不本意な殺意
「えっ...?」
(今なんで...私はグレイブを殺そうとしたの?)
サラの叫に声のおかげにより、自分がしようとしていた事に気がついて魔法の発動を止めました。
一瞬にして水が引いた瞬間!!。
「そこまで!! そこまでぇ!! 兵たちよ! あの少女を取り押さえよ!!」
慌てて王様の号令がかかり騎士たちが私を取り囲む。
その時、私に向けられたのは怪物を見るような目だった。
その瞳の一つ一つがあまりにも鋭く私に突き刺さる...!。
「ッ!!」
それぞれが武器と手に取り私を囲む中、たった1人だけ笑い声をあげている人物がいた。
「はっはっはっ!! 流石ケロナだぜ!! 俺もザランって奴と戦ったおかげでレベルが一気に105まで上がり限界突破までしたってぇのにまるで歯がたたねぇ!」
他の騎士達に肩を借りていたグレイブが立ち上がる。
「お前らやめとけって」
「グレイブ騎士団長殿が殺されかけたんですよ!?」
決死の形相でそう叫ぶ騎士達に 笑顔を向けるグレイブ。
「大丈夫、殺されやしねぇって、それに俺がケロナに本気でやってくれって言ったんだしな」
私に笑顔を向けてくれるのはこの中で彼だけである。
それもそのはずだ。
訓練場を水浸しにする程の魔力量を保有しているレベル1の村娘など気色が悪いに決まっている。
明らかに皆が警戒する中、また異彩を放つ者が現れる。
そう...王様だった。
彼はパチパチパチと拍手をしながら私に近づいてくるのでした。




