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あ、あの、ちょっとはい、俺の敗けです。

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 男が斬りかかってくるのを何とか避けたり、空間魔法で逸らしたりしつつ、水魔法に捉えさせたナイフを敵の死角であろう位置に移動させる。


 もちろん相手は止まってくれず、何度もこちらへと仕掛けてくるが、何とか空間魔法で弾いてるというような状況だ。まあ、いくつか当たってるんだが。


 というか、もうフェーズ5にしてる意味ないな。普通にバレてるわ。


 まあ、変わらんならこのままでいいんだろうけど、とりあえずどうやって攻撃をするか何だよなぁ……


 ともかく、何とかするしかない。


 視線をなるべく男に向け続け、ナイフを操作し、男に向けて引き寄せる。


 しかし、そもそもそれに気づいていたのか、剣を軽く振るってそれを弾いた。


 あ〜多分あれだな。多分敵さんは気配を消したりだとか、物を見えなくしたりだとか、逆に感知したりだとか、そういう系統のスキル持ってるな。


 尽くバレてるもん俺の動きが。


 とりあえず不発に終わったので、氷の礫を放ち、男に当てる。


 まあまあな数出したが、男はしばらくそれを弾き続け、結局鎧に軽く傷がついた程度だった。


「ちょっとストップ。」


 またしても攻撃を仕掛けようとしてきたので、俺はタイムをかける。


「……なんだ?」


「今更なんだけどさ、鎧に攻撃当てた場合でも一回ってカウントしていいんだよね?」


「……もちろんだ。」


「ならよかった。今何対何かわかる?」


「……私が6回、貴様が3回当てたぞ。」


 ……なるほどねぇ…猶予はあと4回か。多分負けるなこれ。


「よし、ありがとう。中断してごめん。」


「……構わない。それでは、行くぞ。」


 よしかかってこい。俺はもうヒットアンドアウェイを理想として立ち回るぜ。


 どうやって攻撃を当てるかなんだが……


 さっきみたいに視覚から攻撃しても多分意味ねぇしな……


 かといって正面から行っても当てられる気がしない。


 さっきみたいに氷を物量で撃つのもいいけど、それでいっても納得できないとか言われても嫌だしな……


 考えていると、正面から斬りかかってくる。しかし、先ほどまでとは異なり、どこかフラッとしている感じで力が抜けている。


 それとは相反するように、その切先は俺の首元めがけて飛び込んでくる。


 ガッと弾かれ、氷が首元で砕け散る。


 俺ではないが、モルがカバーしてくれたようだ。


「……ほう、今のを防ぐとは。不意をついたつもりはなかったのだが……まるで誰かが守っているかのようだな?」


 鋭い。というかめざとい。バレてんじゃねぇか。


『うるさいのぅ。こうでもしないとお主、死んでおったぞ?』


 わかってるって。感謝してるよ。危ない時のカバーは任せたよ?


『そう任されると妾からしたら不安しかないのじゃが……』


 ともかく、敵が喋っている間に一応空間魔法と水魔法とで雷を作っておいた。


 それを相手にぶつける。


 最初、それを剣で切ろうと、剣を振るったが、中身の雷が直接当たり、仮面の男は痺れて、一時的に動けなくなったのか、地面に倒れた。


 んじゃこの隙に……


 水魔法で氷の矢を形成して放ちつつ、ナイフで男に斬りかかる。


 すると、計4回ほど当てたところで男が飛び退いた。


「……驚いた。初めて受ける感覚だったな。」


 男は鎧についた土を少し払いながら俺にそう言った。


「まあ、オリジナルのをね、ちょっと作ってみたんだ。」


「......なるほど。それにしても......」


 男はそこで言葉を止め、自分の体を見下ろす。そこには小さいが穴が開いていて、そこから薄く血が流れていた。


「......まさか動けない状態だったとはいえ、この鎧に穴を開けるとはな。」


 まぁ、氷の矢をドリルみたいにして回転させながら突っ込ませたし、密度も高くしてたし......


「......鎧に穴を開けられては万が一がある。ここは私の敗けだ。」


 え!?なんかとんでもないこといい始めたんだけど!?


「待って待って、まだお互い十回も当ててないよ!?」


「......言っているだろう?ここは私の敗けだと。それとも続きがしたかったか?」


 いや、別に続きはしたくないけど......どうせ負けるし。だけど、勝ったときの条件は......


 そして俺が思ったことを表情から読み取ったのか、仮面の男は俺に言う。


「......安心しろ。先程の条件は守る。」


 ならよかった。そこが一番大事だったからね。


「わかった。それなら俺はもう行かせてもらうよ?」


「......あぁ。また機会があれば一戦交えよう。」


 それに対し、ちょっと苦笑い気味になってしまったが、取りあえずその場からは退いた。


 あ~怖かった。死ぬかと思ったよ。威圧感すごいし。


『確かにのぉ......しかもあやつは自分が敗けだと言っていたが、本来、お主の敗けであるしのぅ......』


 うん、実感したけど、相手が攻めてくるとき、俺は何もできなかったしな。モルカバーもなければ普通に剣が当たって死んでたし。


『それもそうなのじゃがなぁ......』 


 ん?どうしたモル?煮え切らない感じで。


『条件のうちの、倒れたときは追撃しないというルールを、お主は破ってしまっていたのぉ~?』


 ......あ!ついついチャンスとばかりに攻撃してたじゃん!待って、ってことは完全に人間としても負けたじゃん!


『元よりお主は誰と競っても負けておると思うが。』


 失礼すぎるだろそれは。一概に否定できない生き方をしてる俺も俺なんだけど。


『ともかくよかったのぉ、あやつに見逃してもらえて。』


 ホントだよ。出来ることなら、もうあんまし会いたくないけども。


『まあ確実に会うことはあるじゃろうな。幹部的な立ち位置にいるようだしの。』


 今度いつ出会うのかわかんないのはホントに怖いな......まあだが、それを圧倒できるぐらいには技術とか色々頑張って強くならねば。


『かなり抽象的じゃのう......』


 具体的にそうすればいいとかの目処はついてないしな!抽象的でいいんだよ。


 ......それにしても、あいつは俺の仲間が牢屋からでたみたいなこといってたけど、ロサたちがどこに行ったか分かるか?


『ふむ、サラの気配を辿ったところ、火山の下にいるようじゃ。おそらく均衡守護者(バランスガーディアン)のところじゃろう。もしサラと一緒におるのが全員ならいいんじゃが......』


 そうなんだよね、もしかしたら別行動してる可能性もあるって考えると不安だ。しかも、水魔法も空間魔法もそれぞれもうあと4,5回くらいしか使えないし。


『ともかく、まずは火山の下へと向かい、合流した方が良さそうじゃな。』


 ここで何もせずにいるより圧倒的そっちの方がいいしな。よし、向かうか。


 俺はゲートを使い、火山の、ワープしてきた位置へと戻る。よし、ここから地下への通路探しだな。



 いかがでしたでしょうか?今回は蒼汰が戦ってましたね。とはいえ、蒼汰は勝てるわけがなかったようですが。


 それと、今回は少し短くなってしまいました。加えて戦闘描写というものが下手であるため、読んでいて理解しにくかったかもしれません。改善いたします。


 来週は蒼汰が戦っている裏でロサたちが何をしたのか書いていきたいと思っております。


 次回の投稿も再来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。

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