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まあ、片付いたので......

 楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。


 というかセク、さっきの人はどうなってるの?


『言った通り、俺の作った別空間に隔離している。今出して暴れられても困るからな、またどこか遠くに言ったときにでも出せば大丈夫だろう。変に近場で解放するより、帰り道がわからない場所に放り出されるほうが不安だろ?』


 たしかにそうかもだけど......というか、遠くに行ったときって、もしかして他の誰かのダンジョンに行ったときとか?


『まあそれもあるな。だが、どちらかと言うと、それ以外の用事だったときがいい。解放することにするのは。仮にダンジョン周辺で解放して勝手にそのダンジョンを住処にしてもらっても困るしな。』


 確かに。じゃあまあ一旦この話は置いておきますか。今どうにかする話じゃないし。


 んで......この散らばった瓦礫とかはどうすればいいんだろうか。片付けたほうが良いのかな?どこにって話なんだけど。


「あの、ゼリージさん、この瓦礫とかってどうすればいいですか?」


 まだ少し恐怖の余韻が抜けていないのか、俺がこの部屋をぐるっと見渡したあとでも、まだ顔がこわばっていた。


 俺の質問を聞いて、こちらを振り向くが、その動きさえもどこかぎこちなく見える。


「い、いや、これはあとで片付ける。それよりも、こうなった経緯を教えてくれ。」


 どうやら、片付けより先に何があったかを話すのが先なようだ。




 俺は先程の、ジャスミンと出くわしてからの話をし、ロサにもその説明の補助をしてもらっていた。


 ロサがジャスミンとどこかの部屋に入ってそこで話をしていたようだが、その内容は近況を訊かれただけとのことらしい。


 ロサの様子を見た限り、ただ訊かれただけには見えなかったが、本人が言いたくないのなら無理に言わせることはないだろう。


「それにしても、あやつはド派手にやったな......修繕が大変だ。」


 ゼリージさんがため息をついてやれやれと首を横に振る。


 確かに、こんな大広間の壁一面が壊れているんだ、修繕は骨が折れるだろう。


「それよりも、だ。ソータは結局あやつをどこにやったのだ?最後はいつの間にか姿が消えていたが......」


 やっぱ気になるよね。俺もあの空間の中でどんな生活をするのか気になる。あのタコでも食ってんのかな?まあ少なくとも今は混乱しているだろうが。


 でも、どう答えるのが正解だ?空間魔法で別の場所に送ったと言われてもわからないだろうしな。


 ......もうこれでいいや。


「少し、スキルを使ってあの人のスキルの効果が及ばない場所に送りました。とりあえず危険はないと思います。」


「本当に危険はないのだろうな!?」


 危険がないかどうかを真っ先に尋ねてきたんだが。俺も知りたいが、セクが作った空間だし、以上があってもセクが教えてくれるだろ。


『保証はできないぞ。』


 保証してくれ。まあそのときはまたセクに任せるよ。


『冗談だったんだが......まあいい。そのときは任せろ。』


 言質はとった。


「大丈夫です。問題ないですよ。」


「それならいいんだが......」


 まあ、さっき殺されかけてたしな。腰が引けてしまうのも仕方ないかな?


 逆に、自分が冷静な事に驚いてる。いつの間にこういうことに耐性を持つようになったのだろうか。いや違うな。さっきの変な組織のやつが、俺の首筋に当てたヒヤリとしたナイフの感覚のほうが印象的だからか。


