考えすぎじゃないはず......
楽しんでいただけたら幸いです。最後まで読んでみてください。
買い出しが終わると、俺は夕食を作る。唐揚げを作ることにする。
醤油、調理酒、みりんを1:1:1の割合で肉とともに容器に入れ、味を染み込ませる。これさぁ、シンプルな味付けだけど、意外と美味しいんだよね。
漬け込み終わったら、片栗粉に近いでんぷん粉のようなものを袋に入れ、その袋に空気を含ませて振る。こうすることで、いちいち衣をつける必要なくそのままとりだして揚げることができる。
唐揚げができると、そのまま運ぼうとしたのだが、気づくと横にロサが立っており、俺の視線に気がつくと、運ぶの手伝おうか?ときいてきた。
俺がお願いすると、元気よく運んでくれた。準備ができると、続々と動物たちも含め、全員が集まってきた。ロサがルーナとレサを呼んでくると、全員が揃った。
そう言えば動物たちは普段、各々で遊んでいるのは見るけど、それ以外のときはあまり見ないんだよな。
飯を食べ終わると、ディガが俺のもとに来た。
「ソータ、少し良いか?時間があったら部屋に来てくれ。」
なにか話があるようだ。
ディガの部屋へと入ると、朝とは異なり、部屋の中のほこりっぽさが少なくなっていた。それでも、やはり木が焼けたあとのような匂いはしたが。加工した時に出る特有の匂いなのだろう。
「そこに座ってくれ。」
ディガは椅子を指差す。俺が作ったような椅子ではなく、数十年は使えそうなしっかりとした椅子だった。座っても、ミシッというような不穏な音は聞こえない。俺の作ったやつの場合、座るたびに嫌な音がなるんだよね。
「一つ聞きたいことがあったんだ。勝手なことはしたら良くないと思ってな。」
改まって言うディガに少し疑問を抱きつつ、話を続けさせた。
「実はな......少しやりたいことができてしまってな......鍛造場を作ろうと思うのだが、いいか?」
一瞬ピンと来なかったが、鍛冶場のことだと訂正され、理解できた。なぜ俺に聞いてきたのか疑問が浮かんだので、その理由を尋ねた。
「ここって、ソータが作った場所だろ?一応ソータに決定権があるのだと思ってな。」
別に聞く必要はないんだけどな。
その旨を伝え、別に俺に聞くまでもなく、好きにしてていいと言った。すると、ディガは見るからに喜び、早速明日から取りかかると言っていた。
俺も手伝うと言ったが、
「いや、こういうのは俺の力で行わなければならない。それに、一人でも建てれるようなスキルは持っているから大丈夫だ。完成に急ぐ必要もないしな。のんびり造るさ。なんてったって、つくることが仕事だしな。俺は。」
とのことで、手伝うならレサとロサのほうを手伝ってとのことだった。
そう言っているディガはワクワクしている様子で、まるでクリスマスのサンタを待つような表情だった。
俺は自らの部屋へと戻り、明日持って行く荷物を確認して、寝るまでの間、本を読む。
すると、モルが話しかけてきた。
『ソータ、あのアニメというやつは面白いな!よもやあそこでの言動があんな展開につながるとは思わなかったぞ。』
良かったじゃん。まだまだ俺の記憶にはストックがあるから、見てみると良いよ。それに、俺が見たことのあるもの以外に無限と言っていいほど大量にあるからね。もしも見ることのできる機会があったら見てみると良いよ。
『そうじゃなあ......お主の世界に行くことができるのかはわからぬが、見ることができたら嬉しいの。』
まあ自分の好きなのが見つかるわけだしな。
『お主の世界には、娯楽が多いのじゃな。』
退屈しないほどにはあったかな。でもね、結構いつも金欠だったね。気になったものはすぐ買っちゃってたし。
そのおかげというべきか、そのせいというべきか、部屋には大量にあるんだけどね。とはいっても、数えるのを諦めるほどの量はないけど。精々150冊ぐらいだと思うよ。あ、これはラノベ......本の話ね。
『ふむ。ソータのような平凡な人でもそんなに大量に買うことができるとは......こちらよりも技術的なレベルが高いのだな。絵が動いている時点で、言うまでもないの。』
まあ、地球ではこっちと違ってスキルなんてのはないからね。
『スキルという強力なものがないからこそ、技術が発展したと。逆に言えば、スキルを持つ世界ではそれ以上発展する必要がないから、お主の世界より技術が劣るのじゃな。』
たしかにね。妥協じゃないけど、一定の水準まで達すると、それでいいやみたいになってるかもしれないね。でも、更に探求する人はいるからね。それこそ、人のレベルじゃないだろみたいな、俺みたいな口だけで言って、実際のところ何もしようとしない一般人が尊敬するような人がね。
