知恵を出して考えよう。
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
俺はすぐに木の陰に隠れつつ、そっとはぐれそうになっているラークライドに近づく。
よし、俺に気が付いていないな。そして一気にとびかかってナイフで首筋を切る。オケ。仕留められたな。あとは気づかれないうちにまた木の陰に隠れる。これでできるだけ数を減らしていく。
しかし、これを5回ほどしたところでばれてしまった。しゃあない。もう出てきて、戦うか。
俺は出てきてさっきの戦いで使った棒を腰からとる。それを再びナイフと組み合わせてリーチを長くする。これで俺も戦いやすいぞ。恐怖心も少し薄れた。
何頭かのラークライドが迫ってきた。....そうだ、さっきは1頭だけだったからいけたのか。いや、もうこれは頑張って倒していくか。幸い、ライアの戦い方を見ていたから、木を使ってラークライドたちを話す方法は分かるからな。
....と思っていた時期がさっきまでありましたよ。思ったようにいかない。なぜなら、一頭離しても他のがまたついてくるし、また一頭離してもさっき話した一頭が追いかけてくるから話すのは無理だった。次の方法を考えよう。
.....これをおもむろに振り回したらいいんじゃね?俺は走りながらそんなことを考えてしまった。いやいや、さすがに血迷いすぎだろ!ここは頑張って一頭ずつ倒していくか?うん、そうしよう。逆にそうしないと、いつまでも逃げないといけないからその分時間をロスするんだよ。
俺は開けているところで立ち止まる。そして、ラークライドたちの方に向く。一応、この方向以外に着てないことは確認済みだ。
この行動をとったことにより、一瞬ラークライドたちは身構えたが、俺が少しビビっている様子を見ると、
「ひゃははこんなん余裕だよな!」
「ああ、相手は一人だしビビっている感じだからなあ!」
こんな感じでこっちを見下したように近づいてくる。よし、作戦通りだ。...なんてことはなく、俺は一層警戒をしながら近づいてくるラークライドたちを見まわす。
何かこの状況で役に立つスキルとかなかったけ?例えばライアが驚くぐらいのスキルは。....まあ、そんな都合のいいものはないよな。いや、一つあるな。この場合はスキルを逆に使わないのだが、これはラークライドたちに効くのかは分からない。でも、やらないよりはマシだろう。
俺は、心の中で『「気配消滅」解除』と唱える。今の俺は客観的にみると結構な威圧感があるのだろう。なぜなら、ラークライドたちが怯んだからだ。中には腰が引けている奴までいる。....これは...ほかのスキルも検証した方がいいな。こういう状況を打破できるかもしれないしな。
「なんだ!?こいつ急にとんでもないオーラが出てきたぞ!どうなってやがんだ!?」
「お前ら!なあにビビってやがる!相手はたった一人の人間だぞ!何も怖がることなんてねえよ!こんなんただのコケ脅しだろ!おら!いくぞ人間!」
なんか言葉が分かんないと思って好き放題言っていたようだが、そのうち威圧感に負けまいと突っ込んでくるラークライドが出てきた。だが、俺は冷静でいられた。あれか。平常心を保っていない人(この場合は動物だが。)を見ていると不思議と冷静でいられるというものか。
そして、俺は突っ込んできたラークライドを対処する。この長くした....ナイフではないな。まあ、いいや。これは薙刀モドキとでも言わせてもらおう。この薙刀モドキでラークライドの腹を切る。手ごたえ的には首筋を切ったときや胸のあたりを切った時より軽かった。まあ、動物は腹が弱点ってよく言うしな。
そして俺が一頭倒したことによりラークライドたちに動揺が走った。それを見てチャンスとばかりに一気に切っていく。2頭は倒したな。加えて、残りの3頭はかすっただけだったがこの薙刀モドキの高い切れ味によって傷口から結構多くの血が流れている。
「くそ....なんでこんな奴に負けるんだよ....負けるわけないのに....」
お?これは俺が言いたかったこと言えるな。言ってやろう。中二病時代のカードを発動!
「それはな、お前らが俺をなめてかかったからだ。なめていなかったら勝てていたかもな。」
効果は、相手に戦慄を与え、未来の自分に精神的ダメージを与える!...ダメじゃねえか!
...とにかく、それを聞いたラークライドたちは、
「お前、俺たちの言っていたことが分かったのか....そうか...言葉が分からないと思って好き放題言ったことが命取りになってしまったのか....もういっそ....一思いにやってくれ....」
うーん、こんなこと言われたら、仕留めづらくなるじゃん。だけど、ここで見逃したら、また何か起こしそうだし、ライアが何か言いそうだから...
「わかった。望み通り一思いにやるよ。」
ほかのラークライドが動いてないのが気になるが、俺はラークライドに近づいてゆく。そして、とどめを刺そうと薙刀モドキを振り上げた瞬間、
「ひゃはは!引っ掛かたな!今だ!お前らやっちまえ!」
....だろうと思ったよ。少なくとも生きることをあきらめる動物なんてそうそういないからな。俺は薙刀モドキを振り回す。それにより目を光らせてきていたラークライドたちが後ずさる。
まあ、さすがにこれの危険性には気づくわな。さっきこれで攻撃を食らったばっかだしね。だけど、これで牽制しているおかげでラークライドたちは下手に攻撃できなくなったわけだが、さて、その反応は?