「さて、君たち四人には命を助けてもらったと言えよう。深く感謝する。」


 突然、ゼリージさんが俺達に向けて頭を下げた。


「いやいやいや、僕とルーナは何もできてないよ。お姉ちゃんとソータが頑張ってくれたからだからね。」


 ルーナもロサの言うことにうんうんと頷いている。


「私もゼリージさんに何かしたとかじゃねえ。ただ怒りが湧き上がってきたからぶん殴っただけだ。しかも、その上で返り討ちにされたんだ。クソダセェ事この上ねえ。」


「そんな事ない!お姉ちゃんかっこよかったよ!ねぇ、ルーナ?」


「うん、レサお姉ちゃんかっこよかった!」


 悔しそうに歯噛みするレサにフォローするためか、本心からと見える称賛をルーナとロサがしていた。


「二人とも......ありがとな。」


 その二人の行動に感涙したように、唇を噛み、二人を抱き寄せた。


 ......うん、ゼリージさんガン無視だね。少し遠い目をしてるもん。なんで話を聞いてくれないのかって。


 しばらくして、三人は横に並び直し、ゼリージさんの話を聞く体勢に戻った。(割と長かったから、申し訳ないとは思いつつ、話を聞いてと、三人に言った。)


「ゴホン。なにはともあれ、お主らに助けてもらったのは事実じゃ。ワシも今まで敵が直接城に乗り込んでくることはなかったでな、驚き故に動くことができなかった。一国の王としてらしかぬ姿を見せてしまったな。すまんな。」


 ゼリージさんの謝罪に対して、何故かロサとレサが目を合わせてクスクスと笑っていた。それに対して、ゼリージさんがバツが悪そうな表情になるも、二人にそれを気にした様子はなかった。


「ハハッ、そんなこと気にしてたのかよ。今更だろ。何度も私達の道具やら実験やらの餌食になってるじゃねえか。」


「しかも、わざとらしい悲鳴をあげてね。2ヶ月くらい前かな?服が燃えて見える液体をぶつけたときとか、『ヒャーウワッハッー』みたいな変な悲鳴あげてたし。今更感しかないよ。」


 身振り手振りを加えて、いい思い出のように話している。


 これには俺だけでなく、ルーナもジト目になってしまう。何してんだこの二人は。傍から見たらただの悪ガキぞ?ガキとかいう年齢ではないが。


 チラッとゼリージさんに視線を向ければ、顔を少し赤くしてプルプルしている。バラされたのが恥ずかしかったんだろうな。


 しかし、この発言のおかげか、先程まで微妙に残っていたゼリージさんとルーナの緊張は上手くほどけたようだ。やべぇ、今のところ何もしてないんだけど。


 それからまたしばらくして。ゼリージさんは「ウオッホン」とわざとらしく咳払いをする。


「改めて、脅威を排除してくれたことに感謝しよう。」


「あ、そうそう、いつか覚えてないけど、もう一個面白いことが......」


「よしわかった。何が不満なのだ?話を聞こうじゃないか。」


 話をしようとした瞬間に、ロサがまたしても先程のようなエピソードを持ち出してこようとしていた。途端にゼリージさんは態度を急変する。何を見せられてるんだ。


「じゃあ、直球に言うけど......何を隠してるの?」


 突然ロサの声がゼリージさんを威嚇するように低くなった。


 ロサの急変にレサ含め全員が目を丸くした。しかし、ゼリージさんは何のことかわかるのか、冷や汗をダラダラと流していた。


「何のことだ?そもそもどうして何かを隠していると思う?」


 ゼリージさんの目が泳いでいる。ロサは何を掴んだのか。気になって気づけば俺はゴクリと息を呑んでいた。


「何のことかはわからないけど、地下室を造った目的、そこにいた人たち、わざと地下室の存在を隠すように入りにくい出入り口、王城の外から出入りできるような外への通路。怪しいことこの上ないでしょ。もしかして、わざと外から誰かを連れてくるため......もしくは誰かを逃がすためとか?」


 確かに、言われてみれば、地下室がある目的が不明だ。というか、地下室ってそんな道があったの?


「それと......ソータごめん。」


 ん?なぜに急に謝るんだ?


「実はあのとき、敵に居場所がバレた理由は、あの人達にぶつかっちゃったからなの。」


 え??どういう事?何の話......って、あの怪しげな組織の人たちのことか。でもぶつかったってどういうことだ?


