はこの前うまいと言って飲んでたよな?嘘ついてたってことか?なら、まだ俺のこのドリンクのうまさが分からないんだな?よし分かった。作りに行くのも時間が惜しいから、ソータ君と二人で分けて飲んでくれ。」


良かった~。少なくとも半分は飲まなくて済んだな。それでも100ミリリットルはあるけど。まあ、顔面蒼白の今にも心臓発作を起こしそうな様子のメルカさんには申し訳ないが。


 ・・・ちょおっと待て。心臓発作起こしそうな様子?あぶねえじゃねえか。どんな味かは知らんが、


「キリュウさん、それ、全部俺が飲みますよ。別にもう一つとか作りに行かなくても大丈夫ですよ。俺は飲みますけど、遅くに飲み物を飲んでしまうと、トイレが近くなるので、あまり良くないですよ。特にこういっては何ですが、ある程度年を重ねると、その傾向が特に強まるみたいですし。」


「そうなのか?すまんな、そこまで知らなくて。分かった、これからは朝か昼間に作ることにするか。」


それを聞いてメルカさんは一旦さらに顔が絶望に染まったような気もしたが、とりあえず、メルカさんに、


「グッジョブだ!ソータ君!」という言葉を視線だけでもわかるぐらい、なんなら、雰囲気だけで分かるくらい、こっちを見て感謝しているようだ。


 そして、俺はドリンク(?)を受け取り、一気に飲む。


 はたして、そのお味は.....?


 結論を言う。吐きそう。出来るだけ、中身を舌に乗せないようにしたが、少し乗ってしまったらしい。おなかを壊す感じではなく、むしろ、いつもより体の調子は良くなった感じだが、気分は最悪だ。


 味についても..ね。なんというか、たとえが思いつかん。それぐらいに形容しがたい吐き気を催す味だった。強いて言えば、常温で放置して悪いほうに腐ったキムチと腐った缶詰の果物を合わせたような味だ。別々で食べてしまったことがあるが。そして、腹を壊した思い出がある。


「約束通り、飲み終わりましたよ。キリュウさん、これお返ししますね。」


そういって、俺はジョッキを渡す。そうしたらキリュウさんは


「どうだ?味は?お前の口にあったか?」


えっと、これは正直に答えねば。


「そうですね...飲んだ後は体が温まってくる感じでいいかもしれないですね。ですが、味自体は俺の口には全く合いませんでした。すみません。」


俺がそう伝えると、キリュウさんは、


「そうか。すまんな。無理に飲んでもらって。まあ、好き嫌いは人それぞれってことだな!」


「はは、確かもそうかもしれないですね....」


 .....あれはキリュウさんしか好んで飲まないと思う。それじゃ、キリュウさんとの約束も果たしたことだし...


「それじゃあ、アリサが何か話があるってことなので、行きますね。あまり遅くなっても寝てしまいそうですし。」


「おう、わかった。あまり夜更かしはするなよ。」


「はい、分かりました。それでは、また明日。お休みなさい。」


「ああ、お休み。」


「お休みソータ君。」


そう二人に言って、俺はアリサの部屋に向かったのであった....



「なあ、メルカ。アリサがあいつに話したいことってのはあのこと(・・・・)だよな?」


「ああ、多分そうだ。あの様子だとソータ君はちゃんとあれ(・・)について知らなそうだったしね。それに、アリサは隠していたつもりだったかもしれないけど、実はバレバレだったりするからね。」


「だよなあ。本当に今までが急に寂しく思ってしまうな。」


「まあ、ソータ君にも何か考えがあるみたいだし、そこは信用しようや。お前も話をしたのだろう?」


ワシがキリュウにそういうと、キリュウは、しばらく考えてから、


「んま、あいつもちゃんとした理由があったから、信用することにしたんだよ。」


まあ話した内容はまた後で聞くとしてだが、


「アリサにはこんな世の中だとしても幸せになってほしいな。なあ、キリュウ?」


「もちろんだ。やっぱり少し寂しいがな。」


「それはワシも同じだ。にしても、よくこのジジイ二人であれぐらいまで育てられたもんだな。」


「ま、これからはソータ君に任せて、俺らは俺らで頑張ろうじゃねえか。」


確かにな。一応、いつまでやるかは伝えておくか。


「そうだな...。ガタが来るまでは続けられるしな。」


「おいおい、無理すんなよ?」


「大丈夫に決まっておろう。ワシはお前よりもレベルが高いぞ?もちろん、体力もあほみたいに鍛えたお前並みには多いからな。」


「ま、そりゃそうか。なら、安心だな。」


まあ、な。ワシだって自分の限界ぐらいは分かる。その時になったら、キリュウに言おうじゃないか。『ワシはもう無理だ。』とな。


 今度料理でも教えてやろう。...せめて、あいつの息子にはな。キリュウはあいつは料理は無理だ。

 .....アリサ、どうか無理だけはするなよ。


 いかがでしたでしょうか?今回は蒼汰がキリュウさんと話をして、キリュウさんの思いと、蒼汰の考えが少しわかりましたね。とはいっても他にも思いはありそうですが。


 さて、次はアリサに関わる、とある秘密を話してくれるかも...?.....はい、そうです。確定です。ぜひ読んでみてください。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です。


 それでは、また次回お会いしましょう。


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