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あ、ごめん、あとで何とかするから......

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


「それはいいんだが、そろそろいつもの蒼汰に戻らねぇか?その見た目の喋り方だと鳥肌が立っちまってな......」


 空兎は腕をさすりながら若干身を引いてそう言う。


「ふむ、結局のところお主のスキルの範囲はどこまでなのじゃ?先ほどのゴーレムにも通用するということは、大体の相手にはお主のスキルが通用するということじゃが。」


 おっとモル選手!ここで空兎に対してガン無視を決めたぁ!空兎は少し呆れたようにため息をついた。


「はぁ。もういいか。スキルが誰に対して通用しないのかは分からない。今のところスキルを使った全員に通用してるしな。」


 自分でもまだ力を把握できてないわけか。まあ俺自身も自分のスキルがどんな相手には通用しなかっていうのは明確には分からないしな......


「なるほどのぅ......その認識だと危険にならざるを得ないと言っておこう。じゃが、少なくとも妾たち全員には通用するようだしの。お主が使い方を間違うことがないように、見張るぐらいにしておくとしておくかの。」


「え、えっとこの場合はどう答えるのが......」


「別に何も言わんでよい。」


「あ、はい。」


 空兎はモルの言葉を受け取ったが、どこか怪訝そうな表情を浮かべていた。ついでにどこか納得がいかないと言った様子も。


「......まあちょっとだけダンジョンっぽさは感じれたし、あとはあの扉の奥だけが気になるところだな。」


 突然空兎が言い出す。さっきのあれでダンジョンっぽさを感じれたっていうのは、流石に言葉通りではない気がする。表情が微妙だもんな。


「あの部屋は妾の部屋じゃが、まあいくつか興味のあるものがあったら持ち帰るとよい。本やら小物やらあるぞ。」


「......じゃあこの表札を.........」


「ダメじゃ。」


「え、今興味のあるものこれ......」


「これだけはダメじゃ。絶対にダメじゃ。特にサラに見られたらめんどくさいことになるでの。」


 モルの強い拒絶にあきらめたのか、分かったとでもいうように頷いて扉をゆっくりと開く。


 俺にとっては久々の部屋なのだが、空兎はそうでもないようで。


「......なんかこの部屋の外とはあまり似つかわしくない雰囲気の部屋だね。え、蒼汰の隠し家ってわけじゃないだろこれどう見ても。」


「何言っておるのかはわからぬが、妾の部屋じゃぞ。」


「もうよく分かんねえよこいつ......」


 何やら空兎があきらめの雰囲気を醸し出しているが、まあ気にしてても仕方ないだろう。


「にしてもこの中から興味のあるもの......ぬいぐるみとか明兎が喜ぶかな......?」


「ぬいぐるみはやめておけ。」


 空兎のつぶやきに対し、モルがそれを止める。空兎はなぜと問うように首をひねりつつこちらを見る。


「どれかは忘れたが、いくつかのぬいぐるみは爆発する仕様になっておる。朝起きて爆散するということになるぞ。」


「なんだその地獄みてぇなロシアンルーレット。興味のあるものがすでに潰されたぞ。」


「まあ無難にどれか本にするとよいぞ。」


「わかった...危険物が足元にあるかもしれないと思うとボチボチ気も抜けねえな......」


 そう言いつつ本棚を覗く空兎。それをモルは後ろから見守る。


『あやつ、やはりお主と似ておるな。』


 え、急にどした?


『お主がここに来た時のやり取りとほとんど同じだったのでな、どことなくそう感じたのじゃ。』


 このやりとりで似てるって感じられても......


