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んじゃ、あとはよろしく

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 ......まさかもう空兎があそこを見つけてるとはね。にしても、モルも中々に酷なことを言うもんだよホントに。


『別にただの好奇心じゃよ。決して他に意図はないぞ。』


 ホントか~?この言い方じゃ他に理由があるんだろうけど。まあ最悪俺が助けりゃいい話か。


 呑気に鼻歌を歌いながら楽しそうに歩いている空兎を見て気の毒に思う。伝えればいいとか思うかもしれないが、モルが言わないように言ってきたので伝えることができないのだ。


 うん、俺も空兎の反応が楽しみってわけじゃないよ?ホントに。友人がね、困惑してる姿見て喜ぶなんてただのヤバい奴じゃないか。


 う~ん、よく考えると空兎は俺が困惑してたら爆笑するな。じゃあ俺が喜んでも問題ないな。


「蒼汰?口元ニヤけてるけど、なんかあったん?」


「いや何でもない。それよりも、何の準備もしなくてよかった?」


「いや、準備も何も、持ってくものがない。」


 じゃあしゃあないか。ないなら持ってくることはできないしな。


 空兎は首を傾げて俺を見てくるが、まあ気にせずにしておく。


 とりあえず、モルのもと居た部屋への入口へとたどり着き、入るための扉を開く。


「うぉぉぉ.....なんかダンジョンに入るみたいでワクワクするなぁ......」


 感動したように空兎が言うが、攻略済みではある。


 階段を下って水に囲まれた大広間へと出た。


「なんか、壮大だな~。水の色も普通のと違ってめちゃ綺麗じゃんか。」


 水に顔を近づけてそんなことを呟く。


 たしかに、この水久しぶりに見たけど、そもそも光ってる感じなんだよな。何が原因で光ってるのやら......


『知らん。正直なところ、この水の正体も何もかもわからぬ。ただこの水と鉱石やらその他の物やらが反応して別の鉱石になるということは分かるが。』


 まあ、根本的な原理として色々とおかしいもんな。そもそも水と反応させたものの性質が違いすぎるしな。


 ふと空兎を見ると、明らかに怪しげな色のこの水を飲もうとしていた。


「待て待て待て!空兎飲むな!」


 俺の叫びに空兎は肩を跳ねあがらせ、恐る恐るこちらを向く。


「え、何?これ飲んだらヤバいやつだったりする?」


「見た目からしてヤバいと思うけど......それは生物には毒らしいから飲まない方がいいぞ。」


 空兎はすぐさま立ち上がり、手をパッパと払った。


「全く、焦ったじゃねぇか。そういうのはもっと早く言ってくれよ。」


「いや、この水を飲もうとする勇気の方に畏怖を抱いたわ。」


「いや~、そんな褒めても何も出ないって。」


「褒めてるわけじゃないと分かってるだろうが、まあここで突っかかっても仕方ないな。」


 わざとらしく照れたように頭をかく空兎へため息をつく。こいつ、スペック高いのにふざけるから玉に瑕なんだよなぁ......


『かくいうお主も一度この水を飲もうとしたではないか。』


 だまらっしゃい。そんな前のことは忘れたし、今更思い出したとかそんなことはないから。記憶から消去してたわけでもないから。


『ほうほう......つまりはお主は阿呆というわけじゃな。』


 そりゃあ、今までの行動見てきてたら分かるだろ。間違いなくアホだぞ俺は。


『なんじゃその、自信満々に自分の欠点を言える度胸は。』


 まぁさっきやらかしたし、少なくとも今日は開き直ることでしかメンタルを保てないのだよ。


 実際、さっきまでの俺は思い出すと相当やってることがヤバいからな。いくら夢か現実かの境界が分からなくなってて錯乱してたとはいえ、心配に駆け寄ってくるロサたちを突き放してたしな。


 改めて心に誓うけど、二度とこんなことはしないようにするし、想定外のことが起こった時はとりあえずセクとモルに確認取ってみるよ。



『ぜひそうしとくれ。先程は何度呼び掛けても蒼汰は答えなかったがな。何とか気づかせようとセクが色々やっておって、今や疲労困ぱいで倒れておるぞ?』


 うっ......反省しときます。感情的になると周りが見えなくなる癖は何とかしてまいります。


『よろしい。して......いつどのタイミングであやつに仕掛けるかのぉ......?』


 けしかける選択肢をなくすことは?


