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え、ちょっ......まだ心の準備が......!

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


「ソータ、こっちに来て。」


 そう言われ、ロサに連れられロサの部屋へと入る。リアンは先ほど言っていた通り、レサの部屋へと向かったのだろう。


 部屋に入ると、ベッドに座るように促されたためそこに座る。ロサもその隣に座ったのだが、どこか距離が近い......というより、もはや密着してきてるんだが。しかもいつの間にか吸血鬼(ヴァンパイア)スタイルになってるし。


 ちょっと鼓動が早くなってきたが、なるべく表面には出さないようにする。


「ねぇソータ、僕のこの前の告白、考えてくれてた?急かすとかそういうわけじゃないんだけど、どうしても気になっちゃって。」


 そう言われ、言葉に詰まる。考えてはいるが、結局答えは出せていない。いくらでも待つって言ってくれてるとはいえ、早めに俺も決心しないといけないんだよなぁ......


「......まあまだならそれでもいいよ。それを聞くのが目的じゃないし。」


 ロサは平坦な声でずっと俺と目を合わせて言葉を発する。


 どこかいつもと違う雰囲気に、少しばかり緊張してしまう。


「ねぇ、ソータって僕のこと好き?」


 どこか潤んだ瞳で言われ、俺は少し目を逸らしながら答えた。


「そ、そりゃ、友人として、同じ家で住む家族的な存在としては好きだよ?」


 我ながら相当逃げた答えだと思う。でも......いや言い訳は今はよそう。


「じゃあ、さ、もしも僕がソータに異性として見てほしいって言ったら?」


 少し声音に不安をにじませた声で、甘えるように体を密着させながら質問されて、心臓の鼓動が早くなる。


「異性...として好きなのかは分からない......今まで誰かを好きになったことがないからさ、これが親愛なのか恋愛なのか分からないんだ......」


「でも、ソータの心臓、こんなに暴れてるよ?」


 ロサが俺の胸に手を当てながら、少し口元をモヨモヨさせる。


 そして、俺の手を取って、ロサが自分の胸に当てる。


「ほら、僕もソータとくっつくだけでこんなにドキドキしてるんだよ?一緒にいるだけでうれしいし、楽しい。これって『好き』ことなんじゃないの?」


 突然のロサの行動に頭が真っ白になりかけながら、ロサの言ったことを頭で反芻する。


 くっつくだけでドキドキ......確かにしているが、これはシンプルにその経験がないからってのが大きいだろう。


 だが、確かにロサがいるだけで......というより、元気な姿があるだけでうれしいし、ロサと話している時も楽しい。


 これが好きということなのか......?分からないが............いや、もしかしたら分からないと言って答えを出すのを避けてたのかもしれない。


 いつまでも答えを出さずにってのはたしかに良くないかもしれない。でもやっぱり、自分に自信がないからこんな後ろ向きになってしまうのだと思う。


「それが『好き』ってことかもしれないけど......やっぱりまだ俺には確信できるだけの経験も知識もないからさ、その......よく分からないんだ。」


 結局自分は目を逸らしてしまうらしい。あくまでも保身的で最低な選択をしたと思う。でも......いやもういい訳くさいことを言うのはやめよう。


 この感覚が好きということなのか、もうそうとして自分の中で定義しようとしたとき......


「じゃあ、僕と『経験』してみる?」


 考えているうちにいつの間にかロサに押し倒されていて、ロサが俺に跨がり、少し紅潮した表情で俺の耳元でささやく。


「もしかして、嫌だった......?」


 少し悲しそうに訊かれ、俺はそんなことはないと首を横に振る。でも、ここでの経験って、やっぱりそういうことだよな?