あくまで名前が知れ渡ってるってだけで、名前の知られていないそういった人々は意外と溢れてるんだよね。
まあ、何もできない俺が言えたようなもんじゃないけど。
一つ言えるとするなら、努力できるやつはどんな功績を残せる人よりも希少ってことだ。
ひたすら努力していても人に馬鹿にされることもあれば、心無い言葉を投げつけられることもある。全員がそうとは言えないが、それらを乗り越えたうえでの努力があり、人から認められてはじめて『才能』または『功績』となる。
功績は結果論だが、努力は過程だ。その過程を見れないやつが人に嫉妬して暴言を吐くこともある。
何が言いたいかと言うと、努力しても結果を得ることは難しいかもしれない。だが、努力をしたという事実があれば、何事も不安に覚える必要はないってことだな。
努力ができるならそれは、やろうと思ったことを全部できるような力を身につけられるってことだしな。
要は、驕り高ぶって自らの成長を諦めるやつより、しっかりと目標を持って行動し続けるやつのほうがすごいってことだ。つまりは俺の逆ね。
俺も頭ではそのことは分かってるんだけど、どうしても行動に移すことができないっていうか、行動を起こそうという考えもないっていうね......俺も何かできることやってみようかな。まずは何かに興味を持つことが大事だけど。
『つまり、長々と喋ったが、己の短所を振り返ったというわけか?』
うん、たしかにそゆことやね。まあ気にしないで。俺の単なる戯言に過ぎないから。色々知っているみたいな面をしていったけど、その実何も知らないゆえに何でも言える口先だけの人だから。
『別に自分語りをするのは構わないが、妾にそれを聞かせるのはやめてくれ。』
たしかに、急に始まった感じかモルからすれば。
『それよりも、お主のおすすめのアニメとやらを教えておくれ。お主の記憶から見るのでな。』
......まあいいか。ちょっと待ってね。どのアニメがモルの好みにあってるか思い出すから。
『いや、妾の好みに合わせるのではなく、お主のおすすめを教えてくれ。』
いや、あの、俺のおすすめはね......うん、モルにはつまらないと思うよ?どちらかというと、セクのほうが食いつくかも。
『それでもいいから教えておくれ。』
まあいいか。俺のおすすめはね......
......俺がおすすめを教えるとなぜかモルの反応速度が遅くなった。ラグなんて発生しないよな?
『すまん、ソータの語りが長すぎて頭がついていかなくなったわ。どれだけ早口で喋っておるんじゃ。何が何やらサッパリだったぞ。』
おっと、つい熱く語ってしまった。ただただ良いところを喋ってただけなんだが。
まあまあ、今言った中で何か気になったものを見ると良いよ。俺のおすすめって言ったけど、結局は本人の判断だし、どれも良作すぎてどれがいいかなんて決めきることはできないからな。
強いて言うなら全て素晴らしい。そんなところだね。
『仕方ない。題名だけもう一度言っとくれ。その中から気になったものにするでの。』
そう、興味を持つってことが大事だからね。何においても。
『でも、お主は口だけなのじゃろう?』
そうだね。だからこれからは、普段気にしないことでも気にしていこうかなと思ってるよ。
これすらも口だけとか言われたらどうしようもないんだけど、行動で示すしかないからな。こういうのは。たとえ誰かに見られてないとしてもね。
『妾は気分次第で見てやってもよいぞ。』
俺としてもそれぐらいがちょうどいいかも。無理に見られてるっていう意識してもストレスになるだけだし。
『それじゃ、妾はお主のおすすめのアニメを見とくでの。』
オケ、じゃあ俺はそろそろ寝ようかな。体内時計的に10時ぐらいに感じるし。
俺は布団に潜り、そのまま寝ようと目をつむるのだが、中々寝付けない。目は瞑ってウトウトし始めるのだが、ほぼ無意識的に目を開いてしまい、そのたびに目が覚める。
もしかしたら、朝のことがあったせいで眠りにくいのかもしれない。
それでも、それを何度か繰り返しているうちに、もはや思考しているのかわからないくらい意識が薄れてきた。
......誰か人の気配がする。
いつの間にか眠っていたようだが、ドアの開く音で目が覚めてしまったらしい。
月明かりしかないが、暗闇に目が慣れているため、あまり関係はない。人のシルエットが見える。
だが、まだ視界がぼんやりしていて距離がうまく掴めない。