『ない。』


 だろうね。すまんな空兎。うちのモルがこれからやらかして。


「蒼汰!このドアって入ってもいいのか?なんか表札書かれてるけど。」


 気づくと空兎はモルの部屋の前にいて、ドアを開けようとしている。


「待て空兎、ちょっとこっち来て。」


「うん?なんで?」


 疑問を呈しつつも、空兎はこちらへと来る。


「え、あの表札さすがにお前のじゃねぇよな?」


「俺のではないな。でもまあ、あまり触れないでもらえると、ね?」


「あ~なるほどね。お前がふざけてあそこにつけたわけだ。」


「別に俺がつけたわけじゃないが......」


『あの表札は気にするでない。』


 あ、はい。相も変わらず深掘りされるのは嫌なようなのでやめときます。


「ちなみに何でこっち呼んだ?別に入っちゃいけない部屋ってわけじゃないだろ?」


 まあそうなんだけどね、残りはもうモルにお任せしよ。俺じゃなくモルがやったって言い張れるし。


 ってなわけでモル、バトンタッチお願いできるか?


『うむ。確かにそうした方が効率的よな。それに、表に出た方が力を行使しやすいというものよ。』


 ってなわけで、俺とモルは身体の操作を交代した。


 意識の中に入ると、ベッドの上でセクが寝ている。涼しい顔してるので、まあ快眠というところだろう。


 ......顔に落書きされてるのは見なかったことにした。


 さて、二人の会話を見ていこう。


「うおっ、なんか急に目の色変わるじゃん怖っ。」


「む?怖いとは失礼な。妾本来の目の色はこれなんじゃ。不安定な色であるが故、常に目の色は曖昧なのじゃよ。昔に母上からそうだと聞いたのじゃ。」


 なぜ目の色の話になってるし。というか、目の色が変わる理由そんな理由だったんだ。聞いたうえであまりよくわからないけど。


 そして、空兎はというと、顔を引きつらせていた。


「蒼汰......なんだその喋り方...キモいぞ。いくら厨二でももうちょい選べただろ......」


 などとほざいた。あとで一発お見舞いしとくか。


「妾はソータではない。それに、キモいのはこの見た目だからじゃろ?本来の妾の見た目はこんな感じなのじゃ。」


 モルは氷を使って自画像を作る。おいというか待て。流れるようにディスってた気がするんだが気のせいか?