 ロサはどこか安堵したような表情を見せ、俺にまたがったまま、体を倒して抱き着く。心なしか、ロサの息が荒い。


「よかった~。ちょっとだけ怖かったんだよぉ~?断れたらどうしようって......」


 どこか目がトロンとうつつ気味になってきて、紅い顔のままロサは自らの頬っぺたを俺の頬とくっつける。


 もう心臓が破裂しそうなほど鼓動が高まり、気づけばロサの背中に腕を回して抱きしめていた。


「フフッ、赤くなってるソータかわい。」


 俺が今どんな表情しているかは知らないが、ロサに頬ずりされてロクな表情にはなっていないだろう。


「本で読んだんだけどね、人って体を重ねると重ねるうちにその人が好きになっちゃうんだって。だからさ、分からないんだったらしてみたら分かるかもしれないよ?」


 吐息熱く語るロサに、そろそろ我慢して抑えてる部分が崩壊してきそうだ。いや今は我慢する必要はないかもしれない。


 ロサは頬ずりをやめ、俺の胸に顔をうずめる。


「ソータに抱きしめられるのって落ち着くなぁ。あったかくて気持ちいい......」


 そう言われたが、何するのが正解なのか分からず、とりあえずロサを優しく抱きしめる。


 服越しに触れるロサの息がくすぐったい。


 しばらくするとロサが静かな、それでいて一定の呼吸をし始めた。あれ?寝ちゃった?そう思い、確認するとスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。


 俺は深呼吸をして、高まっていた鼓動を安定させたのち、自らの行動を振り返る。


 好きかどうか分からないと言って、未遂に終わったとはいえ、ロサにここまでさせて逃げるのはズルい......というかロサに失礼だ。


 そして、俺はさっきロサに迫られて嫌な気分になるどころか、拒まずむしろどこか期待していた。つまり、ロサにこのようなことをされて満更でもなかったのだ。


 それはつまり、ロサを異性として意識しているのではないか?この場合はロサに認識させられたという方が近いが、そういうことなら確かに気になっているな。


 そして、先ほど自分の初めてをロサにあげるってことを考えた時に、どこか嬉しいという感情が湧き上がっていた。ならば、それは好きということになる......か。


 今は寝ちゃっているが、ロサには起きた時に伝えよう。


 だがまあ、俺自身色んなことから目を背けてばっかりだから、それをしなくなるまではロサからの告白は保留にしておこう。なるべく胸を張って隣に立ちたいしな。


 そう決意したとき、バンッと部屋の扉が開いた。


「ロサ!ソータは......」


 レサだった。少し慌てたようにロサを呼んだ。しかし、ロサは寝ているので返事はできない。


 そしてこの状況を見たレサは何かを理解したかのように何度か頷く。


「......なるほどな、つまりは『事後』ってわけだ。ソータ、落とし前はあとでキッチリつけろよ?」


「いや、何もしてないけど!?」


 いやホントに、頬ずりされて抱き着かれただけだ。俺も抱き返すことしかしていない。え、それしかしてないよな?


「......そうか。ホントに手ぇ出してないってんなら、その分の落とし前、つけてもらおうか。」


「いやなんで!?」


 どっちみち何かしらの責任取らなきゃいけないのかよ。いやもちろん、手を出した時は責任取る気だけどさ。


「そりゃそうだろ。こんな可愛いうちの妹に迫られて手ぇ出さないなんて男じゃないだろ?」


 うぐっ......すみませんでした。私はもう男じゃないです......ちょっと男になるために旅にでも行ってきます......


「ま、今回は私のちょっとしたミスが原因だ。ロサがお前に何を言ったかは知らんが、言ったことは全部こいつの本心だと覚えておけ。元々は身体能力を高める目的で作ってたんだがな......」


 レサにそう言われ、あの普段と違う様子はレサの作った何かしらによるものだったと理解した。


 だけど、さっきのがロサの本心ってことは.......うん、考えるほどちょっと顔が熱くなってきた。


「まぁなんだ、ロサは半ば酔っているような状態だったんだ。目が覚めた時には自分がしたことも忘れてるだろ。ソータもあまり態度に出したりするなよ?怪しがられちゃ意味ねぇからな。」


 俺はうなずき、レサに質問した。


「やっぱりロサに何か飲ませてたの?」


「......あぁ。さっきも言ったが、身体能力の向上目的で飲ませた。まあ見ての通り失敗したんだがな。どうやら、一部感情が相当高ぶるようだ。ロサを見ればわかるだろう?その反動として半分酔ったような状態になると言った感じだ。リアンや私でも試したんだが......効果が出るかどうかは個人差らしい。」


 なるほどねぇ......この感じだとリアンもレサも症状は出なかったみたいだな。もしくはあったけど、ロサとはまた別の......というかある程度抑えられるぐらいの感情であったか。


