浜辺
私が気がつくとそこは浜辺だった。
どうやら長いこと気を失った挙句砂浜に打ち上げられたようだ。
私はゆっくりと這いずりながらどうにか海から体を逃げさせる。
これ以上海の塩っぽさで体力を奪われてはたまらないからだ。
やっとの思いで海から抜け出すと、ようやく一息つけると思い大きく息を吸って吐いた。
「どうやら生きているみたいだね...私」
まだ息はできるし、心臓の音がちゃんとなり響いているのが分かると嬉しくなる。
(少し休んだら近場を探索しよう、取り敢えず生きていけるだけの基盤は作っておかないと...)
そう思った矢先、私の顔に影がかかった。
最初は曇りにでもなったのかと思ったが、目を開けてみるとそこには黒髪の少女が存在していた。
少女は私を見つけるや否や声をかけてくる。
「お姉ちゃん何してるの?」
何をしてるの? なんて聞かれても答えは一つしかない。
「遭難して浜辺に打ち上げられただけさ」
私の言葉に驚いたのか少女は急いで何処かに言ってしまった。
(...大人の人でも呼んできてくれるのかな? まあ期待せずに待っていよう)
実際の所、今の私は相当消耗している。
正直言って指一本動かすのもしんどいくらいだ。
だから少女に声をかけられたのは幸運と言えよう。
しばらくすると再び少女が現れ、私は無事村の人たちによって救助される事になった。
そしてこの事をきっかけに面倒事に巻き込まれていくのだが、それはこの先のお楽しみと言う訳で...。