『まあそれ以外でも感じたのじゃがな。だからと言って何かがあるわけでもないが。』


 何が言いたいのかはわからんけど、まあいいか。


 空兎の様子を見てみると、何か一つの本を開いて凝視していた。


 その様子にモルも気が付いたのか空兎に近寄る。


「何を見ておるん......」


 モルが固まる。俺も見てみると、そこには写真がいくつも張られているようだった。


「見てみろ蒼汰!こんなにドラゴンの写真があるんだぜ!かっこよ。え、これもしやこの世界にいるってことか?待て、人間の姿にもなってるぞ。え待って普通に幼女じゃん。どゆこと?意味わからん。」


 若干興奮した様子で語る空兎を見て気づく。この写真というかアルバムはモルのか。しかも喧嘩してるところや、何かいいことでもあったのかドヤ顔しているところ、ニッコニコで何かの動物の肉を掴んで見せびらかしている所など様々な日常のシーンがあった。


 どうやらこれは、ここに来る前までのアルバムらしい。


 モルはこれを奪いとり、空間魔法の中にポイした。ってか、空間魔法使えるようになったんだな。


「クート、今のは何も見なかった、よいな?」


「いやぁこの世界には幼女になれるドラゴンがいるわけですか......ぜひ会ってみたいね。」


 いや空兎、目の前にいるし、別に人間で例えた時の年相応の姿になるだけだからな?まあ例外もいるらしいけど。


「というかさっきの写真の子、どこかで見たことがある気がするんだけど......」


 そりゃあさっきモルが氷像作って見せてくれましたからね。


「人型になろうとなるまいと、ドラゴンには一度目の前で見てみたいよなぁ......夢ではある。」


 それはわかる。まあ思ってたより情けな......穏やかでしたけどね、ハイ。


『おいソータ今何か言いかけておったじゃろ?』


 なんも言ってないですよ......?うん、多分気のせいだと思う。だから後でこっそりどこか冷やすとかやめてね。


『......そういうことにしておくかの。後に冷やしておこうかと考えたが、まあよいわ。』


 あの冷気なんかずっと苦手なんだよなぁ.....というかやろうとしてたのかよ。


「ほら、クートとやらよ、早う本を選ばんか。」


「じゃあさっきの本をもらっても......?」


「忘れろと言ってるであろう。他の本を探せ。」


「いやでもほら、明兎にドラゴンがいるぞっていう話できるし......」


「そんなのは妾やソータがしておく。」


 え、俺がする前提かよ。全然いいけど。あとなんで空兎はごねてんだ。


「さっきのって結局あれは誰なん?どこかで見覚えが......」


「ええいまどろっこしい。忘れろと言っておるであろう!」


 そう言って、モルは空兎の上から、ひっくり返したバケツのような量の水を空兎にかけた。


 突然の出来事に、目を白黒させつつ、どこかに入ったのか咳き込みながらこちらをにらむ。


「おいさすがにやりすぎだろ。なんでアルバムの話をしただ......」


 再び水が落とされる。


「忘れろ、よいな?今後その話をするたびに今のようなことをする。いやなら口に出さぬことじゃな。」


 にっこりと黒い笑顔で空兎に言うと、空兎は気おされ気味に顔を引きつらせながら頷いた。


「それでよい。これ以上妾の恥をさらすわけにもいかぬからな。」


 ここら一帯に撒かれた水を回収して部屋の外に捨てながら言う。


 その言葉であの写真の人物が誰だったのか理解した空兎は申し訳なさそうな顔をした。


「ほれ、そんな陰気な顔しとらんと、本を選べ。」


 言われ、再び空兎は本棚の本を見繕う。あとでフォローしてやるか。


 それはそうとモル、恥をさらしたくないとか言って、俺の恥......というか黒歴史を見てゲラゲラ笑ってたよな?