『気のせいじゃな。』


 気のせいか~。じゃあしゃあないな。うん。気づかなかった俺が悪いだけだし。


「......蒼汰。氷像作るのはすごいが、さすがに本来この姿ってのはねぇだろ......もはや性別どころか、普通にロリじゃねぇか。無理がありすぎるだろ。」


「じゃからソータではないと言っておるだろうに。妾のことはモルと呼ぶがよい。」


「...............いつまで続ける気なの?それ。」


 まあ信じられんわな。でも実際表に出てるのはモルなんだよね。とはいっても、せめて入れ替わることの説明ぐらいはしときゃよかった。


「じゃ~から~!妾はソータではないと何度言えば......」


「ハイハイ分かったから。んでそのモルさんは何がしたいんだよ。わざわざ変えてんだから何か用はあるだろ?」


「......少し言い方が気になるがまあよい。妾が出てきたのはお主を少しばかり試そうと思ってな。」



「試す?何言ってんだ?」


 空兎が困惑したように眉間にしわを寄せる。それを見て、偶像ではありながらもポテチとキャラメルポップコーンのダブルコンボを貪りつつ結果を眺める。


「今から妾の出す氷のゴーレムを倒してみい。」


「はっ?んっ?ちょっと待てそれはどういう......」


「それじゃあ始め!」


 地面から巨大な人型の氷が出てきて目に赤い光が宿る。それを見て空兎は困惑と若干の恐怖で足がすくんだようだ。


 ゴーレムの手の払いに反応できずにそのまま吹っ飛ばされる......そう思ったが意外にもすり抜けた。


 腕で体を守るような体勢を取っていた空兎は何が何だかわからず、頭上に?マークを浮かべまくっている。


「ふむ。今のを避けれんのは感心できんの。即座に反応してみせい。妾が当たる瞬間に腕だけ霧状にしたからいいものの......」


 モルが言っているが、どう考えてもこの状況じゃ避けるのは無理だったぞ?困惑しかしてないんだから。


「いや、急に始められてそんなこと言われても......それより、こいつを倒すってどうするんだ?」


 そう言ってる間にも、ゴーレムは攻撃を仕掛けてきた。


 次は反応できたようで、「あぶねっ!」と叫びながら伏せてギリギリ回避していた。


「倒す方法は様々じゃ。本来ゴーレムにはコアがあるが、これはゴーレムをまねた模造品にすぎぬ。よって、このゴーレムを砕くことができれば勝ちじゃ。」


「無茶苦茶言ってやがるなこれぇ!!」


 悲鳴を上げつつも、何か考えているようで、視線をしばらくの間落とす。更にゴーレムが攻撃を仕掛けるも、空兎は視線を下げたまま体を捻ってそれを避けた。


 そうなんだよ。こいつ、最悪身に危険感じたりしなきゃ、身軽になりすぎるんだよ。本当に身の危険を感じた時は動けなくなるけども。運動神経が中々にいいんだこいつは。


 すると、何か思いついたようで、表情が明るくなると、手元に液晶を出現させ、そこで何かを操作した。


 そして、ゴーレムの拳が空兎に当たる瞬間、ゴーレムの姿がフッと消え、次に出現したときには滝の下で水に打たれていた。しかも、その水圧のせいで体が溶けて割れてで破壊された。


「いやぁ、やっぱ初手でこれ思いつく俺天才だわ。さすがすぎるなホントに。」


 なんか自画自賛してるんだが。まあクリアはできてるし問題ないか。


「というか、さっき試すって言ってたがこれでいいよな?急に言い出したことに対して、対処して見せたんだから完璧だろこれは。」


 まあ、これは完璧というわけじゃないけど、あの状況からよくやったよねとはなるね。


「......やり方にどこか納得がいかんが、まあ合格でよかろう。欲をいうなれば正面からやって欲しかったものじゃが......」


 いやいやモルさん、それは流石に無理あるよ。


「無茶言わないでくれ。どうやって正面から氷の塊を壊せるんだよ。」


 空兎、それは正論だ。間違いない。


「というか試すつっても何を試してたんだ?それが分からないんだが。」


 まあこの場合、モルはどんなスキルを使っているかを知りたかったんだろうな。ここまであっけなく終わると判断が難しいけど。


「お主の判断力とスキルを見るためじゃな。知っておかねば、いざというときに大変なことになるしの。」


 何ができて何ができないかの判断は大事だしな。というか、予想当たってたな。


「はぁ~んなるほどね......だがここで一つ残念なお知らせをしよう。いざというときに役に立たない上にむしろ足を引っ張るのが俺だ。間違いなく、いざという状況でなら俺は役立たずだぞ?」



 相変わらずさぁ、こいつ自己評価低いよな。さっきみたいに、どうすればいいかを判断して行動に移せる気概と行動力があるのに。


「抜かせ。クートと言ったな?もしも言葉通りなら、お主はここまでで何回もこの世から退場してることになるぞ。あの切り抜け方は役立たずにはできないことじゃ。」


 何をいってるのかはわからないが、多分空兎の記憶を見たんだろうなとは思う。


「いや、今までやってこれたのも周りの人たちのお陰だし、俺自身何かやったってわけじゃないよ。」


 う~ん、やっぱこいつの自己肯定感の低さとひねくれ具合は問題だなぁ......



 いかがでしたでしょうか?今回は久々の蒼汰視点でしたね。空兎視点で続きを書こうかとも思ったのですが、さすがに蒼汰くんが平常運転の戻ったのでそちらで書こうかと。


 そして、今回はただいつも通りの蒼汰ですが、次回以降から先の件についても触れていこうかなと思います。たまに空兎視点でも、他の誰か視点でも書いていく予定です。


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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