「おい、どうするよ?あれを何とかしないと一発当てるのも無理だぜ。」
「ああ、一発でも充てることができたらこっちの価値なんだが。どうするよ?」
「そうだ!あいつの武器を破壊すればいいじゃね?俺様って天才!」
「うおーっ!さっすが兄貴!天才だぜ!」
「確かにあいつの持っている奴を破壊すれば向こうは攻撃できねえ!さすがだ!」
「いやー。それほどでも?やっぱり俺様ってすごいんだよなー。」
....なんか、こういうと失礼だが、完全に物語に出てくる三下のセリフじゃん。こんなことが実際にあるとはな。相手は人間ではなくてヤギの角を生やしたライオンだが。
さて、どういう風に来るか...
「兄貴!そうと決まったら行きましょうぜ!」
「おう、さすがに上からと囲まれてきたら俺たちに手も足も出ないだろう。...あいつも油断して動いてないしな。」
おおう...さすがにこれはやばいでしょ!大声で考えた作戦を言うとか。それにさっきのことも忘れてるし。...まあ、ライアによると、そんなに知能は高くないらしいからな。
にしても上からも囲まれるのか...どうしようかな。さっきみたいに振り回すだけだと無理だしな。
俺はあいつらが位置についている間に考える。
難易度が高いし当たり前だがやったことないが、やってみるか?最悪、一発当たっても大丈夫だと信じたい。まあ、例の鉱石の粉があるから大丈夫だろう。いやいや、だとしてもこれは失敗は許されないかな。やってみよう。
「今だ!お前ら!とびかかれ!」
来たな。俺は薙刀モドキの木の部分をナイフと分離して気を盾の形にするイメージをする。それにより、上から来たラークライドを防ぎ、この頑丈な盾に頭をぶつけてふらふらしている隙に盾をもとの薙刀モドキに戻す。そしてそれを振り回して後ずさった後に一気に距離を詰めてどんどん切っていく。
....よし、うまくいった。やっぱりレベルも関係してるのかな?....それは置いておいて、残りは上から来た今も目を回してる兄貴って呼ばれていた奴だけになった。
「なぜだ、この作戦は完ぺきだったはずなのに...」
「いやいや、完璧ではなかったよ。だけど、作戦バレバレだったよ?」
「え?なんでなん?」
お前、実は元気だろ。
「なんでも何もお前、大声で作戦言っていたから聞こえないわけがないじゃん。」
「そうだったのか。ならば!」
すると、その兄貴(仮定)は俺に向かって、
「お願いします!俺を立派に作戦を立てられるような男にしてくれ!もちろん、もう、俺はお前らのことを襲わない!」
............はっ?急にどうしたんだ?こいつは。わけがわからん。普通、目につくものは仲間以外は手あたり次第襲うんじゃないの?それに...
「そういって、さっきみたいにまた襲ってくるんじゃないの?」
「いやいや、今回は本当だ!その証拠だ!ほら!」
そういって兄貴は仰向けになっておなかをこちらに見せる。...たしか、動物がお腹を見せるときって降参するとか、やめてほしいって意味があったよな。どうやら、本当らしいな。
「まあ、俺様の子分をやられたのは痛いが、また連れてくる。こいつらは、本当にいいやつだったよ....」
そういって兄貴は遠い目をする。しかし、
「あ..にき、かっ...てに、殺さないで....ください....よ...」
「そう....です...よ。な..に....死んだことに....してるん....です..か...」
かすかだが、聞こえてきた。それを聞いた兄貴は思いっきり目を輝かせた。
「お前ら~、生きてたのか!!」
だが、見るからに瀕死だ。
「おい、今抱き着いたら危険だぞ。」
そういったら、兄貴はぴたっと止まった。
「そう、だな。でも、俺様じゃ助ける方法が分からないんだが....お願いだ!人間。俺様の子分たちを助けてくれ!俺様も子分たちもお前を絶対に裏切らないと約束する!お願いだ!」
「それは、俺の仲間に対してもか?」
「もちろんだ!俺様は仲間の大切さは一番知っている。だから、お願いだ!子分たちを助けてくれ!」
さすがにここまで言われて助けないのはかわいそうだ。しゃあない。効くかは分からないけど....
「わかった。うまくいくかは分からないけどやってみるよ。」
おれは、持ってきていた鉱石の粉を兄貴(仮定)の子分たちに振りかける。すると....みるみる傷が治っていくではないですか!これには俺含めた全員が驚いた。
「お前ら~!治ったのか!」
「治りましたぜ。兄貴。むしろ、けがする前よりも絶好調ですぜ。」
「おいらも元気ぴんぴんだぜ!」
.....うん、君らで実験したとはとても言えない雰囲気だな。抱きしめあって喜んでるし。にしてもこれとんでもない効果だな。余程のケガじゃないとつかわないようにしないと。
「おい、そこの人間、改めて礼を言うぜ。ありがとう。そして、これからよろしく!」
「「よろしくお願いしやす!!」」
おっ、もう敵意はないみたいだな。
「こちらこそよろしく。でも、自己紹介はこの事態が収まってからね。ああ、だけど、名前だけは言っておくわ俺の名前は『そうた』な」
「「「わかりやした!」」」
よし、こっちは解決したから、ライアのところに向かおう。ライアにもこいつらは敵対しないと伝えないとな。
....こいつらも特殊個体なのかな?だとしたら、出会いすぎだが。スキルのおかげであると思いたい。それか、盾で殴られた衝撃と瀕死になったことで正気に戻ったが襲われなかったのは男前な奴であったからだろう。
楽しんでいただけましたでしょうか?今回は蒼汰が頑張って一人でたくさんのラークライドと戦いましたね。そして仲間になりましたが、ちゃんと協力してくれるのでしょうか?
次回の投稿も来週の金曜日の予定です。次回も楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、また次回お会いしましょう。