『さあ?何のことかのぉ?』


 ここでとぼけんなよ......まあいいや。別に過ぎたことだし、見られたところで今更感もあるしな。まあいつかセクを共犯にしてモルの弱みでも握るか、、、


『ソータ?全部聞こえておるぞ?絶対そんなことするでないぞ?お主らがどうなるか分からぬ。』


 うんまあ、少なくとも半殺しにされる未来は見えてるから流石にしないよ。うん。ホントに。多分。

『最後の多分で一気に信用できなくなったのぉ......』


 少なくとも今はそんなことしてる場合じゃないからね。早めに他の均衡守護者(バランスガーディアン)の所に向かわないと。


『敵の手に渡るのが一番最悪のパターンだしの。特に「知識」と「光」が厄介になってしまう。能力が強力だしな。』


 やっぱそうかぁ......まあどこに向かうかはモルが案内してくれればいいよ。


 ふと空兎の様子を見ると、選んだのか、三冊ほど手に取ってこちらの様子をうかがっていた。


「決まったのか?」


「えと、この三冊にしようかなって......」


 一応空兎はモルに選んだ本を見せるが、モルはそれを見ることをせず、失くさぬようにと注意だけした。


「さて、選んだなら帰ろうかの。お主のスキルを使って帰るか、正規のルートで帰るか、どちらがいい?」


 突然に『水従の腕輪』を取り出して空兎に見せながら問う。


「それって...?」


「これは『水従の腕輪』いうものじゃ。水からの影響を受けない上に、二つだけ水魔法を設定できるのじゃが......ソータは一度使ったキリ、一度も使っとらんな。」


 うっ......単に忘れてたなんて言えない......今度使い慣れとくか。


「それってかなり強いんじゃ......でも一つしかないけど?」


「まあ今回はお主が使うとよい。妾はここでやることがあるでの。先に行ってておくれ。それを腕にはめるだけで行けるでな。」


「......よくわかんないけど、分かった。」


 空兎は腕輪をつけると少しだけ表情が険しくなったが、すぐに戻り、上へとつながる水に向かって歩いていく。


 水がグルグルと乱れてる中に腕輪をつけた空兎が入ると、入った瞬間驚いたように目を見開いたがすぐに呼吸を止めることすら必要ないとわかったのか、安堵のような表情も浮かべていた。


 ただ、どうやって上に向かうのか分からず、困ったようにこちらを見てくる。


 そこで、モルが水の中に空兎の足場となるような大きめの氷を作った。


 それが空兎を乗せて浮上していった。空兎は何が起こったか分からないようだったが、すぐにその姿は見えなくなった。


『さて、なぜ妾がクートを先に行かせたか分かるか?』


 いや、全然わからん。一緒に行けばよかったんじゃ......


『まあ、とりあえずバトンタッチするぞ。』


 嫌な予感しかないが、とりあえず体の操作権をモルと交換する。数十分ぶりの重力にどこか安堵を覚えながら嫌な予感に身を震わせる。


『そう警戒せずともよい。少し試してほしいことがあるだけじゃ。』


 試してほしいこと?


『ああ、こことセクのいたところを空間魔法で繋げられるか試して欲しいのじゃ。出来ると分かったら今後均衡守護者(バランスガーディアン)の所に行ったとき、奴らと出くわしてもどうすればいいか判断ができるじゃろ?』


 なるほどね、そこで逃げるか戦うか迷うことなく選択できるようにするってことね。


『そういうことじゃな。万が一ダンジョン間で使えなかった場合、逃げようとしてる時間が命取りになるやもしれぬしの。』


 それはたしかにね。それじゃやってみますか。


 俺は「ゲート」を使ってセクのいたところを想像する。しかし何も変化はなく、ゲートは開かなかった。


 その後も何度か試してみるが、目の前の空間はうんともすんとも言わない。


『どうやら無理みたいじゃの。逆に空間魔法でダンジョン以外に繋げてみい。』


 ならばと、ここの入口の鉱山を意識する。すると、ゲートはつながった。


『なるほどのぉ......やはりというべきか、妾たちがお互いを感知できる範囲までしかゲートも効果を発揮できぬようだのぉ......』


 つまりは閉ざされてるダンジョン間は空間魔法で行き来できないのか。めんどくさいなその仕様。


『まあ、最悪の場合逃げることだけはできるようだからそれだけは覚えておくとするかの。』


 それもそうか。まあなるべくそんなことがないように、というか出くわさないようにしないとね。多分絶対に勝てないしな。


『あのトリックを見破れるようになれなければ、どのみち倒すことはできなさそうじゃな。』


 意味深なことをモルが言うが、その意図はわからなかった。



 いかがでしたでしょうか?今回は、ちょっとモルが空兎に色々としていましたね。ちょっと最後の方凹んでた気もしますが、まあ蒼汰が何とかしてくれるでしょう。


 次回の投稿は再来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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