「実はね、ソータから血を吸ったときに少しもらっちゃったスキルを使って、あの部屋全体を見渡してたんだ。それで見ててわかったんだけど、あの人たちは更に地下室から隠されてた通路を通ってたんだ。それでゼリージさん、あれはどこにつながってるの?」


 なるほど。それであのとき俺が話しかけるまで微動だにしてなかったわけか。恐らく空間魔法を使って様子を見ていたのだろうけど、そこまでしてるとは。恐れ入るね。いやマジで。俺にはそんな考えすらなかったし。


 ゼリージさんは仕方ないとばかりに、ため息をついて語りだした。


「地下室についてはわからん。私の曽祖父の代からあるらしいからな。作られた目的は不明だ。決して言い訳ではないと誓うのだが、不埒な輩が紛れていたとは知らなんだった。」


 普通に言い訳にしか聞こえないが、まあ俺は何も口出しできるような状態じゃないしな。


「そして、どこにつながっているのかという話だが、ロームの森とつながっている。最近は整備して少なくなってきたが、整備する前は動物からの被害があとを絶たなかったようだ。」


 なるほど。それで森の中に何人も兵士がいたわけね。その入口を守るために。


「地下室について大体の事はわかった。でも、それだけの理由ならそこまで動揺する必要ないよね?やっぱ何か隠してるでしょ?」


「うっ......」


 ロサにジト目で指摘され、堪えきれなくなったのか、うめき声のようなものが口から漏れる。かなりの図星であるようだ。


「はぁ......どのみち話しておく必要があるとは思ってたんだがな......なんだかワシが悪いことをしているみたいになっているではないか。」


 そう独り言ちて、椅子のを少し動かし、その奥の壁の一部を押し込む。


 すると、奥へと続く道が現れた。


「ついてこい。」


 そう言って俺達三人についてくるように促す。レサも俺もルーナも理由がわからず、呆然としている中、ロサは先にスタスタとあとをついて行った。もしかして、ジャスミンに何かを聞かされたのだろうか。というか、その線しか考えられない。


 とりあえずロサのあとに続いて通路を進む。地面に淡く光る球のようなものが所々に埋まっており、薄暗いながらも、まるでどこかのダンジョンへと向かっているような、そんな気持ちになった。


 奥へと行くと、そこには部屋があった。


 中に入ると、こっちの世界に来てから始めて見た黒髪の、俺と同い年ぐらいの女の子がいた。髪をポニーテールで束ね、パッチリとした琥珀のような黄金の瞳を瞬かせている。


「実はな、とある組織に追われているとらしく、ワシが保護した。その組織の奴らはワシに、恐らくこの少女のことを聞いてきた。ワシもその時に命を狙われたでの、お主らといえど、少しばかり警戒しておったのだよ。」


「なるほどね〜。ジャスミンさんが言ってたのはこの子のことなんだね。それにしても、そんな理由で僕達にも隠そうとするなんて、逆に迂闊だよ?」


 ロサがむしろ自分たちを頼るべきだと言う。確かに。命をすでに狙われているんだったら、その話をしなければ、誰を警戒すべきかがわかんなくなるからな。


「いや、それはスマン。今日、昨日で二度も命の危機を感じてしまってな......許してくれ。」


 申し訳無さそうにゼリージさんが言う。


「別にいいよ〜。仮にゼリージさんから言ってても怪しんだし。こんな奥にこの子を押し込んでるんだから。」


「それはたしかにな......すまん。」


 その会話を尻目に、俺は黒髪の女の子を見る。理由として、あちらもジッとこちらを見てきているからだ。そして、その口がゆっくりと開いた。


「猫派ですか?犬派ですか?それとも他の動物?そこが重要です。むしろそこしか重要じゃないです。」


 若干早口気味だった。



 いかがでしたでしょうか?今回は、異様にゼリージさんが不安がっていましたね。そして、部屋にいた謎の少女とは?組織はどんな目的でこの少女を探していたのでしょうね?


 次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。


 面白いと感じたら、ブックマークや評価をぜひ、よろしく願いします!モチベーションや、物語の流れにもにつながるので!


 それでは、また次回お会いしましょう。


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