5◇起きて起きて!ウサギ狩りの時間だよ!
「うーん、ねむいなぁ」
色々有って昨夜は余り寝れなかった。
本当に眠い……まあ、ゲーム内で色々やったら自然と目が醒めるでしょ。
それにこのVRって実質寝てるようなものだから完璧なのでは?(錯乱)
「いたい人の皆さん、おはようございます…」
そんなわけで若干眠気が残りつつも配信を始める。
『ねむい?』『何かあった?』
『大丈夫?』
「ああ、心配させちゃってごめんね。アリスに雑用頼まれてただけだから…」
『把握』
『ついに名前呼び認めたか』
『無理しないで』
優しい心配コメントと……あ、普通に『アリス』って呼んじゃったよ。
第二王女を呼び捨てできる人なんてあんまりいないから個人情報がガバいんだよなぁ。
…今更感はあるけどさ。
「それじゃあ今日は……」
何しよう。何も決めずに始めたから……
『ウサギ狩り耐久再開?』
『地獄の?長時間配信再来』
「そうね、そうしよっか」
『また耐久?』
『やったぜ』
『たすかる』
「といってもまた耐久配信はしたくないから~うん、武器を買おう」
『なるほど』
『てんさい?』
天才ではない。(冷静)
「折角素材があるんだから、それを売って金策かな」
革やら肉やら心臓やらがあるからね。
それら全部を売れば武器の1つや2つくらい買えるでしょ。安いやつは、だけど。
そんなわけで最初の街…『モノクリド』を10分程観光ついでに彷徨ってから武器屋に行く。
コメントいわく、鍛冶屋と武器屋があって鍛冶屋はオーダーメイド専門、武器屋は大量販売品専門なんだって。
私がレッサーラビット相手に死闘を繰り広げている間にみんな色々進んでるんだなぁ。
なんて当たり前のことを考えつつ、コメントを見ながらオススメの武器を買おうと画策する。
鍛冶屋で素材が売れるのはゲームならではだよなぁ。
……そう考えながら素材を売ろうとしたら、鍛冶屋のおっちゃんから『その素材で武器を作れる』とい言われたので初撃破記念に、と作ってもらう。
『使えなかったらどうするよ』
『そういえば『心臓』ってレアだよね。うらやま』
「その時に考えればいいのよ」
というかコメントいわく、『~の心臓』はかなりのレアらしい。
これを運が良かったととるか創造神の贔屓ととるかだけど……
『おうじょさま:関与してない』
らしいので単純に私のリアルラックがカンストしてただけだろう。
というわけで数分待って完成した武器がこちら。
─────
『兎博の短剣』
レッサーラビットの素材を元に作成した短剣。
条件を満たした兎関連の素材を集めれば強化への道が開かれる。
耐久度:200/200
効果:
str+25
─────
おーけーおーけー。
これが現環境でどれくらい優秀なのかはわからないけど、私としてはそれよりも重要なことがある。
それは【セットスキル】によるstrの減少と武器補正のどっちが後に来るのかだ。
その結果次第ではこの武器は漏れなく産業廃棄物になるわけだけど……
───────
str:0【+10】〈+25〉『-228』
───────
『やっぱり…駄目だったよ』
『知ってた』
『予定調和』
来た、見た、負けた。ブルータスゥゥ!
私は産業廃棄物をインベントリに投げ込みながら北に向かう。
「ぴいっ!」
レッサーラビット が あらわれた!
「14時間の恨みぃぃ!」
ハナは やつあたり を実行した!
インベントリから短剣を投げ、兎に命中させる。
すると、兎は怯むので……あれ?うん?
怯む?
─────
種族:レッサーラビット
レベル1
hp:100/120
─────
『お?』『これは』
あれれ?
hpが20も減ってるぞ?
私は兎突進を避けるついでに短剣を回収し……
「えいっ」
もう一回投げてみる。
─────
種族:レッサーラビット
レベル1
hp:80/120
─────
……。
「ぴいっ!」
「ほいっ」
─────
種族:レッサーラビット
レベル1
hp:60/120
─────
…………まあ、そうね。
「ウサギ狩りの時間だよ~~!!はやく死に晒せやぁ!」
『持ってけ泥棒』
『蛮族セラス様』
『兎スレイヤー降臨』
◇
「フハハハッ!雑魚ばっかり倒すの楽しい!…げほっげほっ」
『助かる』『助からない』
『むせてる』『そこもいいよね』
『暴走イキリングモード解除』
さて、あれから幾ばく時間が経過したわけだが。
─────
『兎賭の短剣』
レッサーラビットの素材を元に作成した短剣。
条件を満たした兎関連の素材を集めれば強化への道が開かれる。
耐久度:1/200
効果:
str+25
─────
まあ、この表示を見たらどれくらい戦ったのかわかると思う。
案の定一回投げるにつれて、耐久度は1減るわけだ。
まあ、有り体にいえば33体倒したわけだ。
あ、余分な一回は盛大に地面に外した分ね。
そして現在ステータスと持ち物がこちら。
────────────
NAME:セラス
JOB:【軽戦士】lv5
SUBJOB:
REST:
HP:100/100
MP:0/0
BP:+0
str:0【+25】〈+25〉『-300』
vit:0『-300』
dex:0『-300』
agl:300 (+140)【+10】『×2』
【セットスキル】
『速窮の天覇』『忍耐』『逃走』
【控えスキル】
【称号】
『極窮の覇者』
【持ち物】
『鑑定鏡-lv1』
レッサーラビットの革×71
レッサーラビットの肉×32
────────────
言いたいこと自体は色々あるのよ。
心臓ホントにレアだったんだなぁ、とか、レベル全然上がんないなぁ、とか、初期に比べてagl上がったなぁ、とか。
「ピイッッ!」
でもそんなことより重要なのが目の前にいるわけよ。
私はそれの突進を避けながら鑑定をする。
─────
種族:レッサーラビット
固有名:『兎博の狩人』アンゴラル
レベル10
hp:??/??
─────
そんな強敵を見た私が一番に抱いた感想は──
「名前がウサギっぽくない!」
そして次の瞬間、目映い光がボスウサギを中心に放たれ、体が麻痺した私は突進されて盛大にポリゴンを散らすことになった。
『遺言:名前がウサギらしくない』
『今のフィールドボス的なの?』
『なに今の麻痺攻撃』
『もしかして天敵?』
『リベンジする?』
「リスポン!」
うーん、あのボスウサギ、どうしたものか。
「まあ取りあえず、鍛冶屋に行ってこれを治すとこからかなぁ」
私は端数を合わせるために革11枚、肉12枚を渡しながら鍛冶屋のおっちゃんに耐久度が風前の灯火となってる武器の修理を頼む。
あのボスウサギは一定数ウサギを狩ることで出現、とかだろうなぁ。アリスの性格的に半端な無双は許さないだろうからね。
つまり、あれに辿り着くまでにどう足掻いても武器の耐久度が減るわけだ。
……まあ最悪素手耐久(14時間×33体=452時間)で武器損傷0でいけるけど……流石にやりたくはないかな。
というわけで、無事に耐久度を200まで強化したので───
「ウサギ狩りの時間☆再来☆だよ~!!」
『知ってた』
『暴走イキリングモード解禁』