 『まあ、私はなんとか......』なんて呟いていたが、それ以降は聞き取れなかった。


「ソータ、寝転んだままのところ悪いが、お前でも試してみてもいいか?もしかすると変化があるかもしれない。」


 まあ特に断る理由もないので、承諾する。すると、俺に近づき、口になにかを放り込んだ。これを飲み込めってことらしい。寝転んだ状態だと飲み込みにくかったが、水魔法で気管に入らないように調整しながら飲んだので、むせることはなかった。


 飲んですぐはなんともなかったが、段々と意識がポヤポヤと曖昧になってきた。気づけばまぶたも重石をぶら下げてきている。


 完全にまぶたが落ちる直前、レサが近づいてきたように見えたが気のせいかもしれない。




 目が覚めると、俺に抱きついたまま寝ているロサと沈みかけの太陽が目に入った。


 そういや寝る前にレサに何か飲まされたな。あれって結局どんな効果があったのだろうか。よくわからないが、俺が寝てしまったことには関係があるだろう。


 ロサに抱きつかれているのはいいけど、そろそろ夕飯時だ。準備をしないといけないため、体の上に乗っているロサをベッドの上にそっと下ろして、ベッドから降りる。


 一応ロサに布団をかけてから部屋を出る。


 リビングへと向かうとルーナがアリサと共に動物たちと遊んでいた。


「あ、ソータやっと起きたわね。昼寝にしては長すぎるんじゃないかしら?」


 まあ、たしかにはい。昼寝にしては寝過ぎました。


「まあいいわ。今ガルジェたちが夜ご飯作ろうとしてるわよ。怪我しないように見ててあげたら?」


 たしかにシルグがソワソワしている。その背中にビーンがなぜか乗っているが。


 とりあえずシルグに様子を見てくるから安心しなと伝えると、少し......いや大分気になっていたのだろうが、少し様子が落ち着いた。


「すみません、ガルジェが何かやらかさないか心配で......」


 心配の内容そこかーい。まあたしかに俺もまだ、ガルジェ一人でキッチンに立たせるのは怖くはある。


 キッチンに向かうと、ガルジェとロサ(・・)がそこで何を作るのか相談していた。


「やっぱりこの材料だとスープにするのがいいんじゃない?」


「......この前香草と一緒に蒸してっていう調理方法で美味しさを閉じ込めて風味もつけれるって、本で読んだから......それでやってみる?」


「いいね、どんな味になるか確かめてみたいね......って、ソータ、起きたんだ。」


「あっ、蒼汰さん、ちょっとやってみたことがあるからやってみてもいーい?」


 二人とも俺に気づいたとたん声をかけてくれたが、あれ?やっぱなんか違和感がある。え、さっき起きたときロサ寝てたよね?え?どういうことだ?


 まあとりあえずその疑問は一度おいておくしかないか。


「しても大丈夫だよ。でも、香草蒸しするなら香りが弱すぎず強すぎず、食材に合うものがいいかも。まあいくつか試すっていうのもいいと思うけどね。」


「はーい、じゃあちょっと色々やってみる!」


「実験するときのお姉ちゃんってこんな感じなのかな?ちょっとワクワクするね~。」


 楽しそうに二人が食材を切ったり、組み合わせを考えたりしはじめたので一先ず邪魔にならないように退散する。


 ロサがついているなら最悪の事態は起こらないな。そして二人ともなんか楽しんでたが、調理に興味を持つのはいいことだ。色々試して味を知るってのもいいしね。まあ二人が切っている野菜に香草蒸しが合うかはわからないが。


 それよりも、だ。ここにロサいるということじゃ、ロサの部屋で寝てるのは誰だ?いや普通に考えてレサなのかもしれないが、レサが俺に抱きついて寝るような性格ではない気がするんだが......


 一応確認してみるか?


 ロサの部屋に向かい、ドアを開けると先ほどまで誰かのいた跡はあったが、もう誰もいなかった。結局あそこで寝てたのが本当にレサだったのか分からなかったが、それと同じくらいに気になることとして、寝る前のあの薬は結局睡眠薬だったのか?



 いかがでしたでしょうか?今回は、蒼汰がロサからの告白の答えを見つけましたね。まずは自分が胸張れるような性格になってからということなので、今後どのように意識が変わるのか見ていきたいですね。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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