布団がめくられる感覚があった。証拠に、少し冷たい空気が布団の中に入ってくる。
代わりにその誰かが俺の布団に入ってきた。姿を見るまでもなく、おそらくロサなので、ロサの逆......窓側を向いて寝る。
すると、背中に温かさを感じた。
さすがにビックリした。いきなり抱きつかれるとは思っていなかったからだ。
俺がそのまま固まっていると、首元に吐息がかかった。もしかしたら血を吸われてしまうかもしれない。
だが、いつの間にか、体をがっちりホールドされて振り向いて止めることができない。
首筋にチクッと針のようなものが刺さる感覚があったあと、そこに吸い付かれる。
前の夜中に吸われたと違って、なぜだか吸い付く力が前より弱い。
すぐにロサは吸い終わったのか、そのまま口を離してスースーっと寝息を立て始めた。ただ単に寝ぼけてただけかと、前もそんな簡易だったなとぼんやりと思いつつ、俺も再び眠りにつく。
俺が寝返りを打とうとすると、背中に顔をうずめられてしまった。そのせいで、寝返りを打つことはできなくなった。しかし、人の温もりがちょうどいい。
一度眠る前よりもすぐに眠りについた。
ふう。全く、最近は忙しくて仕方ない。ろくに休めもしない。帝国の奴らめ、厄介事をふっかけてきおって......って、いかんいかん。一国の王であるワシが疲れたところを見せてはいかん。ましてや、今は帝国との戦いに向けて準備を急いでおるというのに......
じゃがなぁ.....ワシも狙われている身、早々に城にいる、帝国側の人間を捕まえねば。ワシの寝込みを襲われてしまうかもしれん。護衛含めて帝国との戦いに行かせるからな。
それとなく目星はついているんだが......証拠が掴めないんじゃ。さすがに証拠を見つけてからでないと、ワシが暴君扱いになるやもしれぬしな。
最悪、ワシも戦うことになるのか......腕が鈍っているかもしれんな。あとで愛剣を磨いて少し振ってみるとしようか。体のアチコチが固まっているし、ちょうどよい運動になるじゃろ。
さて、と。
立ち上がると、背後から気配がした。
嫌な予感がし、壁にかけていた愛剣を持ち、鞘から抜く。
「何が目的だ?姿は見せなくても良い。言え。さもなくば、斬るぞ。」
剣を構え、敵に向けて言い放つが、反応はない。代わりに、とんでもない密度の殺気が放たれる。少しでも気を張っていないと、その殺気だけで失神してしまいそうだ。
そのにらみ合いはすぐに終わった。相手が殺気を引っ込めたのだ。
気がつけば冷や汗をかいていた。
「あの逃げ出した少女はどこだ?」
姿の見えない相手が何かを言う。逃げ出した少女?心当たりは......あるにはあるが、やつが求めている相手であろうと、そうでなかろうと、教える義理はない。
「知らんな。そんなことを聞いてどうする?」
「奴は生贄だ。我々の主がそうお望みなのだ。それよりも......」
床が隆起して鋭くとがったものが喉元に当てられる。
「本当に知らないんだな?」
今度こそ、命の危険を感じる。だが、隠すしかない。
「本当に知らんぞ。ワシの名にかけて誓おう。」
しばらくの沈黙が流れる。緊張で心臓が張り裂けてしまいそうだ。
「そうか、だが、隠していたのなら、ゼリージ王、貴様の命はないと思え。どうせすぐに分かることだからな。」
それだけ言い残し、気配は消えた。
ワシは全身から力が抜け、床に座り込む。
あれはとんでもない力の持ち主じゃ。いつでも相手はワシを殺めることが出来た。そうしなかったのは気まぐれなのか、主とやらの指示なのか、甚だ疑問だが、あの子に知らせねば。
突然城内の庭に現れた少女。身元が不明で、見つけてからずっと保護しているが、あまり感情を表に出さない。明らかに異常じゃ。考えるほど、やつの言っていた少女だと思ってしまう。せめて護衛を付けておくとしよう。
なにはともあれ、更に考え、やるべきことが増えてしまったな。そろそろストレスで禿げてきそうだ。
いかがでしたでしょうか?今回は、久々のゼリージさんが出てきましたね。はたして彼が会った人物は何者なのか、その目的は何なのか?お楽しみに。
そうそう、インフルエンザは治ったので、今週からまたいつも通り投稿します。たまにまたお休みすることはあるかもしれませんが、ご了承ください。
次回の投稿も来週の金曜日の予定です※都合上、遅れてしまう可能性があります。
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それでは、また次回お会いしましょう。




