開道
〜2日後〜
「よ...ようやく開道に出られた〜...」
と疲弊したような声をあげたのはレイナでした。
「そんなに疲れる事した?」
そう私が聞くと彼女は物凄い剣幕で私の方に近寄ってきます。
「いいえ、全然疲れてはいませんけど! ケロナの【練度】上げに皆待っていたんですよ? 道の途中途中でいい感じの的があったらとりあえず狙ってみるのやめてください! おかげで開道に出るまでに2日もかかってしまったではありませんか!」
息を切らしながらそう呟いてくる彼女を見て私は笑う。
「まあいいじゃんか、今は焦っても仕方ないし力をつけないとね...」
「力をつけるのはいいですけど、それは町についてからにしてください! 依頼を受けながら【練度】をあげる方がお金も貰えますし効率的です」
意外とお金にがめついレイナがそう呟くと、今度はエリーゼが言葉を挟む。
「ケロナお姉様、私はお姉様から貰った剣の修復をして欲しいのですが...」
「そう...だったな」
実はこの前の戦いでエルサに掴まれた部分の刃が欠けていたらしい。
その事については後で分かり、エリーゼは深く何度も謝ってきたのだが私はこう返した。
「形ある物はいずれ壊れる物、別に良い、それにまだ刃が欠けただけだし次の町で修復してもらえるでしょ? 鍛冶屋さんに打ち直して貰ってる間は別の剣でも買って代用すればいい」
「お姉様ぁぁ!!」
その後は急に泣き疲れて本当に大言だったのを今でも覚えている。
一応エリーゼの毛並みはもふもふなので嫌な気はしなかったけどね。
...。
今度柔らかそうな尻尾でも触らせて貰おうかな...。
私がどうでもいい事を考えていると、草原の真ん中に町らしき物体が見えてくるのでした。




