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命乞い

 私は一度サラから離れマーカイルの方に顔を向ける。


 深く深呼吸をしてから彼に話しかけた。


「ねぇ、話をしましょう」


「ほう? この状況で話しかけてくるとは...、ただの村娘にしては肝が据わっているな」


(よしっ、まずは話し合いに持って行けた)


 私はサラに合図を送るタイミングを見計らう。


 人形にされてしまった村人達は恐らく彼が人力で操っているのだろうと考えた私は、彼の興味を惹く話題を長引かせる事で彼女の逃げる時間を稼ごうと考えてしました。


 できるかできないかではない、やらなくてはならないのだ。


 震える手を押さえながら交渉に持ちかける。


「なんでこんな事をしたの?」


「こんな事? ああ村人を人形にした事か...、まあ()()()()()って所だな」


 彼の言葉に私はゴクリと息を呑む。


「リサイクル? 何の?」


「決まってるだろう? 人間(ゴミ)を使える人形に変えてるんだよ、私がやっているのはそれ以上でもそれ以下でもない、ただ【大帝】様の役に立つ人形を作りあげ人間を滅ぼす、ただそれだけの為に私はこの場に姿を現しただけさ」


 その言葉を聞いた時に私は彼の事を狂っていると思った。


 人間の事をゴミと嘲笑う彼の姿には人間らしさなど微塵も感じられない。


 ただの悪の存在を私は全身で感じ取っていた。


 しかもここまでサラの方にも視線を動かしているので隙がない。


「もう充分話しただろう? そろそろお前も人形にしてやろう」


 彼が手をかざした瞬間に私は呟いた。


「待って、もしも私を人形にするんだったらサラだけは逃してちょうだい」


「サラ? そこの娘か?」


「ええ...私はどうなってもいい...、お願い」


 頭を下げる私を見た彼はそんな姿を嘲笑う。


「私はどうなってもいい? その言葉が本当かどうか試してやろう!」


「ッ!! 何を!!」


 彼は私ではなくサラの方に指を向ける!!。


「まずい!!」


 このままではサラが人形にされてしまう!!。


 そう思った私は全力で走り抜けサラを庇いマーカイルに背を向ける。


 そして...。


 私の背中に何かが当たる感覚がするのでした...。

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